幕間~エレナ
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エレナ目線で書きました笑
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私は物心着く前から剣の道を進んだ。
正確に言うと、進まされたという方があってるのかもしれない。
何故なら、父により剣の道に引き込まれたのだから。私にとって父は恐怖の対象であった。なので父の言うことには逆らえなかった。
それから学院に上がるまで、ずっと剣を振っていた。
学院に上がってからは、ごく普通の生活を送った。朝はみんなと同じ時間に起き、みんなと一緒に朝食を取り、勉学に励んだ。
自慢ではないが、自分は整った顔だと思っている。現に、学院ではラブレターを10枚以上もらったしね♪
しかし、生まれてからその日まで恋愛をしたことなどなかったし、好かれることもなかった。要するに、どうすればいいのかわからなかったのだ。そこでとったのは、友達に相談するということだ。その時の親友が私の相談に乗ってくれて、アドバイスをしてくれた。
そこで私は恋愛というものの理屈を知った。
私が恋愛について第一に思ったことは、恋愛は身を滅ぼすことだ。
話によると、恋というものは病であり、かかると胸が痛くなったり、呼吸が荒くなったり、死にそうになるのだそうだ。
私はそこで、無意識に恋愛を捨てた。
そして学院生活も1年が過ぎた。
学院では2年生になったら演習にいくのだ。
帰れる条件は、5対以上のアリゲーターの捕獲、討伐である。
アリゲーターはDランクの魔物である。普通に考えて学院にアリゲーターを狩ることができる生徒は居ない。何とか狩れるとしても、かなり時間がかかるだろう。
恐らく、自分の強さを知るための狩りなので、実際狩れなくても良いのだろう。
しかし、私にとってアリゲーターは単なる爬虫類みたいなもので、楽に狩ることができる。
一時間ほどで5匹を狩った私を見て教師が驚きを隠せていなかったが、無事目標を達成した。
そしてその帰り道。
事件が起こった。
夕焼けで野原が赤く染まり、綺麗な絨毯みたいになっていた。その野原を教師と生徒たちで歩いている。生徒のみんなはくたくたになりながらも、必死に教師に着いてきていた。私は疲労も何もないので、平然と歩いていた。
しかし、その態度がとある貴族には不満だったらしい。
「お前は人間じゃないだろ!見たぞ!アリゲーター相手に手加減しているところを!」
何と子供なのでしょう?私が相手をするとでも?
当然無視した。
相手するだけで疲れるから。このような人種は。
下手したら、アリゲーターと戦うより疲れるかもしれない。
そんなわけで、見向きもせず歩いた。
その行動に、貴族さんも激おこのようだった。
「む、無視とはいい度胸だな。覚えてろよ。」
珍しいことにそれだけで終わった。
何か裏でもあるのかしら?だとしても私は自分を守るものがあるからいいんだけどね!
と言うことで、帰ったあとも何もなく、普通の日々を過ごした。
しかし、普通の日々は長くは続かなかった。
私の悪い噂が流れたのだ。
私は悪魔と契約している。と。
馬鹿馬鹿しいにも程があるのだが、学年全体にその噂が流れると最悪なことになる。
流れてしまった噂は簡単には消せないのだから。
すると、私に話しかけてくる人がいた。
「おやおや、エレナではないか。どうしたんだい?」
にやにやしながら貴族が話す。
確信犯ですね。
腹が立った。こんなゴミに私の生活を壊されるなんて。許せない。
そして、次の言葉で私の理性がふっ飛んだ。
「私の妻として来てくれたら、エレナを守るよ」
その言葉を聞いた瞬間、剣を握る。
その動作に反応しきれていない貴族が、まだにやにやしている。
そして、剣を抜き、貴族の首の皮を切りつけた。
血は出ていないが、痛みはある。
ひぃぃいい!と情けない声を出しながら逃げていく貴族。
スッキリしたエレナは、寮に戻るのだった。
翌日。私は退学処分になった。
何故私が?と思ったが、客観的に見ると私が全面的に悪いことがわかった。
荷物をまとめに寮に戻るの。
しかし、途中に男子生徒6人が私の行く手を阻んだ。何と諦めの悪いやつだろう。私は剣に手をおく。しかし、学校からは校内での抜刀を禁止されている。した場合牢や送りにされる。
恐らく、その事を知っているのだろう。もしくは、そうさせたのがあの貴族なのかもしれない。
「貴様は私を傷つけた。その対価は体で払ってもらうぞ!」
男子生徒の顔が笑みに変わる。
気持ち悪いことこの上ない。
襲いかかってくる男子生徒たち。
対術は使えるのだが、それだけで数の理を越すことはできなかった。
