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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第三章:敵となる存在

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80.召喚士、死霊術師に囚われる 後編


 ◇


「ライゼルさま、一体どこまで行ったというの? 何か妙な気配を感じるし、お一人にしてはいけない気がするというのに……」

「ライゼル、見つからない?」

「サーシャ!? あ、あなた、今までどこにいたというのです?」

「上」

「上空にいたのですか? 急にいなくなったら駄目ですよ」

「ここ、変。生きた人間いない。ライゼルの許しが無くても、我はここを洗う!」

「え? 洗う? と、とにかく探しましょう!」


 ◇◇


 こんなに動けない状態になったのは、いつ以来だろう。思い当たるのは、トルエノから唇で力ごと奪われた時か。 


 俺を拘束している女が着ている外套は、召喚士のとはまるで違う柄だ。

 濃淡な緑と黒色のコートになっていて、呪われそうな模様で構成されている。


 つなぎ目に織り込まれているのは高そうな糸にも見えるが、この女は身分の高い者ということなのか。


「ひひっ、生きた人間は無用……すぐに使って鮮度のいいアンデッドにしてやる……」

「アンデッドっ!? お、お前は何だ?」

「……死霊術師」

「し、しりょう?」

「召喚する奴が知らない……? 外も出たことない人間?」

「そう言われればそうかもしれない……そ、そんなことよりも、ひもをほどいてくれないかな」

「痛みは生から死になった時だけ。すぐに活きのいいアンデッドにしてあげる……ひひ」


 人間の状態から死なせてアンデッドにするだとか、この女は狂っている。

 もがけばもがくほど、紐がまるで意思を持ったように絞めて来るし、紐にも何かを宿わせているとでもいうのだろうか。


「ひひひっ! バイバイ、召喚士」


 嘘だろ……!? 

 何も呼び出せないままで、俺は終わるのか?


 女が手にしているのは鋭利な鎌で、しかもボロボロに錆びている。

 こんな朽ちた武器に斬られて命を失うだとか、そんなのはあんまりだ。


 自分がどうなるのか見たくないし、痛みがすぐに訪れるのを耐えられない俺は、力を入れて目を閉じた。


「ひひひひっ!!」


 ――うう……こんな半端な所で命を失うのか。


「……さ、刺さらない……」

「――? う?」

「お、お前、ただの召喚士じゃない……のか? 何故、何故……刃先が当たらない……」

「んん?」

「こ、このこのこのこの!!!! は、刃先が……」


 死霊術師の呪い紐は全くほどけないのに、どういうわけか女が振り下ろした鎌の刃先は、確かに寸での所で止まっている。


 止まっているというよりは、厚い鋼鉄か何かに守られているかのような温かさが、全身に伝わっている感じだ。


「お前、どこから出た……? エレメント……違う、精霊がついている?」


『あっははは! あたしら精霊がコイツを守ってるんだ! 生身の死霊術師なんざに貫かれるほどヤワじゃないさ!!』


 マリムの声が聞こえているものの、俺の目の前には死霊術師の姿しか見えていない。

 俺が降した四精霊はルオンガルドでの試練のおかげで、今ではすぐに使えるようになっている。


 しかし以前のように、彼女たちの姿や声は俺には聞こえなくなった。

 召喚のげんを唱えて呼んだ時しか、直に会うことは無い。


 俺には見えていないが、死霊術師の攻撃から守っているのが彼女たちの力なのだとしたら、体こそ拘束されていても、もしかして無敵なのでは。


「召喚士……お前、どこから来た召喚士だ?」

「え、俺はロランナ村の……」

「――! ロランナ村? お、お前が悪魔召喚した召喚士?」


 俺はどういう形で有名になっているのだろう。

 ロランナ村でどんなお触れを出しているのか知る由も無いが、トルエノと俺の悪名は相当に高いようだ。


「お、お助けぇぇぇぇ!!」

「へっ?」

「ボクはお前なんか知らない! 知らないからやったまでなんだ!」


 急に怯えだした死霊術師の女は、俺に向けていた鎌を放り投げて、ガクガクと震え出した。

 顔を隠しているだけで、実は小さな女の子だったりするのか。


「い、嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ……消されたくない」

「ちょっと待った。紐をほどいてくれないかな? 何もしないから」

「ほ、本当か? あ、悪魔を呼んで冥界送りしない……?」

「しないよ。俺は今、悪魔とは何の関係も無いんだ。呼べないし、呼ぶつもりもない」

「ホント? じゃ、じゃあ楽にしてていい。少しだけ緩めるから」


 ほどいてくれないのか。でも素直だし、可愛い感じじゃないか。


「よいしょ、よいしょ……」


 よほどきつく縛ったのかほとんど緩まっていないけど、危険な状況じゃなくなったし良しとしよう。


「ゆ、許してくれる?」

「……どうしてこんなことを? キミは死霊術師? フードで顔を隠しているってことは、アンデッドなのかな?」

「違う。ボクはノワ。人間だぞ! ロードテアで顔を出しているのは、ボクがアンデッドにした奴等」

「でも区別をする為に顔をさらけ出すって言ってたけど、あの男たちがアンデッド?」

「ロードテア、悪い病気流行った。ボクは病気の人たちをアンデッド化して、暮らさせている。悪くない、いいことしてる」


 何か理由があって俺は囚われたのだろうけど、この子がしていることは間違っている気がする。

 死者でもなければ生者でもないなんて、たとえ病気が治っても何かが違う。

 

「精霊に守られているのに、お前、どうしてアンデッドに気付かない?」

「気付くはずも無いよ。精霊はそこまで干渉しないし……そ、それよりも、俺を捕らえようとして来た連中は、全てアンデッド?」

「真ん中の人間はアンデッド。端の人間は違う」


 ルムデスの言った通りの格差が都市の中にあるのか。

 そういえば俺とはぐれた彼女は、ひどい目にあっていないよな。


 危険な目に遭わない体になっているのはいいとして、俺が囚われていることを知ったら、まずいことになりそうな気がする。


「えーと、ノワ?」

「――お前、死霊術師とロードテアを滅ぼしに来たな?」

「え?」


 さっきまで和やかな雰囲気になっていたのに、急に警戒を始めたかと思えば俺にかけていた紐を、魔法の力で強く締め上げて来た。 


「ち、近くにいる……来ている……召喚士を囚われたのが、怒りに繋がった?」


 紐で縛られた状態では聴覚も鈍くなっているのか、何も聞こえて来ない。


 まさかトルエノが来たとかじゃないよな。

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