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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第四章:迷宮の先で待つもの

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86.迷宮都市リエンガン 4


 全く想定外のことが起きてしまった。


 前を歩くルムデス、そしてガルコットの連中が先へ先へと進んでいただけで、危険な目に遭うことなど無いものとばかり思っていた矢先。


 自分にだけ聞こえた声と同時に、まるで彼女らと隔離するのが目的だったかのようにして、目の前で崩落が起きた。


 何者かの仕業かは不明、崩れた岩には僅かながらの隙間が出来ていて、心配するルムデスと目が合う。

 岩石はものの見事に幾重にも重なり、おおよそ簡単には掘れそうにない。


 幸いにして、向こう側の声はこちらに聞こえている。


『ご無事ですか!?』

『びっくりしただけで、怪我は無いよ。ルムデスこそ、平気?』

『崩れたのはライゼルさまのいる付近だけのようです……何故こんな……』


 やはりそうなのかと思うしかないが、聞き覚えのある声の狙いは、俺とルムデスと彼らから引き離す為だったことが分かる。


『精霊使いの兄ちゃん! 平気か? こんなことは初めて起きるぞ。よほどのことがあったとしても、この洞穴が崩れるなど、今まで無かった』

『そこからガルコットに戻る道はありますか?』

『あることはあるが、それにはリエンガンに進むしか……ともかくあんたはガルコットに戻って、さっきいたオルモという奴に伝えてくれないか? 俺たちは、この先のイエロ村に進むことにする』

『分かりました』

『ライゼ……ご主人様! ご武運を……』

『ルムデス、待った!』

『……え』


 どうするべきか。

 ルムデス一人だけが、アインたちと行動を共にすることになる。


 彼女の実力は知っているし、過剰な心配は無用だ。

 だがアインはともかく、ベリルという男の考えがうかがい知れないし、どう動くのかも予想出来ない。

 

 それ故ルムデスの傍に、召喚獣を置いて守らせたい思いがある。


「我に従いしが獣……が求めに応じ、”ルムデス・セイクレッド”の傍に参じよ……キア!!」


 バルカ段丘でテイムされていた野犬を降し、帰還を命じて以降は呼び出しすらしていなかった。

 しかし今こそ召喚すべきだと感じ、召喚のげんを唱えた。


 普通なら召喚した自分のすぐ傍に現れるが、ルムデスの元にと願ったのは上手く行っただろうか。


『えっ!?』

『ルムデス! キアを召喚したから、心配せずに前へ進んで欲しい』

『わ、分かりました。ですが……この子は――』


 召喚はどうやら成功したみたいだ。

 しかし声が聞こえて来ないところをみると、彼女の傍についているということだろうか。


『グズグズしてんじゃねえぞ、エルフ! 早く来い!!』

『……急かさずとも、向かいます。で、では、ライゼルさま。お気をつけて』

『君も!』


 元が野犬だったことだ。

 きっとルムデスを守ってくれるに違いない。


 帰還から召喚した姿を直に見られないのは残念なことだが、合流した先できっと会えるはず。

 エルフに因縁のありそうなあの男に対しても、きっと役に立ってくれる。


 これでルムデスへの心配を抱えることは、無くなった。

 そうすることをわざわざ待っていたとすれば、ここで話をつけなければならない。


「さて、気配を隠さずにいるのは分かっている。君の仕業だろ? アフル……」


「何だ、お前も分かっていてあのエルフを逃がしたのか? へっ、変わらねえな、ライゼル」


 やはりそうだった。

 この洞穴に入った時に感じていたほのかな香りと気配。


 ロランナ村で共に召喚士を目指し、俺の闇黒召喚で消されるまでは貴族として生きていた、フィアフル・レブルの気配そのものだった。


「――何か言いたそうなツラだな。ここにいるのがおかしいか? なぁ、ライゼル……」

「何故なんだ? 何故アフルが……」

「あぁ、その前にお前に謝っておくことがある。すでに知っていそうな顔をしているようだけどな」

「アサレアと道中一緒だっただろ? 彼女は今どこだ?」

「くくっ、ここにはいない。いや、正確には俺が消した……と言った方が正しいか」

「――っ!? アフルゥゥゥゥゥ!! ア、アサレアを……け、消し……」


 ここに来るまで、闇の力を封じて来たはずだった。


 それがアフルの一言で、奥底に沈めていた闇の力が即座に全身に流れ込み駆け巡ることになるとは、正直言って予想もしていないことだ。


「おおっと、危ねえな。昔から人の話を最後まで聞かずに、容赦なく手を出して来やがる……闇の力、その力で俺を滅してくれやがったんだよなぁ? まぁ、落ち着けよ」

「……フゥー、フゥーッ……」

「――殺してねえのは確かだな。いつになく息が荒くなってるとは、お前らしくないな」

「消した……それはどういう意味なんだ?」

「彼女が言っていただろ? リエンガンに行く、と。俺がここにいるのはライゼルに会う為だが、そこに彼女にいられては戦い辛いからな。俺の魔法で移動させといた……それだけだ」

「紛らわしいことを言うなよ、くそっ……」

「……消したのは俺に対する記憶だ。彼女の記憶の中に、本来俺はいないんだからな!」


 アサレアだけが、すでにリエンガンにいるというのか。

 そんな高等な魔法を使えるなんて、こいつは一体何なんだ。


「――で、そろそろ聞きたいだろ? 俺はお前に消されたはずだからな。なぁ?」

「アフル……お前、生きていたのか?」

「それの答えが聞きたいんなら、ここで俺と戦えよ。もちろん、召喚でだ。ライゼルはほとんどの精霊を降して、最強になりやがったんだろ?」

「……戦って、勝てば教えてくれる……それで合ってるのか?」

「くくっ、そうこなくちゃな。ずっと望んでいた戦い……だろ?」


 目の前に立つこの男が、かつての友であるフィアフルかは分からない。

 それでもそれを確かめられるのは、どうやら召喚による決着しか無さそうだ。


 やるしかない……生者なのか、そうでないかは戦えば分かることだから――

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