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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第四章:最強召喚士の始まり

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36.覚醒の召喚士、悪魔の女王に襲われ、囚われる


 修道士たちを石化させた後、彼らに続いて向かって来る冒険者の姿は、近くに感じられなかった。


「おかしいですね。ライゼル様のことを狙っておきながら、人間たちは個々に判断して動いているということなのでしょうか?」

「それはあるよ。以前俺が嫌な目に遭っていた連中もそうだったけど、彼らはまとめて向かって来ることが無かったんだ。それはどうしてか分かる?」

「……わたくしと悪魔のように、対立しているから……そういうことなのですね」

「そう。獣であろうとみんなが味方じゃない。もちろん、俺を狙うのは賞金とか世界平和とかで来ているんだろうけど、世界中の人間が一斉にかかって来るわけじゃないんだ」

「そうなのですね。徒党を組んで来れば勝率も上がるはずですのに、不思議なことです」


 もし冒険者ギルドに入れていたとしても、スキルの差で自由に動くことは出来なかったのかもしれない。


 所属しても、みんなが協力してくれるわけでもないと考えれば、いいも悪いも判断出来ないだろう。


 村に近づいていたのは修道士だけだったこともあり、引き返して村に戻ると何かがおかしいことに気付く。


「ライゼル様、様子がおかしい気がします……わたくしは、宿を見て来ます」

「うん、分かった。俺は辺りを見回してみる」


 村の真上を飛んでいるはずのムルヴは近くにいないし、出迎えてくれるはずのイビルの姿も見えない。


 元々の住民というべきか、トルエノを除けばミンザーネ村にいるのは、アサレアとレグルスだけのはず。


 廃村だったミンザーネ村の広さは、ありふれた小さな村そのものだ。


 小さな宿と村人が住んでいた住居、外に通じる自由な出入り口が至る所にあるだけのシンプルな村。


 そんな小さな村の住居にはアサレアが籠り、レグルスは朽ちかけた建物を直しているはず……だった。


「……合成士の娘も、イビルも人間の男もおりません。みな、どこかへ出かけてしまったのでしょうか?」

「そんなはずは……第一、村の外の守り神には何事も無かったみたいだし……ううーん?」

「で、では、どこに? 少なくとも人間のしわざでは無い気が……きゃぁーっ!?」

「――え?」


 気づけばルムデスの体は、村の外に放り出されていた。


 彼女は訳も分からずに放心状態となっていたが、すぐに俺に気付いてくれた。


「ル、ルムデス! 大丈夫?」

「は、はい……今すぐお傍に戻――あっ!?」


 え、あれ? 暗闇!? んんん? 何か前もこんなことがあった気が……


 いや、そもそも俺は最強になったんじゃなかったっけ?


 これから世界を支配していくつもりでいたはずなのに。


 気づいたら闇黒に囚われているとかどういうことなのか。


「くくく……召喚士ライゼル」

「――って、トルエノ? 何だ、そうか。こんな手の込んだことをするのは君しかいないよな」

「ライゼル、キサマの望みを叶えてやったぞ。我の望みであるキサマの覚醒を、今すぐここでしてもらう」

「え? 俺の望み? 何だっけ……それにトルエノの望み?」

「くっくっく、受け取れ!」


 何も見えない闇黒世界に何故か招待されてしまった。


 いつもの姿ではなく、妖艶なトルエノは女王ともいうべき姿に戻っている。


 受け取れと言い放った彼女は、手の平をどこかにかざしながら『くくく』と笑っているようだ。


「……来るぞ、受け止めろ」


「なっ!? うあっ!? うあああああ……! し、痺れる……雷を落とすなんてひどい。それに……う、動けない!?」


「くくく……ライゼル、キサマは最強となり世界を支配する覚悟を決めた。だが、そうさせたのはキサマの甘さによるものだ。我が望んだ覚醒は人間としての甘えを消すことにあった。それが消えないどころか、村にノミを住まわせ、呑気にしているではないか! キサマは間の抜けた腑抜けと成り下げた」

