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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第三章:葛藤の召喚士

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22.迷いの召喚士、獣耳少女さんと幻獣契約をする


「で、でかい……犬? 違う、鳥……?」

「余は神鳥セーンムルヴであるぞ! 何ゆえに余を此処へ呼ばれたのか?」

「よ、呼んだ……? え、いつ呼びましたか?」


 意識を落とす前、途中で召喚の言をやめていたのを思い出した。


 あの時の言葉で召喚成立していたとすれば、迷いながらも俺の呼びかけに応えて来てくれたということになる。


 イビルを気にして見てみると、見上げるデカさの神鳥さんに腰を抜かしていた。


 そのまま双葉の芽だけを残し、逃げるように地面の中へと隠れてしまった。


「天に在する神と聞こえたのだ。まさか、余をたばかったのか?」

「い、いえいえ、とんでもない! 俺……いや、僕は空を羽ばたく神鳥さんの力を借りたくてお呼びしたんです」


 目いっぱい見上げても、神鳥さんの全身を確かめられないくらいにデカい。


 足元を見る限りでは下半身は孔雀、上半身は犬のような顔をしているようだ。


 トルエノの黒翼と比べようのない大きな翼と尾は、まるで太陽が間近で燃え上がっているかのように、赤く輝いている。


「力を借りたい……? それはあの者らからのことか?」

「えっ?」


 大きすぎる神鳥さんに驚いていたせいか、こっちに向かって来る集団に気付いていなかった。


 俺が外の世界を知らないだけで、どうやら道行く道には、盗賊や山賊がゴロゴロいるらしい。


「そ、そうです! 助けてくれませんか? えーと、セーンムルヴさま?」

「よい……余のことはムルヴと呼ぶがいい。そなたの名はあの者らを吹き飛ばしてから聞くとする」

「ふ、吹き飛ば?」


 話している間もなく、向こう道から盗賊集団が怒声を張り上げながら、近づいて来ている。


 物騒な斧や鎌を手にしながら、俺に向かって罵声を投げて来る。


『おいそこの! ここは俺らの縄張りだ! 弱っちい野郎が歩いていい道じゃねえ! 金目の物を置いて、とっとと……おいおいおいおい!? な、何だありゃ!?』


 10人くらいの盗賊は俺一人に対して声を荒らげていたものの、神鳥さんの存在に気付いた辺りで足を止め、動きを止めてしまった。


「言葉の程は掴めぬのだが、悪しき者と分かった。そなたは風に飛ばされぬように、隠れておくとよいぞ」

「そ、そうします」


『て、てめえらぁ! びってんじゃねえ! デカい鳥を狩れば当分は食糧に困ることはねえはずだ! 一斉にかかれ!』


「「うおおおおお!」」


 地面の窪みに身を隠し、予想される風圧を避けるように目を閉じて身を屈めて待つことにした。


 しばらくして、さっきまで聞こえていた盗賊たちの怒声は、吹き荒れる風でかき消したかのように静寂を保っていた。


「出て来て良いぞ」

「あっ……え? あ、あの、さっきの人間たちは?」

「空へ吹き飛ばした」

「そ、空に? そ、そうですか。お怪我は無いですか?」

「余が風を起こしただけで空に飛んで行ったのだ。その様な心配は要らぬ……要らぬが、神鳥である余を案じてくれるのか」


 土の中に隠れている間、近くにいたはずのイビルはどこかにいなくなっていたらしく、神鳥さんの相手は俺一人だけでやるしかなさそうだった。


「お、俺は召喚士のライゼル・バリーチェと言います。あなたの力を借りたくてお呼びを――んん?」


 立ち上がりざま、何故か俺の目の前には、ふさふさの柱のようなものがあった。


 そのせいか、ついついそこに向かって手を伸ばし、モフモフな感触に夢中になって抱きついていた。


『……な、何をする!?』


「うわあっ!?」


 ふさふさな柱が動き出すと同時に、数メートルほど飛ばされてしまった。


「やはり謀りか! むぅ……この姿では駄目なのか」


 柔らかい木々がクッションとなったおかげで、大した怪我も無く起き上がることが出来た。


 起き上がった先には大きな神鳥さんではなく、獣耳の少女が無言のままで俺を睨んでいる。


「そなたがそうなのか?」

「はい?」

「余を求める人間なのか?」

「そ、そうです! 神鳥さんの力が欲しいなぁと……」

「……バリーチェと契約する! 余はそなたに従う! これよりは、余のことをムルヴと呼ぶのだ」

「え、本当ですか?」


 知らない間に何かをしてしまったのか、大きすぎる神鳥であるセーンムルヴさんと、契ることに成功したらしい。


「では余に乗るのだ!」

「え? その姿に?」


 人間の年齢でいうと、ムルヴさんは俺と同じ19歳くらいの少女に見えている。


 身長は俺よりも低く小柄な体で、自然な獣耳がパタパタと細かく動いていて、何とも可愛らしい。


 そんな彼女の背中に乗れということだとすると、何だか申し訳ない気持ちが込みあがって来そうだ。


「おんぶ……ですよね?」

「心配するでない。余におぶさった後に、姿を変えるのだ。バリーチェの行きたい所に向かうぞ!」

「そ、そういうことでしたか。そ、それなら」

「さぁ、余がおぶるのだ!」

「じゃ、じゃあお願いしま――」

「み、耳を触るでない!」

「ご、ごめんなさい」


 大きい神鳥の時はふさふさの足で、少女姿の時は獣耳。


 イビル母さんに加えて、俺にとって癒しの仲間が加わったことに喜びを隠せない。


「どこへ向かうのだ?」

「イックスという町にお願いしま……」

「バリーチェと余は契りを済ませたのだ。そなたは余に対し、もっと近しい話し方をしてくれ」

「わ、分かったよ。よろしく、ムルヴ!」

「ではバリーチェ。余にしっかり掴まっているのだ!」


 空を飛び、むやみやたら人間を消さない獣……と言っても、どこかに吹き飛ばしたけど。


 これでようやく空への悩みが消えたかもしれない、そう思いながら彼女の背に掴まりながら空の風を感じていた。


「バリーチェの望む場所に飛んでいくぞ!」

「は、はいいいいい!」

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