21章 Between Nothingness and Eternity loneliness
遂にOBEY崩壊ですね…。
だけども、TOHO FANTASY Ⅳはここからが本番なんですね…。
ジェノサイスは構えた大剣で一気に斬りかかってくるものの、太刀で彼は受け止めた。
金属音が響き渡り、リヒトも苦しそうな顔をしていたのは事実であった。
甲冑の男は更に大剣に力を加え、一気に押しかかる。
力負けしていた彼の支援に入ったレミリアはジェノサイスの後ろでスペルカードを構えた。
「―――スペルカード!…神槍、スピア・ザ・グングニル!」
掌の上に出来上がりし、紅き槍。
一気に構え、ジェノサイスの甲冑を破るが如く、勢いをつけて彼女は投げた。
彼の背中に刺さった槍は甲冑に罅を作り出し、突発的な大声を彼は上げた。
「うおっ!?」
「今だ!」
大剣の攻撃を見切り、一気に太刀で腹部を斬り込んだ彼であった。
しかし、一閃したのにも関わらず甲冑の固さがダメージを零にしていたのだ。
彼は背中に刺さった槍を引っこ抜き、適当に投げ捨てては大剣を構える。
「…私の攻撃が利かない!?」
「―――貴様の攻撃など、生半可に過ぎぬ!」
「…それはどうかしら!?」
襲い掛かる、巨大な大剣の一撃を見計らった彼女は攻撃を搔い潜り、カードを構えた。
彼は衝撃を伴う大剣の一撃を華麗に躱していく。
リヒトへの攻撃に夢中になっていたジェノサイスへの一撃を―――今。
「スペルカード!…必殺、ハートブレイク!」
放たれた攻撃はグングニルが刺さって罅が生まれた個所に直撃した。
甲冑はレミリアの攻撃を受け、彼は一気に狼狽えの声を上げたのだ。
それは攻撃が間違いなく聞いている証拠―――彼女は攻撃を避け続け、囮となっていた彼に笑って見せた。
そんな彼は彼女に対して頷く。
ジェノサイスは気に入らなかったのか、自身の怒りを大爆発させた。
「貴様ら…!…この私を舐めおって…!」
大剣を荒れ狂ったように振り回す彼が暴走していたのは歴然としていた。
近づけなくなったジェノサイスに、彼女はリヒトの方を見てはウインクを見せる。
その行動が何を示していたのか―――彼は分かった時、太刀を天に掲げた。
「―――幻象召喚!…『ヘリオスフィア』!」
◆◆◆
最後にヘリオスフィアの熱攻撃を受け、彼はそのまま暑さで悶え死んだ。
残酷な死に方であったが―――これが彼女たちの信念であったのだ。
後ろで戦いを怯えながら見ていた阿求は腰を抜かしており、体をガタガタ震わせながら立っていた。
「…ひっ…ひっ…」
「エニルクスの癖して、怯えた表情を見せるのね。…無様よ、阿求」
言い放ったレミリアはそんな彼女を軽蔑視していた。
いざとなっては怯えて身体を震わす彼女の行動―――それが気に入らなかったのだ。
「…悪いが、今からここを"爆破"する。…文句は無いだろう」
「―――貴方たちは…何の為に抗ってるんですか…!?」
彼女の必死の声。
その一筋の声は2人の心の中で何度でも呼応した。
「…どういうことだ」
「―――私たちはこの世界を統治している…。…だけど、それを貴方たちは"壊す"!
…ここを爆破するのは自由よ、でも…世界に傷をつけて、何を目標としているの!?」
「悪びれたフリをさっきまで見せておいて、ここで正義を語らないで貰えるかしら!?」
彼女の怒号は阿求の鼓膜を揺らした。鮮明な彼女の声―――。
怒りを露にしたレミリアは、怯えている阿求に迫った。
「無辜の民を犠牲にすることは、貴方たちも同じじゃない!
―――トフェニ政権なんて、ただの表面上の存在じゃない。何処が"政権"よ。
…世界をほったらかしにしておいて、自分たちだけは強大な力を得ている!…貴方たち摂理府の事よ!」
「…」
彼女は黙り込んでしまった。
レミリアは一旦、ため息をつくと両手を組んだ。疲れたのだろうか。
「…貴方も死ぬのよ。…罰を受けなさい」
「嫌です…それだけは…それだけは!」
「―――レミリア、そこら辺にしておけ」
彼はヒートアップする彼女に宥めるよう制止をかけた。
どうして自分の正当な考えが彼に否定されるのか、彼女は分からなかった。
が、自分を撫でる彼を見据えると…やはり、そんな怒りは馬鹿馬鹿しく思えてしまう。
「…エニルクスにも考えはあるし、自らエニルクスに選ばれた訳では無い。…そうだろう?」
「…」
彼の正論に、彼女は下を俯いた。
―――だが、自らが阿求に死を要求していたこと―――それは恐ろしくも思えた。
人は怒りで何にだってなれる。殺人も容易で起こせるのだ。
「…悪いが、2人が喋ってる間に私はダイナマイトを仕掛けた。…パチュリーから貰ったものをな」
「…リヒト、貴方いつの間に…」
彼女は彼の行動に気づかなかった。
よくよく考えてみれば、彼は会話に参加していなかった。
「…1つに火を付ければ、全て誘爆で爆発する」
「―――でも、どうやって火を?」
その時、彼は薄笑いを口元で浮かべて…静かにそう述べた。
「…幻象召喚を忘れたのか?」
◆◆◆
ヘリオスフィアを幻象召喚した彼は設置したダイナマイトを一気に爆発させた。
ヘリオスフィア自身に任せた為、バイクでビルから脱出した後、自動的に本部ビルは崩壊した。
中にいた阿求はパラグライダーか何かで勝手に避難している。
「…これでOBEYは鎮圧、崩壊した」
「―――もう襲撃には襲われないのね」
「…そうだな。…一先ずは帰ろう、報告だ」
バイクのアクセルを踏み切った彼は、大規模に爆発するビルを背景に、摂理府営高速道路を駆けた。
虚しく響き渡るエンジン音…それは2人の心を示唆しているかのようであった。
―――Between Nothingness and Eternity loneliness.
―――虚無と永遠の孤独との間で。




