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君の後ろに  作者: 餡子
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君の日常と後ろの僕

僕は、今日も君の後ろにいる。


僕が君の後ろに現れてから二週間がたった。

あれから君は毎日僕が寝ている病室に足を運んでくれているね…

僕が君にとってどれほど大切な人物なのかがわかるよ。

記憶が戻っていなくても君を愛おしい気持ちは変わってないしそればかりか日々強くなっていく。

自分の一人称も僕でいいのかもわからないけど今はこれがしっくりくるようだ。

この二週間、君の後ろから見た景色は僕の記憶を呼び起こしてくれそうなものばかりだったけどどれもまだ不発だ。

だが収穫はいろいろあった。

一つはどうやら僕は君の後ろから半径およそ10メートル以上は移動できないということだ。

それ以上行こうとすると見えない壁?みたいなものにぶつかってそれ以上は進めない。

さらにはあまり長く離れられなくなっているみたいで引力みたいなものが作用して君の後ろに引き戻される。

君の後ろにいる分には何の不服もないのだが僕も幽霊?みたいなものになってはしまっているが一様人間だ、彼女とはいえプライベートな時間は距離をなるべく保っているつもりだ。

そしてもうひとつは僕たちは同棲していたようだ。

色々な場所へ二人で行った写真が部屋にはたくさんあったし、なによりもう一人暮らしていた形跡もいくつかあった。

こんなに愛し合っていたのに記憶がなくなっていることが悔しくってしょうがない。

もし今後僕が意識を取り戻した時にこのまま記憶をなくしたままなのだけは絶対に嫌だ。

だから僕の今のやるべきことは早急に記憶を取り戻し、いつ目覚めても安心して君とまたこれからを一緒に生きていけるようにすることだ!

まぁ自分で思うのもあれだと思うがこんな前向きな幽霊がいていいものか…と思うところもあるけど、そもそもが「幽霊がマイナスだ!」っていう固定概念を払拭するいい機会かもしれないと思うことにする。


そして今は何をしているかというと聞かれるとこう答えるしかない。

彼女の後ろにいます。

そう答える以外思いつかないが強いて言うなら浮いています。

できればせっかく浮けるのだから空を自由に飛んでみたいものだが半径10メートルという制限があるのでその範囲でしか飛べないのであまり飛んだ気持ちにはなれない。

おっと、こんなことをやっている余裕はなかったんだ。

僕ははやく記憶を取り戻さないといけないんだった。

でもやることといっても情報収集だがものに触れない、つまり実体がないから視界に入ってくるものと音といった手段の限られたことでしか情報を集めるしかない。

さらには移動も制限されているから君の後ろから見て聞く、これが最も今の状況でできうることだと思っている。

そして今彼女がしていることを観察しているのだが…新聞を読んでいるみたいだ。

読んでいる記事の内容は殺傷事件。

もしかして僕が意識不明の重体になった原因の事件か?

これはかなりの重要な情報ではないのか…見てみるか。

見るならいまめくっている間が勝負だな。

よし。



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