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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第三章:敵となる存在

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71.賢者の町ルオンガルド 3


 賢者レーキュリが課したのは、襲い掛かる人間たちに対して召喚をすることだった。


 ルムデスとガルダが無事なのはいいとして、どうして俺はこんなにも迷う羽目になるのだろう。

 魔剣士に負けはしなかったが、見逃して貰ったに過ぎないだけで、負けたといってもいい。


 賢者から与えられた夕刻まであと僅か……召喚をして、人間を傷つけず自分も守る、そんな召喚が果たして出来るのだろうか。


 傷つけず、襲われず、襲う行動そのものを消すことが出来るといったら、アレしか思い浮かばない。

 

 そして同時に、それを確かめられることが出来る彼女を呼んでみたくなった。

 もしルムデスと同じように呼べるとしたら、同じように契りを結ぶことになるのだろうか。


 一瞬でも顔を見られて、無事な姿を互いに確かめ合えれば……そう思いながら、ダメもとで彼女の名を呼ぶことにした。


 そうして気付かない間に、空は夕焼けの赤さすらも失われつつあった。

 まるでその刻を知らせるようにして、息が出来ないほどの強い風が、向かい風となって吹き込んで来る。


『決まりましたか?』


 レーキュリの姿は無く、風に乗って宣告とも呼べる声が聞こえて来た。


 今どこにいて、誰といるのか分からないけど、今この時だけでいい……

 俺の元に召喚されて欲しい。


 君の力を借りたい。


『我が願い、遥かロランナと共にありて、求むる者! たがうことなく共に歩む者、今ここに降り立て! アサレア・カルナ!! 我が元に!』


 普通の人間を召喚というのもどうかと思ったが、今ここに来て欲しいのは彼女しかいなかった。


 そしてもう一つ、襲い掛かろうとさせている存在が、果たして普通の人間たちなのかを確かめる為にも、もう一つの召喚も試みた。


『我、闇の力の一端を示すモノ……闇より我が身を守り、我が身に及びし影を払え! エインセル!!』


 闇の力を使うとすれば、これしか無いと思っていた。

 単に人間を滅する闇召喚だけを覚えたわけではなく、影を作り出す召喚をトルエノから教わっていたことが、今まさに役立とうとしている。


 もっともトルエノが呼び出した時は、エルフに似た少女が姿を見せた闇魔法だったが。

 

 空も辺りもすっかり暮れ出し、辺りにいた人たちが俺に向かい出した時が訪れた頃――


『あれーー!? え、ここはどこ……? アフルさん、どこです?』


 相変わらず顔をフードで隠したままのアサレアが、そこに立っている。

 一時的な召喚でも彼女がそこにいるだけで、落ち着くのはどうしてだろう。


 強い風で彼女の声が良く聞こえないが、無事というのが分かっただけでもいい。


『ア、アサレアーーーー!!』


『んー? わっ!? ラ、ライゼル!? ……わたしを召喚!?』


 アサレアを呼び、エインセルで俺自身の影を沢山作り出した。

 彼女が驚いている間に、町の人間たちが武器といったものこそ持っていないものの、わらわらとこっちへ向かって来ている。


 アサレアは町の人間たちが迫って来ていることには気づきもせず、俺の所に駆けて来た。


「ほ、本当にライゼル……なの? わたし、道を歩いていたはずなのに」

「ごめん、アサレアに会いたくて、だから一瞬でも話せて良かった」

「ここはどこなの? わたしは今、ライゼルの旧友さんと一緒にリエンガンっていう都市に向かっていた所なんだけど……」


 リエンガン? 魔剣士たちが言っていた迷宮都市か!?

 それに旧友っていったい誰のことなんだ。


「アサレア、手に触れさせてくれないかな?」

「え、ええ? い、いいけど……立ち直って元気になるならいいよ?」


 彼女の手を通すと、混じりけの無い精霊の力が伝わって来ている。

 アサレアには僅かながら精霊魔法を使う力があったのを思い出し、彼女の力を借りたくて呼んでしまった。


 しかし強制召喚のペナルティともいうべき時が、すぐに訪れた。


「え!? な、何だかライゼルの姿が見えなくなって来たんだけど。ラ、ライゼル! アフルさんとリエンガンで待ってるからっ――」


 そう言いながら、アサレアは元いた所に戻された。

 それよりもアフルと聞こえたけど、一緒にいるのはアフルだというのか。


 彼は闇にのまれて俺の呪縛の中で亡くなったはずなのに、どうして――


 アサレアが残していった言葉に何度も首を傾げていると、姿を消していたレーキュリが声をかけてきた。


「召喚士ライゼル。己の影を当てたということは、既にお気づきなのですね。エインセルは確かに闇召喚ではありますが、こんな使い方が出来るとは驚きました。あなたの影、自分自身を沢山作り出すとは意外でした」

「レーキュリさん、それじゃあやはりこの町の人間は……」

「ええ、わたし以外おりません。精霊を人に似せて歩かせたのですが、まだまだでしたね。武器を持たせるようでなければ、襲い掛かる動きだけでは騙せませんでした」


 アサレアと話している最中、彼女の背後には町の人間らしきモノが迫っていた。

 それに対し、エインセルが作り出した俺自身の影を全て体当たりさせた結果は、賢者の言う通りだ。


「ひ、一人で住む町ですか?」

「ふふ、慣れれば大したことではありません。精霊を人に似せているのも、寂しさから来ているかもしれませんね。それ故、ライゼルをここに導いたガルダを第一に守ろうとしたのです」

「城もレーキュリさんお一人で……?」

「ここもかつては、多くの人が暮らしていた場所だったはずです。城は少しずつ直していますよ」

「そ、そうだったんですね」


 こんな崖上に建てている町と城は、いつの時代のものなのかは分からない。

 そしてここに住んでいる賢者と出会ったのも、召喚士として求めていたモノがあったからなのだろう。


「闇召喚ではありますが、エインセルを光にくみすることが出来れば、光の影をも作り出せるはずです。不意に襲い掛かる人間たちには、十分通用すると思いますよ」

「そ、そうか……!」

「さて、精霊たちのわがままについては、城の中で直すことにしましょう」

「お、お願いします!」


 アサレアは変わらず元気だった。

 

 しかしアフルと行動を共にして迷宮都市に向かうと聞いた以上、それまでにトルエノよりも強くならなければ――

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