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君の後ろに  作者: 餡子
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幽霊になった日

気がつけば君の後ろにいた。

それは物理的に後ろにいた…というわけではない。

つまり僕は幽霊という実態がない状態で彼女の後ろにいたのだ。


そこは個室の病室だった。

ベットには30代くらいの男性が眠っていて大量の医療器具が横にずらりと並べられていた。

そしてその男性を悲しい表情で彼女は見つめていた。

僕が最初に得た情報はそれぐらいのものだった。

そして僕が幽霊だと気付いた理由は三つある。

一つは話かけても反応が全くないということだ。

無視というより完全に聞こえていない様子だったので聞こえていないのだと悟った。

二つ目にふれることができないということだ。

物や人に触ろうとしても幽霊特有の透けるという現象にあうからだ。

幽霊特有とは言ったが、僕は幽霊を見たこともないので漫画やアニメなどでよくやっている印象だったのでそうは言ったけどまさか自分がそうなるとは…

三つ目は鏡に映らないという現象。

病室にあった鏡をたまたま見たときに自分が全く映っておらず病室内の物しか映っていなかったからだ。

本当はたまたま見たというのは嘘で自分の顔をうまく思い出せなかったので本能的に鏡を探し確認したかったのだ。


そう。

幽霊になっているもしくは見えない何かになっているということがわかったと同時にこうなる前の記憶が消えているのだ。

思い出せるのは少しの断片的な情報しかない。

実は自分の顔だと思われる記憶はかすかに残っている。

そこで眠りについている男性の顔だ。

おそらくこの状況から見ても寝ているのが僕だと思う。

そしてもう一つの証拠に僕は彼女のことを愛しているという強い感情が残っているからだ。

おそらく僕の彼女なのだろう。

そうするとこんなことになってしまって申し訳なく思うし、こんな幽霊になっても未だに君のことが愛しくてたまらない。

なぜ僕は寝ているのだろう…それに生きているのに幽霊になっているのも不思議だ。

ただこうなってしまう直前だと思われる記憶もある。

それはあまりいいものではないが病気でも事故でもなく誰かに刃物のようなもので刺されたようだ。

滲む血・体に複数回振り下ろされる刃物・叫ぶ彼女…

このような断片的な記憶が強く残っていて非常に痛々しい記憶だが僕自身、幽霊になった影響なのかあまり恐怖やそのときの痛みなどは一切なく変な気分だ。

愛している彼女が目の前にいるのに優しく抱きしめてあげることや言葉をかけてあげられないこの状況で非常にもどかしい。

そしてこのときある言葉が強く頭に浮かんだ…「お前に奪われた…」この言葉はきっと彼女と過ごしていた幸せな時間を奪われたということなのだろうか、なにに対してのものなのかはわからない…

でも君と過ごしたはずの時間は思い出せない…

これから僕はどうなってしまうのか、このまま僕の体が目覚めるまで君の背後霊のように憑きつずけるのかはわからない。

だからしかるべきときが来るまで僕は君の後ろで見守ろうと思う。


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