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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第二章:光を求める者

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55.強制強化試練 2-1 過去編


 召喚士見習いの試練……と言っても、ロランナ村のギルドが独自に行うもので、本物の召喚士が俺たちを指導するわけじゃない。


 アフルと学んでいたのも、召喚するやり方だけを講師から見よう見まねで見ていただけ。


「才能とか家柄とか、そういうのじゃないらしいぞ。スキルってよりも、資質とか潜在的なもので召喚出来るみたいだな」

「そ、それだったら、貴族のアフルの方が資質があると思うけど……」

「いーや、それなら両親が転生者のライゼルに分がある。俺は……所詮、貴族の子供だ。たとえ何かを召喚できたとしても、資質が見出されるかは分からない」


 アフルが俺と一緒にいてくれたのは、彼自身に才能の後ろめたさがあるからだと感じていた。


 そして、その時が来る。

 二人一組による召喚対決の試練が行われる時間が来た。


「要はアレだろ? 自然を感じて精霊を出せばいいんだよな? ライゼルよりも先に具現化すれば、俺の勝ちになるだろうし、ライゼルが先なら俺は負ける。まぁ、今までそんなことが出来なかったし、二人で召喚出来なかったら、村を出ようぜ!」

「そ、そうだね。召喚の仕方もよく分からないし、求めに応じる精霊どころか、獣も来てくれないよ」

「……だな」


 俺とアフルは、他の召喚志望者たちとは比べ物にならないくらい、落ちこぼれていた。

 精霊はおろか、弱い獣すらも扱えない。


 見よう見まねで召喚出来ているのは、英雄の子孫の連中だけだ。

 召喚出来るはずも無く、きっと二人揃ってあるいは、アフルだけが呼び出せるものと信じて疑わなかった。


「あぁっ、くそ! 風よ、地よ、水よ! 何でもいい!! 俺の元に来てくれよ!」


 アフルはとにかく必死だった。

 召喚勝負は、日が暮れるまでに何らかを呼び出せば、見習いに上がることが出来る条件だ。


 唱えの言葉なんて習ってもいないのに、自然の精霊が応じるはずも無い。

 そう思っていたのに、アフルの手元には渦を巻いた風精霊が召喚されていた。


 この時点で俺との勝負は決していたと誰もが確信し、アフルの元には、講師や他の連中がもてはやすように集まり始めていた。


「さすが貴族のフィアフルだ。それに引き換え、転生者が親とかほざくライゼルは……」

「貴族とて資質があったからだろ。ライゼルは最弱のまま追放だろ?」


 ――などなど他の連中は、初めから俺には期待もしていなかったという言葉ばかりを投げかけて来る。


 何も呼べていない俺に、アフルは目を伏せて言葉をかけられずにいるのが見えた。


 そんな時、頭の中で母さんに似た声が聞こえて来た。


『ライゼルは弱くない……精霊ではない、我を……呼べ――』


 呼ぶ? 呼んだら召喚出来る?


『我を召喚……すれば――ライゼルは……』


 精霊でも無ければ、何者なのかも分からないまま、俺は頭の中に届いた声に従って召喚のげんを唱えていた。


「闇に響く声……求むるは力。全ての望みを我が元に……我が前に――」


 何が起こるか、何が起きてしまうのかなんて考えもせずに、俺は頭の中に聞こえて来た女性の声に従って、召喚の言を唱えた。


 その直後、ギルドの講師や他の召喚士志望者たちの姿がどこかへ消え、アフルと俺だけが対峙していた。


『な、何だ!? ライゼル、お前……召喚を?』


『わ、分からないんだ。これは僕の力なんかじゃ……』


 ここはロランナ村のはずなのに、全てが闇に包み込まれていて、俺とアフルだけが見えている。


 アフルの手の平から見えているのは、風精霊の力だ。

 そして――


『くくく、我を闇黒から呼び出したのは貴様か?』

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