53.強制強化試練 1-2
「どうした、人間! マリムを下しただけでいい気になってんじゃねえぞ! 相手が変わっただけですぐに弱さを見せやがって、最弱にも程があんぞ」
「……ぐ」
「土召喚で防げねえのかよ、弱い人間だなお前」
苦労して土の妖精マリムに勝てたのに、炎の相手になった途端に苦戦するとか、これが俺の実力なのか。
呼べ出せたルムデスも正気じゃなかったし、俺はどれくらい弱くなってしまったんだ。
「おらぁっ!! 熔けちまえよ、最弱!」
「くぅっ――」
マリムは相変わらず姿を見せないままだが、土の護りを施していて、炎の熱さを軽減してくれているようだ。
そして女の子のはずだったレイムは口の悪い男の子になっていて、隙を見せずに火柱をあちこちに立てながら、俺を弱らせようとしている。
避けることも動くこともままならない。
召喚をさせる気が無いのか、灼熱温度のままで俺を追い詰めて来る。
「うぅ……の、喉が渇く……このまま、俺は――」
「ふん、最弱召喚士のまま逝けばいいんだ。お前みたいな弱い奴になんか呼ばれたくないからな!」
駄目か、土の妖精を得ただけで強くなれたわけじゃなかった。
炎と相性が悪いのは確かなのか、護ってもらえてるだけだ。
炎に勝てないまま諦めを強くしていると、目の前が突然暗転。
レイムの声も姿も無く、ただ暗い闇の中へと落ちていた。
――な、何だここ……
もしかして、熔かされて実体を失ってしまったのか。
「はっ、誰が来たかと思えばてめえか。俺を落としといて、結局てめえも弱ぇままだったのかよ!」
「え……お、お前は」
「お前だぁ……? 最弱野郎も随分と上から言うようになりやがったな!」
「――イゴル……か?」
「けっ! イゴル? ライゼルをいじめていた奴等の名前だけは、しっかり覚えているってわけかよ!」
「だ、誰……」
ここがどこなのか分からない。
もっと分からないのは、イゴルやオリアン、ルジェクは確実に冥界送りをしたことは覚えているのに、それ以外に俺を貶めた奴をほとんど覚えていないことだ。
ロランナ村で散々いじめていたのはあの三人で、もちろんそれ以外の連中にも痛い目に遭わされていた。
それなのに、何故ここで名前の知らない奴に声をかけられているのか。
「――ちっ、なら、思い出せ。てめえが召喚士を学んでいた頃まで、時戻しをしてやるぜ」
「と、時を――!?」
炎のレイムと戦っていた……いや、全く相手にされていなかったけど、俺の意識が落ちて生と死の境界に落ちてのことなのか、それとも何かを思い出す為に迷い込んだのか……召喚士を目指す時に戻るのか?
「またな、ライゼル」
「え、ちょっ――」
これも試練の渦の中の出来事なのか――
『くく、ライゼル……貴様の強さ、我が――』
トルエノ?
もしかして本当に生きるか死ぬかの境界線上で、迷っているのか。
『我も……見極め……そこで――待つ』
トルエノッ! え、待ってよ! 待つって、どこで、どこにいるんだよ!




