第一話 「強者は弱者を喰らう」
「あさの...浅野駅...。これか」
電車の切符を買うために駅名と値段を確認する。
なぜなら今日は入学式だからだ。
やっとの思いで合格することができた高校。
そして俺は電車に乗り込む。
「.....満員電車か。まあ仕方ないか」
俺がギリギリ入れるスペースがあったのでそこに身を置いた。
電車の中は蒸し暑い。
とか思っているといきなり俺と同じ制服をした女子が俺に話しかけてきた。
結構いいスタイルである。
ーー「そこのあなた、その電車から降りて。」
「...え?俺ですか?....嫌です。」
ーー「この電車、満員なのは知ってるでしょ?私も入りたくはないけどこの電車に乗らないと遅刻なの」
「....遅刻、ですか。でも俺が降りたとしたら俺が遅刻する羽目になるので無理ですね」
ーー「レディーファーストって...知ってますか?」
「知ってますけど今は関係ないです。俺がしたい時にそうするようにしてるんで。残念でしたね」
ーー「は?....てかあなた私と同じ新入生なのね。」
どうやら俺と同じ新入生らしい。
学年ごとに制服の色が違うのでわかったのだろう。
ただそこで電車の扉が閉まった。
ーー「あ...ちっ!、、、覚えてなさいよ」
(こえー。目つきやば)
その女子が舌打ちをして外から俺を睨む。
そして数時間の末に、学校へ着いた。
「ここが新しい学校かー...。見た目は普通だな」
綺麗でも汚くもない外見の学校。
この学校は一年制で、その名の通り1年間を無事に過ごせたら卒業して就職できる。
ただ、政府はこの学校の教育方法にいて何も言及していない。
けど俺は気にせず、校門へと足を進めた。
「俺のクラスは....1年5組か。」
(それにしても人がいないな...俺が遅く来たせいか?)
クラスが掲示されているところに誰も人がいない。
1人くらいいてもよくない?そんなに俺遅かった?
そして1年5組の教室に入った。
(.....ん?やべぇ....俺やったわ)
ーー「..........。」
ーー「...........。」
教室に入ると、さっきの女子1人を除いて全員が着席して静かにしている。
後ろのドアから教室に入った俺はやけに目立った。
(....俺の席どこー?....あ、ここか)
俺の席は、教卓から見て一番後ろのど真ん中だった。
しかも俺の一個前がいないということは、もうそういうことだろう。
しばらく待っていると、担任の先生らしき人が教室の前の扉から入ってきた。
ーー「はいどうもみなさんこんにちは!いやおはようかな?はい!この5組の担当になりました!ユーチューバーもやってるミハルです!!」
先生が黒板に「ミハル」と名前を書いた。
(うわー....めちゃくちゃ字汚いじゃん)
ーー「ミ...ミハル?ミハルってあの....?」
ーー「嘘だろ....まじかよ!」
ーー「フォーー!!最高だぁぁ!!!」
ーー「こういう顔なんだ!!かわいい!」
(なんだ...?みんな急に)
先ほどまで、お葬式のような空間だった教室が一瞬で賑やかになった。
俺にはなぜそうなったか全くわからないが、みんなの様子を見守ることにした。
ーー「先生!あとでサインください!!」
ーー「...!!ならサインは一枚500円ね!」
ーー「えー金とんのー。」
ーー「でも500円で買えるならよくね!?」
ーー「まあ確かに...!先生やっぱ買います!」
クラスの半分が、先生の指定したように並んでサインをもらっている。
一枚500円。学校の教師がこんなことしていいのだろうか。
サインは相変わらずの字だ。
(字やっぱ汚ねぇー....)
数時間後。
俺たちは入学式を行う場所、体育館に行くために廊下に整列した。
(はぁ...友達できるかな、、、)
ーー「到着到着....。」
(...は?やっぱ俺のクラスなのかよ)
さっきの迷惑系女子が、俺の目の前に並んだ。
すると、後ろを向いて話しかけてきた。
ーー「ねぇ君!名前なんてい...は!?さっきのやつじゃん!」
「偶然だな。しかも同じクラスなんて誰かに仕組まれでもしたのかな」
ーー「は?なわけないでしょ。」
「とりあえず歩けよ。まあ置いてかれてるぞ、後ろも詰まってる。」
ーー「....え?あぁ!早く行かないと」
その女子は後ろが詰まっているのにも関わらず俺との話を続けた。
前の人はみんな歩き出しているのに、その女子が遅れたせいで俺たちも遅れる羽目になった。
そして校長の挨拶から入学式が始まった。
ーー「はい...みなさんおはようございます。この学校に入学したということは、わかってますよね?」
(え....何々怖いんだけど)
ーー「こほん。とりあえずこれで入学式を閉じます。あとのことは各組の担当の先生の指示に従ってください。以上」
(はっや...入学式一瞬で終わったんですけど)
入学式が終わると俺のクラスの担任であるミハル先生が現れて俺たちに指示を出した。
ーー「はいみなさん入学式お疲れ様でした!」
(お疲れ様って言われるほど頑張ってねぇ...)
