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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第三章:敵となる存在

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77.召喚士、魔物を従えて味方を得る


 砂地に足を取られながら進み続けた段丘は、何者かが待ち受けていた。


 新たな仲間となった龍人リヴェルナ・サーシャは、力の強さが段違いな女の子だ。


 この場では大人しくさせ、敵の出方をうかがってから判断するしかない。


 男の言う通り、段丘の奥に広がる林を進むと、男は俺に問いかけた。


「お前、魔物を使う奴か? それとも止めを刺すだけの残虐者か?」

「魔物……」

「答えろ! それによってお前の定めは、今と違ったものとなる」


 魔物というかエルフと悪魔は魔物とは違うし、龍人に鳥獣は神に近い存在だろうから、魔物を使うのとは違うはず。


「んー? ライゼル、ルナに何か言いたいのかー?」

「いや、何でもないよ」


 思わずルナをチラ見してしまった。

 彼女は魔物とは全然違うし、残虐者ではないよな。


「どちらも違う」

「……なるほど。どちらにせよここを通りたくば、バルカの魔物を従えるか、数を減らす協力をするかを選べ」

「ええ? どういうわけなのか、見えないんですが……」

「辺りをよく見てみろ!」


 彼の言う通り段丘周辺をひととおり眺めると、魔物の群れがエリアの境界辺りに、のさばっている。


 林の茂みに身を潜めている人間たちは、この段丘から出られないということなのか。


「そこの者。わたくしたちは害を及ぼす者ではなく、遠き地に向かっているだけにすぎません。何用あって、あるじに問いを投げるのですか?」

「そうだぞ~! 我がライゼルへの侮辱は、我が許さないぞ」


 しばらく黙っていたルムデスとルナが、不明な拘束に腹を立てているようで、声を荒らげ始めた。


「魔物が段丘周辺にうろついていますが、どういう……?」

「俺たちはバルカで、羊を狩りながらひっそりと暮らす遊牧の民。だがいつからかここに魔物が出没し、棲み着くようになった」

「そ、それが俺たちに何の関係が?」

「ここは静かな地だった。しかしお前のような身なりの者が、魔物を呼び、その魔物を倒すことなく放置していった」


 俺の身なりで思いつくのは、召喚士か魔物使いか。


「そのせいで、俺たちは移動も叶わず、限られた狩りと採集で隠れ住み続けるようになったのだ!」


 何というとばっちり。

 魔物使いには会ったことはないけど、確かに召喚士に近い装備をしていると聞いたことはある。


 だからといって、ここを通る旅の者に一体何を求めているというのか。


「似た格好というだけの俺に、あの魔物の群れを倒して欲しい……そういうことですか?」

「そうだ! お前がもし魔物使いだったならば、魔物を元の場所に戻してもらうと思っていたが、そうではないとすれば、魔物を倒してもらいたい」

「それはつまり、倒すか戻すかしないと、どのみちここから他へは行けないということですよね?」

「……そういうことだ」


 なんてことはない、魔物を出しっぱなしにされて倒すことも敵わない民たちが、ここを通る冒険者に頼みたかっただけということみたいだ。


「それなら何故、わたくしたちを襲うのですか? そうまで必死に助けを請うのならば、素直に頼めばよろしかったのでは?」

「見て分かる通り、バルカ段丘は砂地で歩きにくく、高低差も激しい。ここを避けて行く者ばかりで、滅多に人が通らない。だが、お前たちはここを通った。攻撃ではなく、威嚇のつもりで気を惹きたかったのだ。許せ」

「はあ、まあ……そういうことなら」


 確かに何もされなければ、魔物に気付くことなく過ぎ去ったかもしれない。


 そうだとしても、強引過ぎる。


「偉そうな人間に腹が立つぞ! ライゼルが命令するなら、辺り一帯を消す!」

「待った待った!!」

「ライゼルは許すのか?」

「うーん……というより、魔物がうろついているのは確かだし、ここが危険な場所になっているのは、違うかなとね」


 面倒なことではあるが、これを解決すれば人間たちの中にも、敵ではなく理解者が現れてくれる気がする。


 魔物使いではなく召喚士だけど、魔物を召喚出来たら、今後は優位に働きそうだし、やるしかない。


「魔物を倒してくれ。倒さずとも、従えさせてもいい! 出来たら、礼をする」

「いいでしょう」

「ライゼルさま、わたくしも助けを!」

「いや、大丈夫。それに、確かめてみたいからね」

「はい」


 迷宮都市に急ぎたい思いもあり、俺は魔物の群れに近づいた。


「グルルルル……」

「ウウウウ」


 見た感じは完全に、野に放たれた野犬にしか見えない。

 仮にどこかの魔物使いが、コイツらをテイムしたとしても、なぜ放置したままでいなくなったのか、かなり気になる。


 ここは召喚の言を唱えて、理性のない野犬を動かしてみるか。


『我、精霊と獣を統べる者……弱きを捨て、強き者に従うならば、再びのあるじを、選ばせたりうる者なり』


 野犬の中に少しでも利口な奴が紛れていれば、俺の召喚に従う要素は残っているはず。


 しばらくして――


「はぁっ!」

「ふふ、龍人に向かう犬はいないのかー?」


 召喚の言に従わず、俺の元に飛びかかろうとして来た野犬は、ルムデスに動きを封じられ、光に還されていた。


 ルナは凄まじい威圧を放っていて、怯んだ野犬は自然と逃げて行ったようだ。


「くぅん……ハッハッハッ!」


 群れの中で、ただ一匹だけが召喚の言に従って、大人しそうな野犬となっていた。


 群れの中でも利口な野犬のようだ。


「――召喚士が魔物をも使役とは、お見逸れしたぞ!」


 野犬の群れを退かし、その中の一匹だけを従わせていると、これまで隠れ潜んでいた民たちが、ぞろぞろと姿を見せ始めた。


 そのまま俺の前で平伏し、一様に讃え出す。


「バルカの民は、魔物を従え窮地を救わせた召喚士ライゼルに、大いなる加護をもたらすものとする!!」


 どうやら初めて、人間たちの味方を得られたようだ。


 魔物使いの放置野犬は、召喚の力によって制することが出来た。


 これでこの子は、いつでも呼べる。

 名前も後で付けてあげるか。


 今回はとばっちりな出来事ではあったが、魔物を召喚獣として得られただけでもよしとしよう。

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