「8分違いのパラレルワールド」
なんとなくの思いつきで書いたのですが、楽しんでいただけると幸いです
ある日、私はいつものように目覚めた。
街行く人、建物は、いつも私が見ているものと同じ。
お母さんはいつもと同じように朝食を準備していて、お父さんはいつものように新聞を読んでいる。妹もいつものようにまだ寝ている。
ただ「何か」が違うのだ。
それが何かはわからない・・・
私は学校へ通って、学校に着いたらいつものようにケータイをいじる。毎日お気に入りのゲームをやってホームルームまでの時間を潰すのが私の日課なのだ。
そして朝のホームルーム開始のチャイムが鳴る。
・・・
ん?
私はケータイで時間を確認する。
[8時22分]
・・・おかしい。私の学校は8時30分からホームルームが始まるはずだ。
ただ周りの人はそれが当たり前のように振る舞い、席に着き、担任もホームルームを始める。
誰もチャイムが早く鳴ったことに気づいてないのだろうか・・・
授業もいつもより8分早く始まった。
多分私のケータイが壊れていたのだろう。
そんなことあるはずがないのだが、私はそう思うことにして授業を受けることにした。
午前中は何事もなく、4限の授業が終わり、昼休みに入る。
私は授業が終わったらすぐ、いつものようにケータイを開く。
時間は・・・[12時53分]
あれ、4限が終わるのは12時45分だから・・・8分遅い。
朝は8分早かったのに、どうしたのだろうか、私のケータイは・・・
教室の時計を見ても12時53分を指しているので、気にしないことにした。
昼休み、私はお弁当を持ってきていないので、購買に行くために財布の中身を確認する。
そこには・・・
見たことのない100円玉、500円玉、さらには1000円硬貨まで入っていた。
私が寝ている間にいたずらでもされたのだろうか?
それにしては悪質すぎると思うが、私は見知らぬお金を使うわけにもいかず、結局お昼を食べずに過ごした。
その日の5限・6限は頭に入らず、ずっと今日起こった不思議なことについて考えていた。
6限のチャイムが鳴る。
時間は・・・[3時22分]
いつもより8分早い。
本当にどうなっているのだろうか・・・
考えても仕方ないと思ったので、私は颯爽と帰路につく。
家に帰って、私はお母さんに今日起こったことを話してみた。時間が8分ズレていること、見知らぬお金が財布にあったこと。
するとお母さんはこう返した
「その何がおかしいの?」 ・・・と
本当にどうなってしまったのだろうか、この世界は。
私は戸惑いを隠せなかったが、考えても仕方なさそうであったので、今日は早めに寝ることにした。
どうか明日には普通の日常に戻ってますように・・・
そう願って・・・
翌朝、私はいつものように、ケータイのアラームに起こされた。
時間は・・・[6時30分]
いつも通りである。
部屋の時計を見ても6時30分を指している。
時間はズレてないようだ。
財布の中身も確認してみる。
そこには普通の100円玉、500円玉、1000円紙幣が入っている。
その日は普段と変わらない時間に授業が行われ、普段と変わらない日常が送られた。
だから、あの日の出来事は夢だった。私はそう結論付けることにした。
ただ、一つ変わったことがあったとすれば、私の机の上に、昨日見た1000円硬貨が一枚だけ置かれていたことだけであった・・・
のちにこの1000円硬貨は「8分違いのパラレルワールドの産物」だと騒がれることになるが、そのことを私は知る由もない。
このお話はフィクションなので、現実のことではありません。
ただ「8分違いのパラレルワールド」という平行世界の存在は信じている人も多いらしいです。
この「8分違いのパラレルワールド」を信じるか信じないかはあなた次第です!