忘却、それは人類に大切なことだ!
タイトルが思い付かない
第八話『忘却、それは人類に大切なことだ!』
始まります
あの後二、三回林で戦闘した後にユウヤとメイは急いで街に戻ってきていた。
「やべぇ、危なく忘れるところだった」
「っていうか今の今まで忘れてたんですけどね」
「うるせっ、スキルなんて入ってすぐに忘れてたわっ!」
そう、彼らはスキルがあることを忘れていたのだ。
スキルも最初は『審判の神殿』でゲットでき、無料で七つプレゼントされるというやさしい設定になっていて、これ以外だとその他の商店で有料で取り引きとなる。
ちなみにメインスキルスロットは全部で七つだ。つまり、この最初のスキル選びが全てを決めると言っても過言ではない。
一応メインと取り替えが出来るサブスロットは三つ、つまりスキルは多くても十個しか持てないのだ。
つまり、なんとなく持っておこうなどという甘い考えは通用しない厳しい設定になっている。
ユウヤとメイはまたも互いに秘密でスキル選びに向かった。
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スキルというのはいろんな種類がある。
【投げる】、【ダッシュ】、【泳ぐ】、から【火術】、【ジャンプ】、【鉄壁】に【槍術】、【念話】、さらには【伸びる】などという訳の分からないスキルまである。
一応スキルを成長させるとそのスキル特有の人技というものが使えるのだが、【伸びる】の人技とはなんなのか、もしかしてどこぞの麦わらみたいになってしまうのかもしれない。
補足しておくと、人技とはあるポーズを決めると発動する起動型人技と常に発動している支援人技に別れていて、この人技が無いと、ゲームに爽快感が生まれず、ファンタジーゲームの意味がない。
ユウヤは黙々と、しかし少し詰まりながら、それでも迅速にスキルを選んでいった。
まず、マジシャンなので【火術】、【風術】、そして【杖術】、回避用に【ステップ】、【ダッシュ】、牽制に必要な【投げる】、最後に【見切り】、まぁ名前を見れば分かる奴しかないだろうが、一応説明しておくと、
【火術】…いわゆる火系の魔術。
【風術】…いわゆる風系の魔術人技を持つスキル。
【杖術】…いわゆる杖を使った戦闘方法の人技を持つスキル。
【ステップ】…緊急回避みたいなものの人技を持つスキル。
【ダッシュ】…動きの速さを上げる人技を持つスキル。
【投げる】…レベルが上がるほどいろんなものを正確に投げれて、さらに威力が上がる人技を持つスキル。
【見切り】…クリティカル率が上がったり相手の攻撃の予備動作が見えたりする人技を持つ前衛の必須とも言える大事なスキルだ。
自分でこれでいいのか確認をしっかりしてからOKを押してメイの元へ向かう。
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「ユウヤさん!見せ合いっこしませんか?」
「おうともさ!」
「いっせーのっ!」
「せ!」「せ!」
互いにせという掛け声と共にスキル画面を見せ合う。
「あ!結構綺麗に纏まってて、いい感じですね」
「そっちもザ・ヒーラーって感じ」
「なんですかザ・ヒーラーって」
そう言ってから笑い合う二人。
ちなみにメイのスキルは【隠密】、【回復術】、【調薬】、【水精術】、【補助魔術】、【飼い主】、【友情】
となっており、意味は
【隠密】…敵に見つからないようになったりする人技を持つスキル。
【回復術】…いわゆる回復させる魔術人技を持つスキル。
【調薬】…薬とか道具を作れる人技を持つスキル。
【水精術】…エルフ特有の水の精霊を使った魔術人技を持つスキル。
【補助魔術】…ステータスを上昇させたり耐性を付けたりする魔術人技を持つスキル。
【飼い主】…アシストアニマルのステータスを向上させたり、アシストアニマルに特殊な人技を使わせたり出来るスキル。
【友情】…フレンド登録及びパーティー登録がしてあるプレイヤーに治癒、支援系の魔法をかける時その効果が25%上昇する人技を持つスキル。
となっている。
「改めて見るけど、ちゃんと考えてるなぁ」
ほぅ、と感心して画面を見るユウヤ。
「えへへ、そうですかね」
メイは恥ずかしいようで照れ笑いを浮かべる。
「だってパーティーのためだろ?この【友情】ってスキルは」
「まぁ、お役に立ちたいですし」
やっぱり、あまり褒められ慣れていないようで、そう言った後、メイは突然に話題を変えた。
「こ、これからどうします?スキルを使って早速戦闘でもしますか?」
「いや、今日はこれからバイトがあるんだ。メイ、ごめんな」
ユウヤは手を合わせて申し訳なさそうな顔をしている。
「そうですか、……はい!、分かりました。では明日は何時に?」
「今日と同じ時間でOK?」
「はい!ではまた明日」
手を振ってログアウトするメイ。
ユウヤは申し訳なさそうな顔をしながらも笑顔を作って
「じゃあな!」
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「いらっしゃいませー!」
今、ユウヤはファミレス『ニートファミリア』という店でバイトをしている。
すると、先輩がうちのバカから聞いたのか此方にやって来る。
「なぁ、ユウヤもETOやってんの?」
ちなみにETOは『永久の旅人』の略で、エターナルトラベラーオンラインと英語にしてから省略したのでETOとなった。
「はい、美麗先輩はやってたりするんですか?」
「ああ、私も一応レイというキャラでプレイしてるぜ」
「へぇ、今度見かけたら声掛けてみますね」
「え~?そこはメッセージダイヤルを教えて下さいとか言わないのかよ」
何故か文句を言う先輩。
「言いませんよ、そしたらナンパみたいじゃないですか、それと仕事して下さい」
「そうだぞ美麗、祐哉を見習ってちゃんと仕事をしろ」
「あ、祐哉だけ贔屓してズルいぞ」
「僕は真面目に仕事をしてますから」
「お前、いい度胸してんじゃねえガフッ」
メニューで頭を叩かれる残念な美麗先輩。
「ほら、仕事をさっさとする」
「さっすが美希先輩!頼りになりますね」
「ちょっと待て祐哉、なんか扱いがちげぇし、変なこと考えてなかったか?」
そんな会話をしながら結局ダイヤルを教えないままバイトは終わっていき、終わった時にはもうみんなそんなことなんか忘れていた。
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