捕まってしまい、物陰に連れていかれる。
魔法により、声が出せなくなっていた。これでは助けを呼ぶこともできない。焦るエレナ。
貴族による命令で他の男たちは帰らされる。
その際、魔法の笛を使い、私の体の自由を奪う。
にやつきながら手を伸ばしてくる貴族。
その手がエレナの胸に触れる。
等のエレナは無関心だった。そんなことよりも、解呪の方が先だ。
そして、貴族の手は胸から下へと下がっていく。
さすがのエレナも不快感を感じたが、それと同時に解呪に成功した。
貴族の渠にエレナの拳がめり込む。
足が震え、地面に四つん這いになった貴族が胃から競り上がってきた吐瀉物をぶちまけた。
貴族を切りつけたり殴ったりと普通は許されない行為であるが、幸い学院では身分差別がないため、喧嘩として不問となった。
退学となってから家に戻ったエレナは、父から怒られると覚悟した。
しかし、実際は違った。
家にはいると道場に連れていかれた。そこには真剣を左に持った父がいた。立っているだけで周りを威圧させる存在感。覇気と呼ばれるもので、獲得するには長い年月修行しなくてはならない。その時点で父に勝てるとは思えなかった。
父から声がかかる。
「エレナ。お前に剣を教えたのは、自分を守るための護身術と、大切な人を守るための剣術だ。決して人を傷つけるものではない。」
今回の貴族を切りつけた事に対してだろう。
怒りに流され切りつけてしまった、自身の甘さが原因だ。それについては反省している。
「私も反省しております。怒りに我を忘れ、感情のみで動いてしまいました。」
「よろしい。そのようであれば、次がないように心がけろ。」
はい。と返す私を、父はなにも言わず見据えていた。
「エレナ。お前に守りたい人はいるか?或いは思い人はいるか?」
「いいえ、おりません。今回のことで、恋愛と言うものに興味がなくなりました。」
父の目が細くなる。
それと同時にピーンと張り詰める空気に変わった。居るだけで気が狂いそうな、静かで冷たい空気は一瞬で緩んだ。
「旅に出てきなさい。各国を回り、お前が守りたいって思う人を探すのだ。それが人でなくても、一人でなくてもいい。エレナの気持ちにしたがうのだ。」
「はい。父上。」
私はそれだけをいい道場をあとにした。
それから各国を回り、1年で名を知らないものはいない程になった。
「剣の女神」
Sランクの古竜を討伐する作戦に参加したときに、私を見てとある冒険者がつけたあだ名だ。他の者も見ていて同じことを思ったらしく、あっという間に噂が広まってしまったのだ。
あるとき、ラビットホーン討伐のクエストを受け、森に向かった。クエストの内容通り、この辺りでラビットホーンが大量にいた。ラビットホーンは大して強くない。ただ、速いのだ。その速さと、角の固さでミスリルの武具を凹ましてしまうほど。
避けながら狩りをするのは少し厳しいのだが、なれてくればそこまででもない。
さくさくか倒していく。すると、人間の魔力をエネルギーを感じた。その森には強い魔物が出るため人間は少ない。いるとしたら盗賊だろう。
その場所へ向かう。
そこには一人の少年が立っていた。
盗賊か?と訪ねたが違うと言われた。
しかし、私にはわかった。こいつは手練れだ。
それを裏付けるかのようにエレナの剣をいなしていく。どれも致命傷を狙ってきりつけているのだが、足をうまく使って体を反らすのだ。
暫く続いたこの攻撃は、エレナのスタミナが切れて終わりを告げた。
死を覚悟するエレナ。
しかし、少年は気にもしていないようだった。
名前は白兜というらしい。尋ねたら答えてくれたのだが、そのあとに私を美少女と言ってくれたのは嬉しかった。恐らく、言葉に欲が含まれていなかったからだと思う。普段は欲まみれの言葉で、心には届かない。なので、素直な言葉で言われると心に響いてしまう。
顔は赤くなってないよね??
どうやら記憶喪失らしい。名前以外は忘れてしまったとのこと。なので、町に戻ることにした。
そのときからだ。
胸の奥が痛いのは。
前に親友が言ってた恋というものはこれなのであろうか。
しないであろうと思っていた恋。
周りの男子はみんな下品な目で見てくる貴族達だけだった。
だからだろうか?
しかし、ふとおもったのだ。
この人を守りたいと。
エレナはこの直感を信じることにした。
そこで目が覚めた。
隣には少年ー何故か少女の姿になってしまったーが寝ている。
性別が変わってしまっても、彼を守りたいと思う気持ちは変わらなかった。変態と思われてもいい。
周りの目より、自分の気持ちを大切にしたい。
そのためにもっと強くなりたい。
その気持ちを盛って、エレナは竹刀を握り外へ向かうのだった。