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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第三章:敵となる存在

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76.バルカ段丘の急襲


「……やはり彼女の存在そのものによる影響だったみたいですね」

「そうか、そうだよね」

「わたくしは湿地帯までは存じておりました。ですがルオンガルドもそうでしたが、この先全て存じません。ライゼルさまにとっては悩ましいことかもしれませんが、人に頼るしかありません」

「う、うん……」


 龍人リヴェルナを新たに加えた俺たちは、凍える地帯を離れ、迷宮都市リエンガンを目指して歩き出した。


 迷宮都市がどこにあるのかは皆目見当がつかない。

 人づてに聞くしか無いものの、この先は全てが新天地。ルムデスの言うように、気を抜かず進むしかなさそうだ。


「ライゼルは不安? そうならそれを――」

「だ、駄目だからね! ルナの気持ちは嬉しいけど、空洞のように全てを消そうとするのは、良くないことなんだ」

「エルフもライゼルに従っている?」

「え、ええ……わたくしは、ルムデス・セイクレッドと申します。どうぞ、お名前で……」

「それを決めるのは我であり、ライゼルだぞ。そう呼ばれたいというなら……我のことはサーシャ! ルナと呼ぶのはライゼルだけだぞ!」

「は、はい。ではサーシャ。わたくしはライゼルさまに従って動いております。それ故、わたくし自身がライゼルさまのご意思に逆らう事などありません」

「……逆らわないのはいい! 我もそうするぞ!」


 なるほど。口調はトルエノっぽいと感じていたけど、空を見るのは初めてと言っていたし、外に出て間もないルナにとっては、言葉遣いもまだ安定していないということか。


 年齢的なモノは分からないけど、ルムデスに慕ってくれれば、ルナはいい仲間になりそうだ。


 寒かったとはいえ、歩きやすかった所から比較すると、随分と歩きづらいところに来てしまった。


「砂が足を取る……くぅっ! あ、歩きづらいな」

「本当ですね。知らない土地、知らないことばかりです」

「歩きにくいのか? 人もエルフも歩くことに気を取られては、駄目なんだぞ!」

「はは、気を付けるよ」

「そうですね」


 砂が混じった地面と、上下に激しい丘を歩き進んでいると丘を下る度に、深みのある茂みがあることに気付く。


 僻地から歩いて来たおかげで人も魔物にも出会えていなかった。

 それだけに、もしかしたら……何かが潜んでいるのかもしれない。


 ここは俺が気を張らないと――


 そう思った瞬間、林の茂みから何かが光った。


「ルムデス、ルナ!! かがんで!」

「ライゼルさま!? どうし――!」

「屈む必要など無い。でもそれがライゼルの望みなら、従う!」


 ルナの強さならその必要は無いと感じたものの、思わず叫ぶほどの光が目に飛び込んで来た。

 そして一瞬の視界を遮ったと分かったのか、何者かが飛び出し始めた。


 慣れない砂地での動作を嘲笑うかのようにして、砂塵を巻き上がらせながら柄の長い羽音はおとを見せるようにして、俺たちに振り下ろす。


 急襲されまくりもいい所だが、ここは様子を見て過ごすことにする。

 ルムデスとルナにも視線で制し、大人しくさせた。


『貴様ら、バルカの地に何をしに来た?』


 バルカという国、もしくは土地に入ったということなのだろうか。

 長身の男は、俺たちを一瞥いちべつしながら、特にルナに対して警戒を強めているようにも見える。


 そしてどうやら、俺のことは知られていないみたいだ。


「俺は旅の召喚士。この地に知らずにたどり着いた。迷宮都市リエンガンへの道を尋ねたい」


 すんなり教えてくれる気配ではないが、茂みの奥にも感じる数人を守るかのように、男は口を開いた。


『ここより遠くの都市のことは知らん。ここを通るのならば、ここで果てるか魔物を倒していけ!』


 身なりからして段丘面に潜みながら、ひっそりと暮らす人間たちにも見える。

 

 獣か何かの骨を腰に引っ提げ、段丘では数少なそうな草布と、羊か何かの皮を幾重にもなめした物、それらで作られた胴着で身を守っているようだ。


 槍はみすぼらしく、ずっと使われていなかったものにも感じる。


「ライゼルさま、力をさほど感じる相手ではありません。どうされるのですか?」

「ふっふん。人間が勝手に支配する地など、我にかかれば……」

「駄目だよ、ルナ」

「んうう……」

「ここは彼の言う通りにするよ。敵を無駄に作らずに進みたいからね」

「わたくしはライゼルさまに従います」


 力を示せば全てがまかり通るとすれば、話し合うことなど叶わなくなる。

 槍で威圧を見せているとはいえ、この地に潜む者たちとしては、強さの威を感じられない。


 まずは大人しく連れて行かれることにする。

 アサレア、そして魔剣士の待つ迷宮都市にたどり着くには、道を知らなくてはいけないのだから。


『下手な動きをすれば、その身が削れると思うがいい!』


「とにかく、俺たちは何もしません。話を聞かせてください」


『……女二人も妙な動きをさせるな。すれば帰さん。バルカの地にて危険にさらす』


 召喚士を襲うといった人間ばかりじゃないと知れたことだし、まずは知ろう。

 

 知ってどの辺りにたどり着いたのか、そこからだ。


『そこの細い林を通って奥へ進め。他を見ずに歩くことだ』

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