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プロローグ

 昔むかし、まだ人と精霊が心を交わしていた頃、ルーベンブルク王国という魔法の国と、クロディア王国という換学(かがく)の国がありました。


 魔法とは、精霊に相応の対価を支払うことで得られる力で、奇跡の力とも呼ばれていました。しかし、人智の及ばないその力はとても不安定で危険なものだったと云われています。


 換学(かがく)とは、精霊から授かった英知を基に人間が体系化し手に入れた力とされています。精霊の力を借りずとも使用できるため安定的に使えるものの、魔法ほど万能な力ではありませんでした。


 魔法のルーベンブルク王国と換学(かがく)のクロディア王国は互いに、自国こそ真に精霊の加護を受ける大陸の覇者であると主張し、互いの持つ力を手中に収めんと三百年にもわたる長き間、熾烈な争いを続けていました。

 後の世では、この争いを三百年戦争と呼んでいます。


 この不毛な争いの終焉は、両国内で起きたクーデターによりもたらされました。

 クーデターを起こした勢力は、大陸の南部に第三の国となるエルンドール王国を建国し、世界一の兵力を持つ武の国として君臨しました。


 第三の王国の出現により、ルーベンブルク王国とクロディア王国の力関係が崩れ三百年戦争は終結し、世界は一時の平和を手に入れたのです。


 しかし、終戦から五十年が経ち、世界は再び混乱の時代を迎えます。

 ルーベンブルク王国では禁呪とされている黒魔法を完成させようと暗躍しているだとか、クロディア王国では三百年戦争で使われたよりも強力な換学兵器が完成間近だとか、不穏な情報が飛びかい、民は不安と焦燥に駆られていました。


 そこで、エルンドール王国の二代目国王であるハロルド・エルンドールは真の平和を求めて、三国共同の学園を設立します。

 三国の国境が交わる場所に建つビーネ宮殿を学舎に、未来の先導者となる三国の若い貴族達を集め、共に学び生活する事で互いを理解し三国の絆を深めようと画策されたのです。


 混乱の時代を切り抜け、以後これまでに渡る長き平和に導いた最大の功績者が、その学園での初代生徒会長であり、後のエルンドール王国三代目の国王となるレオン・エルンドール王子です。


 彼を語る上で欠かせないのが"六番目の精霊"と呼ばれたクリスティーナ・ウェールズの存在です。彼女には数々の逸話が残されていますが、とても謎の多い人物で、三国の王子を虜にするような絶世の美少女であったとか、はたまた小柄な少年であったなど諸説あります。

 ただ、今の世界の平和は彼女が居たからこそ得られたものだということだけは、歴史が証明しています。

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