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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第八章:支配者

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144.氷姫龍との別れ


「そ、そうなのですね……ユーベルが」

「うん。だから君はもう何も気にすることは……」

「いいえ。それでも、これまでのわたくしの不注意が、今の状況を作り出したことに変わりはありません。いかなる時でも、気は引き締めます」

「そうか。君がそういうなら」

「はいっ!」


 ミンザーネ村に寄ったことと、そこでユーベルに出会ったことをルムデスに話すと、彼女は一瞬ホッとした表情を見せたが、すぐにその顔は気を抜くことのない凛々しいものになった。


 あの村に寄ったのは、単にレグルスに挨拶する程度だった。

 

 しかし四精霊が気付き教えてくれた大地神の暴走とそれによる帰還は、あの村に住む者にとっては良かったのかもしれない。


 ユーベルと話をつけ、リヴェルナを空から呼ぼうとした時、マリムは『あんたに近づけさせないようにするので手一杯だったぜ』と言っていたが、闇の気配の存在は恐らくユーベルが話していた男のことに違いない。


「――ルさま、ライゼルさま。どうかされましたか?」

「いや、何でもないよ。そ、それはそうと、アサレアは変わりないかな?」

「ええ、それはもう。ですが、アサレアさんが目覚めないままで連れて行くおつもりですか?」


 それが懸念すべきことではあるが、ロランナ村に行かなければ目覚めないと言われた以上、守りながら行くしかない。


「わぅっ! ライゼルさま、ルムデスさま!」

「うん?」

「賢者っ、賢者さまがお話、お話!」

「レーキュリが? 分かった。すぐ行くよ」


 狼族のキアは嬉しそうにして、俺たちを呼びに来た。

 賢者からの話は、リヴェルナのことも含んでいるのだろう。


「ライゼルさま、ロランナ村へはキアもお連れになるのですか?」

「そのつもりだけど、どうかした?」

「……それでしたら、アサレアさんを守って頂く役目をあの子にしてはいかがかと……」

「キアを?」

「恐らくですが、ロランナ村はすでに村そのものが城塞と化しているはずです。そんな場所にアサレアさんを近づけさせるには、ある程度人間たちを退けてからになるかと思うのです」

「あぁ、それは……」

「キアですが、あの子は長らく人間たちの害となっていましたが、段丘を守っていた獣です。ですから、守ることには長けているかと」


 なるほど……アサレアのことは実際どうするべきかと思っていた。

 

 ロランナ村が城塞化になっているのもミンザーネ村に行ったことで確信に変わったし、今の俺の力であれば一人ででもロランナ村に行こうと思っていたが、ルムデスが言うようにすれば彼女たちを連れて行くことの方が得策か。


「分かった。そうしよう」

「ありがとうございます、ライゼルさま」


 一人ででもなんて思っていたけど、ルムデスを置いてなんて、そんなことを考えてはいけなかったな。


『お待たせしました。レーキュリさま、お話というのは?』


 賢者やムルヴが待っていた所に行くと、そこにはリヴェルナの姿もあった。

 ルオンガルドの賢者にはすでに話し終えたのか、リヴェルナの表情は沈んでいるように見える。


「召喚士ライゼルは知っていますが、ルムデスさんたちはまだ知らないようなのでお話します」

「な、何をでしょうか?」

「わぅ?」

「あら~? 何かしら?」


 みんな一斉に俺を見たが、すぐに賢者とリヴェルナの方に向き直した。


「氷姫龍リヴェルナ・サーシャは、ここルオンガルドより遥か上空に還します。そうでなければ、ライゼルの支配の妨げとなり得るのです」

「――そ、そうなのですね。サーシャが……」

「わぅ? お空の上?」

「あらあら~やっぱりそうなっちゃうのね~」


 何か意外と驚かれていないな。


「わ、我は氷底で眠っていたに過ぎないのだぞ? そこをライゼルに無理やり起こされて、少しだけ力を貸しただけ! さ、寂しくなんかないぞ?」

「リエンガンでは、サーシャのおかげで助かったのですよ? ふふっ、わたくしは寂しいですよ」

「ルムデスが来たら、いつでも降りて来るんだから!!」


 キアやイビルはそれほどでは無いみたいだが、やはり懐いていたルムデスには隠し切れないのか、抱きしめ合って泣きじゃくっている。


 彼女たちから離れ、賢者レーキュリは俺に話があると言って来た。


「……召喚士ライゼル。あなたが得た龍のエネルギーは、出来るならば使って欲しくありません。すでにあなたには四精霊があり、闇と光を支配した力をも備わっています。たとえ数に物を言わせた冒険者が集っていても、敵にもならないでしょう。ですが……」


 トルエノのことを言っているのだろうか。

 それとも他にも面倒な敵がロランナ村にいるような、そんな言い方にも聞こえる。


「悪魔の……トルエノのことですか?」

「元々はあなたが召喚し、命じていたのでしたか?」

「半分はそうでした。でも……」

「今のあなたなら問題ありません。奪われることも無いでしょう……しかし、ロランナ村全体を包む気配は……とにかく、ライゼルの力であれば――」

「何が来ても以前のようにはなりませんよ。そうですよね?」

「あなたの持つアーティファクト。まずはそこから……」


 英雄クラヴォスのアーティファクトは、俺の腕に収まったままだ。

 

 ロランナ村に行けば分かるだろうし、ようやく彼女を、トルエノを召喚出来ると思えば何も畏れる者は無い。

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