密室 70人
疑似体験を基に作ったフィクション
本日平成××年4月20日、日曜日。奈良県中小会議館4階では、新卒未就職者プロジェクト選考会と英検テストが開催されていた。まさに崖っぷち、いや崖から落ちているようなもんのYアキは、その新卒の面接とテスト、エントリーシートに挑んでいた。
待合室を挟んで向かい側には、高校生やら大学生らが英検テストに臨んでいる。新卒選考会では、友人同士も見掛けられた。Yアキが参加する新卒選考では、順番に来た人に順次番号が渡される。Yあきは9番だった。
そしてほぼ同時に、選考会と英検テストがスタート。選考会の方は簡単な事務的テストが終わると、随時面接に呼び出される。場所は少し離れた、ケイワビルである。エントリーシートに時間が掛かる人が多いので、カバンを置いていく人が多い。Yアキもその内の一人だった。
さて向かい側の英検のテストは、3時半に試験が終了する。私は待合室にカバンを置き、ケイワビルの面接会場に向かった。友人連れの人が、一人で待っていたので、「大丈夫やろ。カバン」と思い面接に向かった。
そして、Yアキの面接は淡々と終わり、元の選考会場に戻ってきた。すると、カバンの中身を見ると財布が無い。Yアキが動揺していると、隣にいた友人であろう一人がトイレから戻ってきた。彼もなんだか動揺している。彼は私を疑っているかのようにこう尋ねてきた。「あのー、コートの中にあった財布を知りませんかね?」と財布が見あたらないんです」その時、向かい側の英検のテストが終了したのだろう。学生らがどんどん帰っていく。そのとき、彼はストップと大声をあげた。「この4階にいた中に財布を盗んだ犯人がいる。」みんな唖然としている。
そのとき係りの女性が「どうしたの?」と彼に尋ね、内容を説明した。 係りの者は「わかった、私に任せて」と返答した。「この4階にいた者の中に、財布を盗んだ犯人がいます。」彼女は、英検のテストが開かれていた部屋に、全員を呼び出し、英検の監督や係りの者と一緒に、犯人捜しをし始めた。
しかし、友人の一人であろう彼は、容疑者であろう人間は、トイレや面接に出向いた者だろうと推測した。出向いた者とトイレに行った者を探した。すると、数人がおろおろと手を挙げはじめた。すると、係りの者が確認し始めた。しかし、彼とYアキの財布は見当たらなく、学生などから「どないなってんねん。早く帰らせろや」など罵声がどんどん飛び交った。財布を盗まれた彼は、沈黙したままだ。
その時、か弱い学生が「あの人もトイレに行ったはずです」と声が上がった。 試験監督も「あの学生、確かにトイレに行ったなと声が上がった。」すると、その学生は「ハイ」と気前が良さそうに声を上げた。「いえ、僕は盗んだりしませんよ」と返答した。その学生であろう知人などから、「A君はそのようなことをする人ではありません。東大寺学園のスポーツ万能で勉強の成績もトップですもん。」
しかし、沈黙を続けていた財布を盗まれた彼は、「じゃあカバンを見せてみろ」と言った。すると、A君は出口から逆の非常階段へと駆け出していった。しかし、天理大学のラグビーをしている学生が、追い掛けA君を捕まえ、連れ戻した。A君は係りの者からカバンの中身を探しYアキと彼の財布を見つけた。A君は「すいません、お金がほしかったんです」と言い、謝った。彼とYアキに、係りの女性の者は「どうする?」と言い、「警察に突き出したい」と聞かれた。彼とYアキは声が一致した。「結構です」と言いその事件は幕を閉じた。
2時間にも渡る事柄が終わると、空は夕暮れ時で、辺りの景色が赤身がかっていた。時は流れすぎ、またいつも通りの毎日に移り変わっていく。
終わり
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