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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第二章:下級の試練

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16.下級召喚士、契りの意味と運命を知る


 何と答えればいいのかしばらく悩む間もなく、トルエノが口を開いた。


「……くく、その女にも何かの力がありそうだが、今は宿に向かうとする。ライゼルの話は宿で聞く」

「え、ちょっと? 宿って、女の子と一緒に泊まっているってことなの?」

「そ、そうなるかな」

「……何か納得いかない! 理由を聞かせてもらわないと帰るに帰れないし、わたしもついて行くから!」

「えええ?」


 どうやら城の中の宿は確保出来たみたいだけど、お金も無いのにどうやったんだろう。


 アサレアと再会できたのはいいけど、どうしてついて来るんだか。


「アサレアは誰かと一緒に来たんだよね? 誰と来たの?」

「もちろん村の連中とだけど、ライゼルを連れ戻すとかで上級召喚士も一緒なの……」

「も、もしかしなくてもルジェク?」

「名前は知らないけれど、多分その人だと思う」


 やっぱり見間違いじゃなかった。


 俺を癒すイビルの幻覚の中で見ただけで幻かと思えたけど、本当にルジェクが追って来ていた。


「そ、そうなんだ。その辺も含めてアサレアには落ち着いて話を聞いて欲しいんだ。それを聞いてから、アサレアに決めてもらうから」

「う、うん。よく分からないけど、わたしはライゼルの味方だからね?」

「……うん」


 俺たちの先を歩くトルエノは、珍しく口を挟んで来ることなく、スタスタと宿に向かって歩いていた。


 外から見た以上に住居から守られるような造りになっていて、その一角に宿があり、そのすぐ傍らにル・バラン城の謁見部屋みたいなものが見えている。


「宿のことは、一人で話をつけられたんだよね?」

「当然だ。キサマは何も心配するな」

「追手が近いみたいだけど、大丈夫かな……」

「何かしてきたら消す。それだけのことだ」


 宿に着くとすぐに、トルエノは俺とアサレアの正面に座り、アサレアを威嚇するように見つめている。


「あ、そうだ忘れてた!」

「どうした?」

「遅れてしまったけど、宿を確保してくれてありがとう!」

 

 ギルドの前で言われていたことを思い出したこともあって、トルエノの羽根を全体的に撫でてあげた。


「――フ、フフ……やはりキサマは我が必要か。我に触れられるのはキサマだけだ」

「やっぱり触り心地がいいなぁ……」


 調子に乗って触りまくっても、トルエノは怒ることなく大人しくなっていた。


「ちょっとライゼル! あ、あなた何をしているの!? こんな小さな女の子に手を出すなんて可哀想じゃない! どこの子か知らないけれど、大丈夫?」

「黙れ! 人間の分際で我に近づくな。消されたいのか? 女」

「えっ!?」

「トルエノ、落ち着いて!」

「……ふん」


 トルエノの人間嫌いは生半可なものじゃなさそうだ。


 少しして、俺のスキルのことや召喚としての運命を、トルエノの口から明かされることになった。


「ライゼルに問う。キサマは元から人間か?」

「う、うん。でも両親は俺が生まれる前は違うって言ってた」


 それが村から追い出される原因の一つでもあるけど、召喚スキルが低すぎたのも関係しているから、両親のせいには出来ない。


「闇の支配者と光の守護者か……くくっ、なるほどな」

「え? 信じるの?」

「信じない理由があるとでも? 我を召喚出来たのが何よりの証だ。キサマは闇と光の間から生み出された人間だ。そのせいで、人間の中でも最弱と成り果てた。だが悲観することは無い」


 親たちのせいで最弱だったなんて、そんなのは信じたくなかった。


「くくく、喜べ。キサマは光よりも闇が強い。我と容易く契れたのもそのせいだ。ルムデスと契った時に、火傷を感じたと言っただろう? 光には多少の痛みを伴うが、闇の力を得たことでキサマは我の力をも凌駕出来る存在となるだろう……」


 ルムデスとの契りで感じた痛みはそういうことだった。


 闇エルフのユーベルに抵抗が無かったのも、それが関係していたのかもしれない。


「トルエノよりも強く? そんな、それはさすがにあり得ないよ」

「いや、すぐでは無くても必ずそうなる。我はそう見込んでいる……くっくっく」


 口角を上げて嬉しそうに笑うトルエノに対し、アサレアは話にすら割り込めないまま俯いていた。


「そ、それじゃあ、俺のスキルはどうして……」

「キサマだけに見えていたスキルは見えなくなったと言ったか?」

「――」

 

