ゲームの地に、俺見参!
展開が早いかな……
第二話『ゲームの地に、俺見参!』
始まります
「おわぁ、すげぇよこれ」
この世界に来て初めての言葉がそれだった。
目の前に広がるのはただっ広い草原だけだった。
しかし、ただの草原と侮ることなかれ。
この草原はなんと、踏めるのである。
いや、VRだから当たり前だ、と思うかもしれないが、実際に体験してみるとそんなものではないのだ。
ゲームらしさを少し残しながら見える草原の爽やかな風景
そして地面を踏んだときに起こる現実同様の反発力
さらにその地面や草原から香る少し夏らしい匂い
「全て、さいっこうだ!!」
さて、この草原をじっくり眺めながらこれから何が起きんのかなぁ、と思っていたら
目の前にいきなり小さい人間みたいなものが現れて元気に言い放った。
「あなたのせんぞくサポーターをつとめるハーピーです、これから、どうぞよろしくなのです!」
わざわざ下手な敬語を使ったり、喋った後に俺に向かって敬礼をするなど、このハーピーという奴はどうやら強者であるようだ。
――――――――――――
「まず、あなたのなまえをおしえてくださいです!」
事前に調べて、言葉で名前を決めることを知っていたので祐哉はこう答えた。
「俺の名前はユウヤだ。これから宜しくな」
「はい、こちらこそ、よろしくです、ユウヤさん!」
「ではつぎに、わたしのなまえもきめちゃってください、ユウヤさん!」
「ん?さっき自分でハーピーって言って無かったか?」
「はい、いいましたですけど、それはしゅぞくめいでまだわたしのなまえはきまってないのです!
だからユウヤさんにきめていただきたいのです!」
ん~、そうだな、
「……じゃあリィンなんてどうだ?」
「リィンですか。…ありがとうです!いっしょうだいじにするです!!」
そう言ってリィンはまるで大切なものを胸の内にしまうかのように抱え込む動作をする。
グハッ!
悶絶ものである。
――――――――――――
その後も軽いキャラクターメイクの調整や前回説明したようなゲームの軽いチュートリアルを聞き終わり
「さぁ、もうチュートリアルはおわりですけど、なんかしつもんがあればおっしゃってくださいです。」
「特には無いな」
というか事前にパソコンで確認したので質問などあるはずがない。
「じゃあ、もうゲームをはじめるですけど、いいですか?」
「ああ、いいぞ。」
「じゃあ、3………2……1…スタートです!」
その瞬間、目の前が真っ白になった。
――――――――――――
俺は今、『アルビダ』という国の中にいる。
あの後、目を開けたら『アルビダ国へようこそ!!』と書かれたアーチ状の門の前にいて、門番に許可を得て、入ってきた所存である。
ここでこの世界の説明をしておこう。
この世界はわずか一つの国しか存在しない。それがこの『アルビダ国』でみんな最初は城下町に入れる門のどれかに跳ぶようだ。
国が一つしか無いので戦争などはないが代わりに魔物に襲われている、という状況だ。
テンプレ通りにギルドもあり、よくあるVRMMO小説のような町並みに城下町はなっている。
「とりあえず、装備を買わないとな」
そう思い、『アルビダ』の城下町を歩き始めたところで一つメッセージが届いたという連絡が視界の右上に表示されたのでユウヤは目を向ける。
「ったく、一体誰からだよ?」
そうぼやきながら、ユウヤは右のこめかみを右の人差し指で二回叩く。
すると、メニュー画面が現れるのでそのなかのメッセージ一覧をタッチしてそのメッセージを見たのだが……
――――――――――――
「ったく、お前かよ、てっきり綺麗なお姉さんからのお誘いかと思ってたのに」
「もう少し喜べよ、親友がきたんだぜ」
あのメッセージは武彦から送られてきた。
内容は『よ、親友!今どこにいるんだ?』という非常に簡単なものになっていて結局、噴水前の広場で待ち合わせをし、今は入店して一杯目が無料な喫茶店に二人で入ったところだ。
ちなみに何故こいつが俺にメッセージを送れるか説明しておくとメッセージダイヤル(携帯でいう電話番号兼メアドって感じ)を俺は携帯のメアドと一緒にしてるからだ。
「で?何でお前がここにいるんだ、武彦」
「よくぞ聞いてくれたな、これには谷よりも深く、う」
「あ、じゃあいいです」
「すいませんでした、本当は一言で終わっちゃうぐらい浅い話です、お願いします、聞いてください」
そう謝りながら武彦はおれの腕を両腕でガシッと、掴んでいる。
「谷よりも深いんじゃ、無かったのか?」
「いやだなー、ちょっとしたジョークですよっ!ささ、どうぞお座りください」
なんかイラッとした。
が、このままでは話が進まないので腕を振りほどき、椅子に座り直し、しょうがなく聞いてあげることにした。
「で?何でなんだ?」
「ふっふふーん、簡単に言うと親からプレゼントしてもらったんです」
そう言ってピースをする武彦。
一瞬なにいってんだこいつは?、と思ったが、ああ、そうか、とすぐに思い直す。
「そういや、お前ん家って金持ちだっけ」
「そうよそうなのその通り!」
そう言いつつ武彦は未だにピースをし続けている。
こいつ、武彦の父親、遠藤紀彦は世界に名を轟かすあの有名な『遠藤コーポレーション』の社長で家も当然金持ちの家である。
その家で育ったからなのか、こいつはとんでもなくバカでお人好しな野郎になった。
きっと、溺愛されてるんだろうなぁ。
ちなみに『遠藤コーポレーション』というのはおれも良く分からないのだが、日本の品物の80%はこの会社から回した物らしい。あくまで噂だが…
「なぁ、ユウヤ、一緒にパーティー組もうぜ」
「却下だ」
「え?なんで!どうして?」
詰め寄ってくる武彦を見ながら言葉を吐く。
「お前なぁ、パーティー組むにしても、二次職業になってからだろうが」
そう、これが理由である。初期職業はみんな同じく‘旅人’なので、パーティーを組んでもあまりメリットが発生しない。
「いや、でもさ、初めてのVRMMOでのモンスター狩りだよ、緊張するじゃん」
「その緊張感が良いんだろ、分かってないなー、武彦は」
「分かったよ、一人で悲しく狩ってますよ」
そうしくしくとウソ泣きをしている武彦
「おら、フレンド申請お前に出すから、登録しとけよ」
「え?……登録してくれんの?」
驚愕している武彦をほっといてメニュー画面を操作してユウヤは武彦にフレンド申請を出した。
「但し、その代わり明後日にメッセージ出すから、それまでに旅人をレベル5まで上げてこいよ、じゃないとパーティーは絶対に組まないからな」
「了解であります、隊長!」
「うむ、よろしい」
武彦(この世界での名前はタケのようだ、理由は『いや、この方が、覚えやすいじゃん』とのこと。あまり変わらない気もするが……)
とは喫茶店を出た後にすぐ別れ、俺は早速モンスターを狩りに、南門まで軽く小走りしていったのだった。
感想どしどし待ってまーす
他にも誤字・脱字、またはこうした方がいいんじゃない?などのご要望も遠慮なく書いちゃってください。