我が剣の錆となるがいい!
あまり進んでませんが(>_<)
第五話『我が剣の錆となるがいい!』
始まります
「じゃあ、行くぞ」
そう言ってユウヤは洞窟から森へと足を踏み入れる。
あの後、お互いに軽い荷物チェックをした後、心の準備をして、今は最後の確認に入っている。
「はい!!」「キャン!!」
メイとワッフルは同時に返事をする。
「お前ら、仲良いな」
ユウヤはクックッと笑いながら待っている。
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そして、森の中
「来たぞ、モンスターだ!」
ユウヤの目の前には前回同様の≪Lv.5 ワイルドウルフ▲≫が三匹、全体的に茶色な≪Lv.7 フォレストバード▲≫が二匹、出現した
メイは防御しながら、ワッフルはやる気まんまんの姿勢でユウヤの指令を待っている。
「メイは防御しながら俺の目に入る場所で逃げ回って、ワッフルは俺と攻撃、行くぞ!」
「はい!」
「ワン!」
元気の良い返事を聞きながらユウヤは駆けていく。
ユウヤはまずはじっこの飛びかかろうとしているワイルドウルフAに目をつけ、近づきざまに左ジャブを顔に向かって放ち、左を引き戻し、右ストレートを顔面にぶち当てた。
飛びかかろうとしていたワイルドウルフAは見事にコロコロ転がっていき、木に頭をぶつけ、粒子となって消えていった。
「ガルルルルッ」
そう鳴きながらユウヤに体当たりをするワイルドウルフB。
「食らうわけには、いかん!」
ユウヤは右に転がって回避する。が、転がったさきにはフォレストバードAがまっており、フォレストバードAは細くなって、飛び込んできた。
その攻撃にタイミングを合わせて
「どりゃっ!」
フォレストバードAの顎に右でアッパーカットをぶつけた。
そのパンチの勢いのまま、フォレストバードAは吹っ飛んでいった。
それを追撃しようとしているユウヤにワイルドウルフBが飛びかかって来たので、あわてて両腕をクロスさせて防御するが、敢えなく腕を引っ掛かれた。
「ユウヤさんっっ!!!」
そう叫んでいるメイを尻目に、ユウヤはズサリ、と後ずさったあと、今度は防御に使った両腕を地面に着かせて
「メイ、俺は大丈夫だから、さっ!!」
その姿勢からクラウチングスタートを決めてワイルドウルフBの元へ一瞬で駆け寄り、怒涛の三連撃を放つ。
「せいっ!」
まずワイルドウルフBの頭に右で肘鉄を食らわせ、頭が下がった所を
「よいしょっ!」
左でアッパーを当て、浮き上がった腹に向かって
「でりゃっ!!」
右で思いっきりボディーブローを放った。
ワイルドウルフBはアッパーの時にもう力が尽きてたようで、最期はボディーブローを食らいながら粒子となった。
ふぅ、と一息ついたユウヤだが後ろで何やら物音がしたので振り向くと、その先には
「おいおい、早くね?」
フォレストバードAがすでに体勢を立て直して、飛び上がっていた。
「まぁいい、しょうがないから、相手してやんよ」
ユウヤはメイの前だからか、少し格好つけて、右手で挑発をするように手招きをする。
その挑発を知ってか知らずかフォレストバードAは直後に突っ込んできた。
「よく見とけっ!」
そういいながらユウヤは木にかけ上がる。
フォレストバードAは少し軌道を変えつつも、ユウヤに照準を合わせてすごい速さでこちらに来る。
「とうっ!」
限りなくフォレストバードAを引き寄せ、ユウヤは相手の頭上に飛び上がり、くるりと一回転して
「食らえっっ!!」
脳天に踵落としを食らわせた。
フォレストバードAは地面に叩きつけられ、粒子となって消えていった。
「ふぅ、結構疲れるなぁ」
ため息をはくユウヤにメイとワッフルが近づく。
「すごいです!!ユウヤさん!」
「ワンワンッ!」
「あれ?ワッフルもう倒したの?」
「ワン!」
元気良く返事をするワッフル。
「よくやったな」
「キャウ~」
撫でられてワッフルは喜んでいるようだ。
「ユウヤさんってなにか現実で何かやられてるんですか?」
メイはついそう言葉を溢した後、顔を暗くした。
「うん?やってないけど、どうして?」
それに気付かず平然と答えるユウヤ。
「いえ、そんなに動けるのは何か現実でスポーツとかやってるのかな、と思いまして」
ユウヤのその平然としている姿を見て顔を明るくするメイ。
「ううん、バリバリの帰宅部だよ、まぁ多少は筋トレしてるけどね」
ユウヤは少しを指で表現しながら話す。
「へぇ~、じゃあどうしてユウヤさんはあんな攻撃が出来るんですか?」
「いや、マンガ読めばこれくらい妄想できるでしょ」
ビシッ
空気が凍る
「あれ?今何か不審な言葉が聞こえましたけど」
「あれ?妄想って不審な言葉なの?」
「へぇ~、妄想って不審な言葉じゃないんですか」
さっきと違うトーンでへぇ~というメイ。
「うん、結構いい言葉だと思うよ」
またもや気付かず平然と答えるユウヤ。
「妄想が、ですか?」
「もちろん、行き過ぎは良くないよ。現実と妄想を一緒にして犯罪を起こすなんてもってのほか」
でもね、とユウヤは続け
「人間に適度の妄想は必要だよ、例えそれが変態な妄想でも、それで毎日働く活力になったりするわけだから。」
「まぁ、言い方を変えれば、人生を変えたり光らせる希望になりうる力って訳」
「だから、メイも存分に妄想しちゃいなよ」
「そういうもの何でしょうか?」
「そういうものだよ、妄想ってのは」
「最近は妄想という言葉だけで嫌悪感を抱く人がいるけど、妄想は人だけが出来る偉大な力なんだよ」
そう力説するユウヤだった。
「…分かりました。これから解釈を改めますね」
にこやかに笑いながら喋るメイ。
「ところで、ユウヤさんレベルどのくらい上がりましたか?」
「いや、まだレベル1だけど」
首を振るユウヤ。
「そんなはずありませんよ、私もうレベル2で、後ちょっとで3なんですよ?」
「でも、音鳴ってないし」
「…もしかしてオプションでレベルアップ時に鳴る音の設定オンにしてないんですか?」
「え?最初からオンなんじゃないの?」
「ADW社の小さなイタズラですよ、私もオプションを見て初めて気付きました」
「本当だ。無駄なところで意地悪なんだからなぁ、ADW社は」
「本当そうですよね、……あの、お互いにステータスを見あいませんか?」
「ん?まだEP振ってないからステータスは変わらんよ」
EPとはエルオーネポイントの略で、要はレベルアップした時にもらえる(普通に上がるステータスとは違い)、振り分けることでステータスを上昇させるポイントのことだ。
これによって、他の人とは違う唯一無二のキャラクターを造り上げることが出来るのである。
「それでもいいですから!」
メイは何故か強く押す。
「まぁ、そこまで言うんなら」
ユウヤが言った途端、顔が輝くメイ。
「じゃあ、いきますよ、せーの」
どん、と言ったと同時にお互いにステータスを見せあうユウヤとメイ。
「ワウ~?」
一人、いや一匹取り残されるワッフルであった。
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ユウヤ 旅人 レベル3
メイ 旅人 レベル2
感想どしどし待ってまーす。
この頃更新が遅くなっていく、頑張らないと(`・∀・´)