 目を閉じても、以前見えていたスキルの数字は全く見えなくなっている。


「やっぱり見えなくなってる。で、でも、外での召喚は以前よりは出来ていたよ?」


 そうは言っても良くてビーストくらいだったけど。


「ライゼルの召喚スキルは最早、数字を成す意味は無い。キサマの強さとは関係が無いからだ。だが、人間の状態スキルとしてであれば、この先の動きで更なる成長を見込めるはずだ。我や植物妖精の強さは、キサマの成長次第で変わるが、光のエルフは別だ。この先も契りの獣を呼ぶとするなら、闇が強い獣を呼ぶことだ」


「ど、どういうこと? ねえ、ライゼル! さっきから闇とか光とか、この女の子は何?」


 さっきまで黙っていたアサレアだったものの、怯えたまま黙り続ける性格じゃない彼女は、トルエノの睨みに関係なく、俺に詰め寄って来た。


「こ、この子はトルエノ。小さな女の子だけど本当は大人の女性で、悪魔なんだ」

「何言ってるの? ねえ、ライゼル! 大丈夫なの?」

「だ、大丈夫だから!」


 小さい頃はこうやって、俺のことをよく心配してくれていたのを思い出した。


「低俗な人間、ライゼルに触れるな。人間ごときが気安く触れていいあるじでは無いぞ」

「ライゼルはライゼル! 幼馴染なんだから、気安くも何もないの!」

「……灰になりたいのか?」

「わーわーわー! 二人とも落ち着いて!」


 強さと運命について何となく分かった気がしたけど、トルエノの言うことが正しいとしたら、俺は人間でありながらも、召喚した獣たちよりも強くなって世界をどうにかしていくってことなのだろうか。


 行方を消した父さんや母さんが、どこに行ったのかなんて見当もつかないけど、この世界のどこかにいて俺を見守っているとしたら、俺は両親を探さなければ気が済まない。


「そ、そうだ! ここにも追手が近づいているみたいなんだけど、どうすればいいかな?」

「その追手はそこの人間が連れて来たのだろう?」

「え? わたし? 連れて来たんじゃなくて、ライゼルを探しに行くっていうから……な、何かあるの?」


 幼馴染とは言え、合成士であるアサレアは、ルジェクたちやギルド連中が俺にして来たことをよく知らないでついて来た。


 そうだとすれば、一緒に旅について来て欲しいと思っていた考えを、捨てた方がいいのかもしれない。


「俺はロランナ村から追放されたんだ。それも、ギルド連中も含めて上級召喚士たちから……だから、アサレアは知らない方がいいと思うんだ。これから俺やトルエノがすることは、連中を消すという行為なんだよ」


「け、消す……そ、それは命をってこと? 知らなかった……そこまでのことをされてたなんて」


「キミは合成士として名声が高いし、俺と一緒にいたら仕事にも影響が出て村に居続けることは出来なくなる……だから、俺と一緒にいることがバレる前にルジェクの所に戻った方がいいよ」


 一緒にいられたらと思っていたけど、普通の人間である彼女にはあまりに危険がありすぎる。


「ライゼル、国を出て先へ進むぞ」

「え? 泊まらないの?」

「……ノミどもがキサマに近づいているのだろう? それとも、この地で消すか?」


 せっかく再会できたアサレアだけど、もしここでルジェクを消してしまえば、彼女は行き場を失ってしまう。


 ロランナ村から追い出されたわけでもない彼女を、巻き込むわけには行かない。


「いや、この地を離れるよ」

「外で待つ妖精とエルフを連れて、すぐに出るぞ」

「うん、分かったよ」


 トルエノに続いて宿から出ようとすると、アサレアが俺の前に立ちふさがった。


「ちょっと待ってよ! どこに行くの? 行くならわたしもついて行くから! 合成の力を甘く見ないで!」

「で、でも、人が……目の前で人間が消えることに耐えられるの?」

「ライゼルに酷いことをした人間ってことなんでしょ? 無差別にしているわけじゃないよね?」

「それはそうだけど……」

「だったらついて行く! その為にあんな訳の分からない偉そうな連中に、黙って付いて来たんだから!」

「と、とにかく早く外に」


 こんな形でアサレアを仲間にするとかは考えていなかったけど、合成熟練者の彼女が一緒なら、この先困ることは無くなるかもしれない。


「くくっ、ライゼル」


 アサレアを連れて外に出ると、トルエノは目の前で立っていた。


「ど、どうしたの? トルエノ」

「キサマの召喚だけで、あの人間どもを消せ!」

「――え」

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