ーー「皆さんはここに一列で並んでください!渡すものがあるので」
(渡す物....なんだろう)
そう指示された俺たちは一列に並ぶと、みんなが先頭から順にその渡す物を配られていく。
何を持っているかは背中しか見れないのでわからない。
ただみんなが不思議な顔で帰っていく。
次に俺の番が来た。
ーー「えーっと...千賀原翔くんだったかな?利き手はどっち?」
「利き手...?なんでですか?」
ーー「いいからはやく」
「............、左手です」
ーー「じゃあはいこれっ!!腕時計よ。時間を確認したり、テストの点数に応じてここにお金が入るからそれが使えるの!」
「この学校で何を買うってんですか」
ーー「ここはね、コンビニとか図書館があったり外にいろんな種類の自販機があるからそこでいろんなものを買えるのよ。」
「へぇー...」
ーー「じゃ!今ここでつけてね!私が確認したら教室に戻るように!」
そして体育館を出る。
教室に戻る最中、俺は時計を手で触ってみた。
触った瞬間、生徒手帳のような情報が出てきた。
「....ん?なんだこれ」
名前:千賀原 翔
点数合計: 500 ✖︎50 (学校内で使える金銭)
違反回数: 0
時間に加えてこのようなものが表示された。
点数合計というのは、さっき担任も言っていたこの学校で使える金銭らしい。
(違反回数ってなんだ?...校則とかかな)
ーー「...なにしてんの」
「うわいたのかよ」
ーー「今きたのよ」
さっきの女子が、俺が階段を登っている途中に前から降りてきた。
「....これ見てみろよ。」
ーー「え?なにこれ」
「一個だけ言うと、点数に応じて金がもらえるってことだ。」
ーー「そんなシステムあっていいの?」
「....まあ使いたいなら使えって話じゃないのか?」
ーー「へぇ......」
すると、真上の放送マイクから放送が始まった。
ーー「今日の場所は教室です。繰り返します、今日の場所は教室です」
ピンポンパンポーン。
(.....は?今日の場所ってなんだ?」
ーー「今日の場所...?どういうこと?」
「いやわかんない。ミハル先生に聞いたらわかるんじゃないか」
ーー「じゃあ早く聞きましょ」
「おう」
気になった俺たちは教室に速やかに戻り、ミハル先生に聞いてみた。
ミハル先生よりも俺たちは遅くなってしまっていた
ーー「先生、今日の場所が教室ってなんですか?」
ーー「あーそれね!!今日の夜はここにいなさいって意味よ」
「夜...?家には帰れないんですか」
ーー「当たり前じゃない!!入学資料ちゃんと見た?そこに今日からこの学校を卒業するまで帰れないって書いてあったはずよ」
「.....いやそれはないです。俺はちゃんと見たんで」
ーー「......まあ、いわなくてもそういうことよ。大丈夫、この学校は設備もちゃんとしてるし服とかもあるし、保護者にも伝えてあるわ」
「そうでしたか。なら先生はこの学校からは帰れますか?」
ーー「...いや先生たちも帰れないけど?」
「なるほど...」
この学校はクソだ。
俺はユーチューブを開き「ミハル」という言葉を検索にかけた。
運がいいのか悪いのか...まあとりあえず、ミハルという人のプロフィール画面を見せた。
「このミハルって人...あなたじゃないですよね」
ーー「....は!?私よ!!」
「じゃあ今ライブしてるらしいんで見てみましょうか」
ーー「.......!?」
ミハルというユーチューバーは今、ライブ配信をしている。
このユーチューバーは顔出しをしていない。
簡単にいうとVtuber。
「このミハルさんは今ゲーム配信してるらしいですよ」
ーー「それは....わたしよ、、」
「ほんとに...見損ないましたよ先生....、、生徒に嘘をついて金を巻き上げる。先生も生徒と同じでこの学校から出られないんだったら金は必要になる。」
ーー「........何が言いたいの」
「自分が生き残るため、金儲けをするためならば生徒はただ金をくれる道具にしか思っていない。」
ーー「......ふはは、ふっはははは!!私も、死ぬわけにはいかないからね!」
「....死ぬわけにはいかない?」
ーー「そうよ!!この学校は社会に出てから生き残れるかどうか試す学校!社会に出たら嘘や詐欺なんてどこにでも存在するからな!」
教室にいたクラスメイトは先生の暴露にドン引きしている。
加えて、金を巻き上げられた怒りを感じている者もいた。
ミハル先生、いやこの先生は「ミハル」ではなかったのだ。
「だから...生徒が詐欺にかけられないか試したんですね...てか死にはしないじゃないですか」
ーー「殺されるのよ!!私はもう死ぬけどな!」
「......どういうことですか。教えてください」
ーー「その時計はもう外せない...」
「......!?」
俺は腕時計を外そうと試みるが、ほんとに外せなかった。
「なんで....利き手を聞いたんですか」
ーー「今ある校則のうち、一回破るとその時計がつけている腕が使えなくなるの...麻痺してね。そして2回目に破った者は「死ぬ」。」
「......え?」
存在が薄くて気づかなかったが、さっきの女子も隣で震えていた。
絶望の顔をして。
「.....つまり、先生はこれで2回目ということですか。だから黒板もサインをする時も片手だけしか使ってなかったし、字も汚かった。なぜなら利き手じゃないから。」
「それと腕時計、片手しか使えないなら先生が俺につけることはできない。だから目の前で、先生が確認できるところで自分につけさせた、と。」
ーー「そういうこと、中々頭がきれる生徒ね。有望な人になれるわ。じゃもう時間ね、さよなら」
「.......は?」
その瞬間、目の前で先生がつけていた腕時計が爆破して先生は死んだ。
周りに影響はなく、本人だけが確実に死ぬ威力で爆破したのだ。
ーー「先生.....てかさ、嘘でしょ....わ、私....利き手に腕時計つけちゃったんだけど....」
「そりゃそうだろ。普通、利き手聞かれて嘘答える人いるか?ましてはあの状況、入学式で。嘘言うやつなんかいないと思うけど」
ーー「えぇ....最悪。校則一回も破れないじゃん....」
(破るつもりだったのかよ...)
ーー「えーっと...千賀原くん?千賀原くんって左利きなんだね!時計左手についてるし!」
「あー....それ嘘。」
ーー「....は!?」
ーーーーーー「俺は右利きだ」
新作です。
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