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―第弐章 銀色のスチューデントキャンソル―

 生徒会室前に着いた俺たちは、コンコンとその扉にノックする。



「失礼しまーす」

「はーい、いらっしゃーい♪ 俊くん、ジュンちゃん、優稀ちゃん♪」



 テンションが高く可愛らしい声で中に入る俺たちを迎えてくれたのは、この学園の生徒会長、中目無綺羅(なかめなしきら)先輩。

 昨年にこの学園に転入した先輩で、右目が金色、左目が青色の瞳のオッドアイの持ち主で綺麗なセミショートの背がちっこい三年生の先輩。この向島学園のアイドルでもあるおひとだ。ちなみに「ジュンちゃん」とは樹里のこと。



「どうしたのん? ここまで走ってきたみたいだけどさ」



 先輩はニコニコしながら俺たちに訊ねる。



「あの、もう聞いていますか? 転入生のこと」



 訊くと、先輩は「あー、なるほどね」とポンっと手を打つ。……可愛い。



「うんうん。なんでも、俊くんたちのクラスと一年C組に来るんだってね。たしかね、どっちも女の子で物凄い美少女さんだって話だよ♪」

『おお!』



 笑顔でそう答える先輩の言葉に、俺たちは期待に溢れた声を上げる。

 なんと! 美少女さんですか! 一年C組の方も良かったな! 美少女だってさ!

 ……あれ? 一年C組って妹の歩美と同じクラスじゃなかったかな。だったら、歩美と

も仲良くやってほしいな。



「じゃあ、みんなでお茶しよっ。今なにか持ってくるからね♪」

『はい!』



 そうして俺たちはニコニコ顔の先輩のお誘いで、生徒会室でお茶会をしたのだった。



     ❁ ❁ ❁



 一時間後。



「さーて、私はこれから風紀委員長さんと会議だからそろそろかな?」



 先輩のその一言でお開きになった。



『失礼しましたー』

「はーい。また遊びに来てねん♪」



 先輩に別れを告げ、生徒会室を出た俺たちは下駄箱に向かった。それにしても……今日も可愛かったなぁ、先輩。あのひとの行動そのものが常に可愛いもんなぁ。



「……鼻の下伸ばしてるわね」

「いひゃい、いひゃいよ」



 癒されている俺の頬を引っ張ってくる樹里――っいたたたたたたたっ! 痛いって!

 それにしても、なんで俺の考えていることがわかるんだ? そんなにわかりやすい顔しているのか、俺?



「今『俺、そんなにわかりやすい顔しているのか?』って思っていたでしょ、俊ちゃん」

「…………」



 ……そうか。俺はそんなにわかりやすかったのか。

 ちょっと複雑だった俺の視界に――青が映った。



「やぁ、これはこれは俊輝くん」

「こんにちは、龍侍さん」



 俺に話しかけて来たのは、三年生の風紀委員長、京竹龍侍(きょうたけりゅうじ)さん。

 去年、綺羅先輩とこの学園に転入してきた渋めのイケメンで、飄々とした性格をしている。着ている服が上下ともに武士が着ていたような特徴的な服装。そしてその上に白い羽織を着ており、さらにその上にはド派手な青い着物を羽織っている。

 ……名前と見た目の通り、どう見ても侍だ。ついでに言うなら時代が間違っている。もっと言うなら校則違反だ。そしてその役職が風紀委員長だ。ツッコミどころ満載である。しかし、似合っているからなにも言えない。顎の無精髭も際立って見えるし。

 ちなみに先生たちからは黙認されている。

 龍侍さんに訊いてみたら、初めはなにかと言われていたらしいが、剣道の地区大会の優勝という記録、さらに学校の成績を先生たちに突き付けて無理矢理納得させたらしい。

 あと、容姿とその独特のファッションセンスから女子には結構人気ではあるのだが、彼自身、女好きで少しだらしないところがある為、なかなか芽吹かないらしい。



「今から帰るのかい?」

「はい。龍侍さんはこれから生徒会室ですよね」

「あぁ、綺羅ちゃんが言ったんだね。てことは、キミたちは生徒会室にいたのかい?」

「はい、転入生についてちょっと」

「あー、うん。まあ、仲良くしてやってね。くれぐれも風紀を乱さない程度にね。じゃ、バイバイ俊輝くん。あと、そのお友達も。もしかしたらいきなり襲ってくるかもしれないから気をつけてね」

「手ぇ出しませんよ!?」



 驚いてツッコムも、龍侍さんは「はっはっは」と楽しそうに笑って手を振りながら生徒会室に向かっていった。



「あんたって、さりげなく色々なひとと知り合いよね」

「うんうん。さっきの風紀委員長もそうだけど、綺羅先輩だって最初に知り合ったのは優稀たちじゃなくて俊ちゃんだったの」



 不思議そうに俺に訊くふたり。



「去年に困った様子の綺羅先輩を手伝ったことがあるんだよ。そのとき偶然、龍侍さんも一緒でな。それからだよ。あのふたりに仲良くさせていただいているのは」

 あのときは大変だった。色々と。

『ふーん』

「まぁ、いいじゃねぇか。ほら。帰ろうぜ」



 こうして、俺たちは帰路についた。







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