いざ、出陣!
駄作ですが、それでもいいならどうぞご覧あれ
第一話『いざ、出陣!』
始まります。
少し変えてみました。
ミーーンミンミンミンミン
夏の日差しを浴びて熱く火照った耳をセミの声が叩く。
「おーい、祐哉、一緒に帰ろうぜ」
そんな耳に武彦独特の男っぽい声が響く。
「分かったから少し待てよ武彦」
そう俺こと祐哉は言い残し、友達(武彦ではない)と一緒に掃除を終わらしていく。
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「いいよなー、お前はあのゲームが出来て」
帰り道の途中、突然武彦がそうぼやいた。
「なんだよいきなり、お前だって買えばいいじゃん。」
そう俺が応えると
無理だよ、と武彦は言葉をこぼし、続けて
「だいたい祐哉さぁ、わかって言ってんの?ソフトにゲーム専用のVRMMO機の『黄金の微睡み』まで買ったら総額百万を越えるし、それに予約待ちで今予約しても約1年かかるんだぜ」
それもそうかと、祐哉は考えを正す。
「まぁ、うちも偶然抽選で当たっただけで、そんな金持ってないしなぁ。」
「お前はいいよなー、無駄に運が良くて」
「無駄ってなんだ、無駄って」
「だってさ、だってさ」
そうぶつぶつと文句をこぼしている武彦は放っておいて、祐哉は一人思考の海に沈む。
先月、VRMMORPG『永久の旅人』が来月の今日発売する、とADW社が発表した。
ADW社は過去に多数RPGを排出していて、その内最も売れたのが『旅人よ、永久にあれ』というゲームでよくある王道ファンタジーなのだが、職業設定の幅広さやスキルの豊富さなどが人気を呼び、今やその名前を知らない人など日本にはいない、と言わしめるほどの会社に、ADW社はなっていた。
もちろん、俺も武彦もそのゲームにはまっていた。
そのゲームをVRMMO版として作り出し出版されるのが今日発売される『永久の旅人』だ。
先程言った通り俺はとある抽選でソフトと『黄金の微睡み』の両方を手に入れたのだ。
親はやる気がなく、一人っ子なので俺はこのゲームが出来た。まさに天の采配だな、うんうん。そう一人で頷いていたらまた武彦が
「クソッ、これがおれの限界なのか」
そう言葉を漏らして膝から崩れ落ちた武彦に一言
「諦めな」
「うわーーん、祐哉なんて大っ嫌いだぁぁぁ」
そう言い残し武彦は一人でどこかに駆け出していった。
ふぅ、やっと一人で考えごとができるな
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『永久の旅人』はまずみんな最初は‘旅人’という職業に就いていてそこから派生していく。基本的にはレベル5から第二次基盤職業に就ける。
そしてその第二次基盤職業は次の7つに分かれている。
まず、定番である平均的なステータスを持つ‘戦士’
次に遠距離攻撃を得意とする‘弓使い(アーチャー)’
敵を魔力を使って消し去る‘魔術使い(マジシャン)’
みんなのサポートや回復を受け持つ‘回復士’
速さや盗みに特化している‘盗賊’
近接格闘に強い‘格闘家’
みんなの武器や防具を作る‘鍛冶士’
という風になっている。
その後も三次、四次……と続いていくがここでは割愛する。
人種もまた色々選べる仕組みになっているがこれも詳しく説明したらきりがないので大分類だけ紹介しておこう。
力に特化している代わりに魔法が使えない《鬼人族》
精霊魔法を唯一使える《妖精族》
化法という特殊な技を覚えれる《獣人族》
器用ですばしっこい《小人族》
そして、平均的だが、古代呪文を持っている《人間族》
以上の五つが大分類の人種となっている。
これらの設定がなんの意味を持つかというと、
職業はスキル補正、
人種はステータス補正、
の役割を果たしている。
例えば、‘格闘家’なら【殴る】、【ジャンプ】などのスキル補正がかかり、力にはプラス、知力にはマイナスのステータス補正が《鬼人族》の場合はかかるようになっている。
この人種も職業と同じくレベル5から選べるようになり、このゲームはそこからが醍醐味なのである。
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「おし、先に準備しとくか。」
あの後、祐哉は遠藤と別れ、自分の家に戻っており、今は『黄金の微睡み』でキャラクター登録というものを行おうとしていた。
ここで『黄金の微睡み』の形状を説明しておこう。『黄金の微睡み』はマッサージチェアみたいなのに、ヘッドギアを付けたような形をしている。
なぜ、ヘッドギアだけにしないかと言うと、マッサージチェアみたいなのに座った方がより仮想世界に入り込みやすくなると、実験で分かったからだ。そのせいで価格は上がってしまったが……
一応ゲームを始める時に普通はキャラクターを設定するのだが、一刻も早くゲームをプレイしたい人のために先にキャラクターメイクだけ『黄金の微睡み』で設定出来るようにしてあるのだ。
「よし、………コネクト、イン!」
その言葉と共に祐哉は意識を微睡ませていくのだった。
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「こんにちは。」
祐哉の意識が浮上した時、そんな文字が目の前に現れた。
(うわっ!こんな感じなんだ、すげぇ!!)
祐哉が驚くのも無理はない。
祐哉は今真っ白の部屋に一人浮かんでいるのだ。
ちなみに実はこの部屋、事前に設定で模様替え出来るみたいだが、祐哉は面倒そうなのでパスした。
「何をなさいますか?」
文字と共にいろんな項目が表れるが、祐哉はその中から上から二番目の項目をタッチした。
「キャラクター登録ですね。」
そう文字を残し、さっきまであった項目が消え去り、代わりに自分そっくりの等身大の人形とそれぞれの部位の項目が浮かんできた。
ここで祐哉の容姿を説明しておくと、後ろ髪は首まであり、左に前髪を流す感じのヘアスタイルで、顔はまぁ、中の上ぐらいのもんだ。祐哉は髪を少し灰色に染め、目を藍色にするぐらいの変化しかしないで、登録を完了した。
別に自分の顔が好きなわけではないが、かといって見慣れたこの顔を変えるのもなぁ、と思い、結局あまりいじくらない方針に固まった。
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ゲームソフトのダウンロードや現実で最新情報を見るなどもろもろの準備を終え、後はゲームが始まるのを待つだけになった。
チッ、チッ、チッ、
刻々とゲーム開始までの時間が過ぎる。
あと残り3分、、、
あと残り2分、、
あと残り1分、
5………4………3……2…1、
「リンクスタート!」
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