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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第三章:敵となる存在

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78.邪術都市ロードテアへ


「キア、戻れ!」

「ワウン!」


 テイムされた野犬の名前をキアと名付け、ひとまず召喚帰還させることにした。


 現状は手懐けることよりも、次に向かうことの方が優先だと思ったからだ。


「初めてじゃありませんか?」

「うん?」

「召喚帰還のことです」

「言われれば確かにそうだけど、テイムされた野犬だったから、改める意味でも一度帰還した方がいいのかなって思っただけだよ。ルムデスは気になる?」

「いえ、ですが元々が召喚じゃなかった獣をも降すなんて、ライゼルさまのお力が増しつつありますよね」

「え、そうかな?」

「はい、間違いなく!」


 俺を見るルムデスの翠眼は、明らかに期待に満ちた輝きを放っていて、嬉々とした表情を見せている。


 龍人のルナは、バルカ段丘の人々に崇められていて、なかなか解放されないようだ。


 長らく魔物の群れによる怯えの暮らしをしていた民たちは、思い思いに、採集を再開しているようだ。


 俺たちを襲い、魔物討伐を頼んだくだんの男は、迷宮都市のことは知らなかったらしく、代わりに段丘先の都市のことを教えてくれた。


「――邪術都市?」

「ああ。段丘の先にある都市は、ロードテアと言って、橋上きょうじょうで生活している者がいる場所だ」

「そこにギルドは?」

「ギルドが何かは分からないが、あんたのような身なりの者が、多くいるはず」

「なるほど……そこに行ってみますよ」


「これくらいしか知らなくて、すまない」そう言うと、放牧の民たちを引き連れ、彼はバルカ段丘から離れて行った。


 都市ということは、それなりに人間がいるだろうし、ギルドもあると見た方がいいのか。


 恐れを抱くことではなく、仮にギルドが大なり小なりにあった場合は、俺の素性が知られている可能性がある。


 そうなると、俺や彼女たちがゆっくり休める場所が無く、確保が難しい状況ばかりに陥ってしまう。


「ぬうああ~! 人間ばかりで疲れた~!! ライゼル、早く行こう、行こう!」

「はは、お疲れ」

「龍人だからと崇められても、こーまーる~!」

「サーシャは人間がお嫌いではないのですか?」

「我は何も思うことが無いぞ~! うるさければ消すだけだぞ」

「そうなのですね。ですが、ライゼルさまの言葉通りにしてくださいね」

「わ、分かっているぞ~!」


 ルムデスとルナは、すっかりと仲良くなったようで、氷漬けで動けなくさせたことがあったせいか、ルムデスには強く言えなくなったらしい。


 彼女たちが認めあっていれば、心配の種が芽生えることはないし、このままいて欲しいところだ。


 バルカ段丘をしばらく歩き続けていると、高低差が無くなり、気付けば標高の高い場所に出ていた。


 放牧の民たちとは逆の方角を進んでいたとはいえ、ここまで光景が一変するとは、想像していなかった。


「海……いや、幅の広い運河?」

「彼らが言っていた通りですね。そして恐らく、アレが――」

「人間はどこにでも暮らすのか? そうなのか?」

「多分そうかな」


 話に聞いていた光景が、眼下に広がっている。


 黒く濁りのある人工的な運河は、外からの侵入を阻む為に作られたようにも見えていて、その先に進む思いを断たれそうなほど、長い距離となって続いていた。


 そんな運河の上には橋が架けられていて、幾つもの建物が、延々と続いているように見える。


「あれが橋上の邪術都市……でしょうか?」

「そうだろうね」

「ライゼルはそこに行くのか?」

「うん、行くよ。運河の先に進まないと、たどり着けないからね」

「何かあってもなくても、我はライゼルに付いていく!」

「わたくしもです!」

「何も起きないのが一番いいけど、まずはあの場所に向かおう」


 眼下に見える都市に行くには、橋の架かり始めの所にまで下りていくしか無いみたいだ。


 段丘にはいくつかの道が分岐していて、特に迷うこと無く進んでいた結果、今いる場所は、景色を眺めるだけの行き止まりの場所だったらしい。


「来た道が間違っていた、ということみたいですね」

「うーん……眼下に見える道には、どうすれば行けるのやら」


 こういう時に、ムルヴがいてくれたらと思うことがある。


 しかし今それを求めても、叶わないことも分かる。


「ライゼルさまの風精霊で可能なのでは?」

「いや、結構距離があるし、精霊の力を長く出すには魔力消費が心配になりそうなんだ」

「そ、そうなのですね……」


 近くに見えるようで近くない眼下の都市には、黙って来た道を引き返すべきなのか。


 それとも――


「ライゼルはあそこに行きたい? 行きたいのだな?」

「そうだね。何か手っ取り早く行けたらって思うんたけどね」

「ふっふん! 我は役に立つぞ!!」

「うん? ルナが?」


 どういうわけか、ルナは誇らしげに威勢を見せている。


 彼女は召喚した時点で女の子の姿だったこともあり、何を言っているのか理解出来なかった。


 しかし、その答えはすぐに判明する。


「むぅぅん! さぁ、我と手を繋ぐのだぞ!」

「わたくしも?」

「もちろんだぞ!」


 龍人ルナは力を入れたかと思えば、背中から大きい龍の翼を広げた。


 ルナは俺たちの手を繋いだまま、そこから勢いよく駆けて、眼下に見える場所に向かって飛び出した。


「う……うわわわ!?」

「こ、これは!? お、落ちる……」

「ふっふん、しっかり捕まっているのだぞ!」


 翼だけ広げただけなのに、どうやらルナのおかげで、地上に降り立つことが出来そうだ。


 龍の力が使える彼女の力は、未だ未知の可能性を秘めているのだと、後で思い知ることになる俺たちだった。

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