 

「い、いやっ……レグルスは職人だし、拠点作りの協力を……」


「黙れ! 覚醒しないキサマを待つのはやめだ。我はキサマを闇黒に閉じ込め、覚醒を求む。その為の奴もわざわざ戻してやった。そいつと戦い、戦って覚醒を果たせば元に戻す。せいぜい存分に戦え! 我をライゼルのモノと認める為にな!」


 闇黒の中にあって、話す相手の姿しか見えなかった視界。


 そんな視界が徐々に薄まり、開けて来たかと思えば、思い出したくも無い男たちの姿が見えて来た。


 俺の前に立ち塞がったその男たちは、トルエノや俺が灰にしたはずのオリアンとルジェクだった。


「へっ、最弱ライゼルと戦えることになるとは思わなかったぜ」

「獣人化した牛にやられちまったが、最弱野郎とタイマンなら負けるはずがねえんだよ!」


 妖艶なトルエノは後方で期待に満ちた目を見せながら、腕組みをして微笑している。


 灰にしたはずのルジェクと、地中に呑み込まれたオリアンは最後に見た姿と変わっていない。


 イゴルだけがいないのを見ると、冥界に囚われた身をここに呼ぶことは出来なかったとみえる。


「な、何で……何で二人が」

「くくっ、キサマの復讐心の多くを占めているのは、その二匹だと思っていた。一匹目は我が倒し、二匹目はアステリオスが滅した。だが、キサマ自身が納得したようには見えなかった。そうだろう?」

「そ、それは……」

「ここでなら庇う人間もいなければ、口うるさいエルフもいない。ここでキサマの真の実力を示せ! 二匹をキサマ自身の手で滅することが出来れば、間違いなく覚醒を果たすことだろう」

「か、覚醒がどういうことなのか分からないけど、もう一度二人を灰にすればいいだけのことだ。そうだろ?」

「灰には出来ない。ここでは人間らしく戦え! その二匹はすでに灰と化している。意味が分かるか?」


 いないはずの存在が、闇黒世界で戻った?


 それはともかく、召喚はここでは上手く行きそうにない。


 トルエノの言う通り、実力で二人を打ち倒すしかなさそうだ。


「オリアンとルジェク……お前らは俺の手で、冥界送りにしてやる! イゴルにはすぐ会えるはずだ。会いたいだろ?」

「ちっ、最弱野郎がいい気になってんじゃねえぞ! お前にやられたんじゃなくて、そこの悪魔に俺は落とされただけだからな! 強いってんなら、かかって来いよ! 村に追放されまくりのライゼルがよ!」


 相変わらず頭が足りなさそうな言葉でしか、俺を罵ることが出来ないオリアンはすぐに倒せそうだ。


「ハッ、まさかてめえごときが悪魔を使役していやがったとはな! 知ってるか? てめえはロランナ村からはいなくなって欲しい存在だったんだぜ? お優しい村人と、家畜だけは大人しかったから知らなかっただろうけどなぁ? へっ! イゴルが威張り散らしていたのは強かったからじゃねえ! 俺の方が何百倍も賢かったからに過ぎねえんだよ! このクソクズの低級最弱卑怯野郎が!」


 なるほどと言わんばかりに、ルジェクの怒りと不満がぶちまけられた。


 村にいてスキルが上がらずに弱かった時は、こいつらの罵りが恐怖だった。


 しかし今これを聞いても、怖さを感じないし、何度でも慈悲を与えたくなる程に憐れになってしまう。


「はは、最弱野郎か。懐かしいなぁ……それじゃ、物理でも何でもいい! かかって来ていいよ?」


『フフッ、我が主ライゼル様の心はすでに覚醒しておいでですのね。残るは――』

お読みいただきありがとうございます。

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