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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第三章:敵となる存在

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69.賢者の町ルオンガルド 1


「パパ~! こっち、こっちだよ~」


 召喚した鳥獣ガルダ。

 彼女に何故か刻印づけをされて、パパと呼ばれ続けている。


 召喚した後、完全快復の役目を果たして、てっきり姿を消すものだとばかり思っていた。


「早く、早く~!」

「分かったから、落ち着いて」

「フフッ、ほんの僅かな間に親子みたいな感じになりましたね」

「こらこら、ルムデスも落ち着いてくれないと困るよ」

「ですけれど、彼女のおかげでライゼル様は穏やかになられましたわ」 

「そ、そうかな」

「ええ」


 トルエノの闇を一身に受けていた時は、それはそれで最強の力を得られていた。

 けれど、同じ人間たちから追われる運命を背負うことになったのも事実。


 トルエノの闇に引き込まれないようにもっと強くならなければ――


「ライゼル様! 結構大きい町が見えてきました。ギルドがあるのは間違いありませんし、町に入っても大丈夫でしょうか?」

「襲って来る心配があるってこと?」

「……はい。既に世界各地のギルドを通じて、ライゼル様は狙われる運命にあります。大きな町に限らず、小さな町であってもです」


 ルムデスの心配はもっともな話ではあったものの、魔剣士の例もあるように、ギルドとは無関係な人間にすら狙われるようになってしまった。


 これはもう、そういうことになってしまったのだと腹をくくるしかない。

 

「それは多分、平気だと思うよ」

「ガルダ……あの子が案内をしているからでしょうか?」

「そうだね。癒しのガルダ……タンちゃんが進んで俺たちを誘ってるわけだし、危険なことになるとは限らないと思うよ」

「分かりました。ですが、何かが起こるよりも前に、わたくしがライゼル様をお守り致します」

「うん、ありがとう」


 正直に言えば、強さはすでにルムデスを超えたことになっている。


 それでも俺には瞬発性が無く、咄嗟に召喚、もしくは初歩魔法が繰り出せないという弱点があるだけに、結局は彼女に守られている。


 魔剣士の不意打ち襲撃に遭ってから、ルムデスは俺の傍を離れなくなったのが何よりの証だ。


 ルオンガルド――


「タンちゃんはどこに行ったのでしょうか?」

「んー……置いて行かれたのかな。大きい町だと探すのは苦労しそうだし……ううーん」


 俺を呼び続けていたガルダはあっという間に見えなくなり、彼女を追っていたらいつの間にか、ルオンガルドの入り口にたどり着いていた。


 入って驚いたのがすぐ目の前に滝があり、柵から先は進めなくなっていることだった。


 町並みらしき建物と奥に見える城が崖上にそびえ立っていて、町というより一つの国が、訪れる冒険者を拒んでいるかのように見える。


 遠くから見えていた町が、まさかあんな場所にあるとは思ってもみなかった。


「ライゼル様……あそこにはどうやって行くのでしょうか?」

「本当だね。タンちゃんがここにいないということは、飛んだとか?」


 ”ルオンガルド”と書かれた立て看板と僅かな足場には、誰かが立ち寄った足跡が見当たらない。


 あの子は一体どこに行ったのだろうか。

 数歩下がるだけで元来た道に戻ることが出来る……そう思って後ろを振り向こうとした時だった。


『ふふ、お困りの用ですね』


「ライゼル様! お下がりください!!」

「――え」


 崖上の町と城、滝に気を取られていたとはいえ、柵の前に誰かが立っていたなんて、今の今まで気付くことが無かった。


 ルムデスは両手を光らせて、俺を守る為に神聖魔法を繰り出そうとしている。


『……なるほど。召喚士を守る神聖のエルフですか。守られなくともお強いのでは? そうでしょう、ロランナ村のライゼル』


 何でそこまで知っていて、何もして来ようとしないのだろうか。

 この女性は一体、何者なんだ。


 贅沢な絹を使ったヒラヒラなマントを身に付けているし、身なりからして魔法を使う人か、あるいは―― 


「あなたは……?」


『わたしはルオンガルドの賢者、レーキュリ。上に行きたいですか?』


「あ、安全だったら行きたいです」

「ライゼル様、下がって!」

「い、いや、大丈夫だと思うから、君も抑えて」


 見るからに魔法に強そうな雰囲気を感じられる。

 元々ルムデスは人間には注意を払う方だし、警戒するのは無理はないか。


『――いいでしょう。ガルダが呼んだのは脅威ではなく運命なのだとしたら、召喚士を守る術を与えねばなりませんね』


「ガルダ!? あの子がいるんですか?」

「……どうやら危ない目に遭う所ではなさそうですね」


 魔法を放とうとしていたルムデスは、ガルダの名前を聞いてようやく警戒を解いた。

 

『ライゼルはまだ、精霊を使えないのですね?』


 それもお見通しということは、相当な力を持っている女性賢者みたいだ。


『では……飛ばしますので、両足は着地に備えて下さい』


「ひぃっ!? う、浮かんでる?」

「これは……風魔法? それとも精霊の……ライゼル様がシルフを使えていたら、彼女がここに来ることは無かったということでしょうか」

「うっ、ごめん」

「いえっ! わたくしが捕まったばかりに……申し訳ございません」

「っととと……つ、着いた。え、あれ? 地面だ……」

「え、ええ、そうですね」


 賢者が住む町、ルオンガルド。


 ここで何かを掴めばトルエノに近づき、母さんにも近づけるのだろうか。

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