表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第三章:葛藤の召喚士

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/169

23.迷いの召喚士、光のエルフを泣かせる


「バリーチェは余のどこが好きなのだ?」

「えっ!?」

「好きなのだろ? そうでなければあんなにも触れてくるはずがないぞ」


 ムルヴに触れたというと、柱のような足と獣耳だけのはず。


 トルエノの時も黒翼を撫でまくりで契りを結ぶことに繋がったけど、今回も迂闊に触れすぎたのか?


「聞いていいかな? 獣にとってどこかに触れられるのは良くない?」


「余は獣ではないぞ! だが、そうなのだ。生きとし生ける獣たちは、身を守っているのだ。そこに触れて来るだけでも覚悟をせねばならないし、触れたものに捧げる心を持たねばならぬ。よもやその相手が人間であったとあらば、服従をするのは当然なのだ」


 言われてみればそうなのかもしれない。


 獣の体に触れる行為は、攻撃を当てるくらいしか思い当たらない。


 攻撃でもなく、そこに癒しを求めて触れたりすれば勘違いもさせようというものだ。


「そ、そっか」

「気にするでない。余とそなたはすでに契約した身だ。そなたの身は余が案じ、守り通そうぞ」

「あ、ありがとう、ムルヴ」

「……良き響き。ふ、余は余程愛されておるのだな」

「は、ははは……」


 そうこうしているうちに目的の町イックスに着いていたらしく、地上ではアサレアが出迎えていた。


「町に降りたら人間の姿になってくれるかな?」

「良いぞ。ふむ、空を飛ぶ時以外はそうすることにしよう」


 これなら騒ぎになることは無いはず。


 町の外に降りると、ムルヴはすぐに少女に変わっていた。


 変わったまでは良かったものの、女の子におんぶされている姿を見せたのは良くなかった。


「ライゼル……あなた、何してるの? だ、誰? というかさっきのバカでかい鳥はどこ?」

「あ、いやっ……」


 アサレアに見られたのは何となく気まずいだけに、ムルヴの背からすぐに離れてしまった。


「……む? その人間は誰なのだ? そして何故余から離れるのだ? 寂しいぞ」


 トルエノは俺に従うことを決めたからそれはいい。


 残る問題は、他の獣たちにもアサレアのことを認められなければならない。


 まずはムルヴにも許しを求めないと駄目だ。


「こ、この子はムルヴ。こう見えて神の鳥なんだ。今は姿を変えているけどな」

「ふぅん? 空に飛んで行ったあの女性とは別なの?」

「もちろん。そ、それよりさ、この子が仲間になってくれたんだ! これまで行けなかった所に、空を飛んで行けるぞ! このまま付いて来るつもりがあるなら、アサレアもこの子に認められないと……」

「わたしも乗せてもらえるってこと? でもどうやって……あ!」

「ん? アサレア? どうし――」

「どいて!」

「わっ!?」


 どうするべきか迷っていると、突然アサレアが何かに気付いて俺を押しのけて来た。


 そのままムルヴの元に駆け寄ったかと思えば、足の辺りを気にして見ている。


「な、何なのだ? 人間が余に何の用だ?」

「動かないでね! 足が擦りむいて赤くなっているみたいなの。わたしが調合した薬で治してあげる!」

「……む? そういえば少しだけヒリヒリしていたが、バリーチェに抱きつかれて払いのけた時か?」

「気になることを言ってる気がするけど、とにかくこのまま大人しくしていればすぐに良くなるわ」

「……ふむ。名は?」

「アサレア・カルナ。合成士なの」

「カルナか。その働きに免じて、余の背中に乗せても良いぞ! 殊の外、その薬とやらは余に安らぎを与えてくれたようだからの」

「あ、うん……」


 そうか、アサレアの武器は合成士としての腕だ。


 これを使えば残りの彼女たちにも認められるかもしれない。


「そ、それじゃあ、ムルヴはそのままアサレアの近くにいてね」

「そうするぞ。この薬は心地よいのだ」

「ライゼルはどこに行くの?」

「他の彼女たちを探す。町に着いてからドタバタでロクに話もしてないわけだし」

「分かった。わたしはムルヴさんの傍に付いているから」


 トルエノやイビルと接する機会は多かった気がするけど、ルムデスとしばらく話をしていない気がする。


 しかしエルフであるルムデスはあまり人前に姿を見せない。


 小さな町とはいえ、一体どこを探せばいいというのだろうか。


 そういえばここにはギルドがあるのだろうか。あったとしても、入れる保証は無いけど。


「何をお困りなのですか? ライゼル」

「あ、うん。ギルドは無いのかな……って、ルムデス? ど、どこに行っていたの?」

「どこと申されましても、その辺りに潜んでおりましたが。ライゼルこそ今までどちらへ抜けていたのです? 人間の娘がひたすらに探し回っていましたけれど……」

「あー……そ、そうだよね。俺の方こそルムデスを放っておいてたよね」

「わたくしの知らない所で、他の獣と会っていたと……そういうことなのです? 以前にも増して闇の力を濃くしたように感じますが、悪魔と二度目の契約をされたのですね」


 やはり他の獣には分かられてしまうようだ。


 二度も契ったことで獣を絶対服従させることになったわけだし、召喚士との絆を深めたことになるのか。


「うぅ……」

「ど、どうしたの?」

「くすん……わたくしだけ外されておいでですか? 悲しいことです」

「そ、そんなことはないよ? そうじゃなくて、空を飛ぶにはどうすればいいのか分からなくて、それでトルエノに話をしていただけだし、イビルは気づいたら近くにいただけで……ルムデスを外したんじゃないからね?」


 どうして俺は仲間であるエルフを泣かせているんだ。


 こんなことでは強くもなれないし、迷ったままで先に進むことになるんじゃないのか。


「で、ではわたくしとも今一度お結びくださいませんか?」 

「え、こ、ここで?」

「どこだろうと契約は出来ます。それともやはり、わたくしでは不足と……? うぅぅっ」

「わー! な、泣かないで!」


 トルエノと二回の契りを果たし、俺はすっかり安心してしまっていた。


 イゴルはおろか、盗賊相手でも負けることはなさそうなだけに、このままでもいいとさえ思った。


 だけどそうじゃなく、今一度召喚した彼女たちと契約をしなければならないのかもしれない。


 凛とした神聖の長であるエルフのルムデスを泣かせてしまった。


 彼女とももう一度契りを交わして、俺自身の力を高めるしか方法は無い。


「と、とりあえずギルドを探しながら歩こうか?」

「は、はい……」

「ルムデスには助けられているからね。これからは俺がキミを守るよ!」

「あ、有難いお言葉です。このルムデス、召喚士ライゼルの為に尽くすことを誓います!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