彼
特に何も考えていません。生きづらい自分を救うために書きます。
彼は、側から見れば幸福だった。
仲の良い両親のもとに生まれ、したい事はおおよそ何でもさせてもらえた。
幼少期は父母の愛を受け、健康にすくすくと育っていった。彼の親曰く、多少乱暴な一面は見えたが、優しさ溢れる良い子だったそう。また、彼の親はこうも語っていた。
「小学校では、毎日友達とくだらない話を帰りながらして、たまに喧嘩もしたりして。そんな子になってほしい」
彼はその言葉の通り、すくすくと育っていった。お昼休みは友達とサッカーをし、授業が終わると家に帰りゲームをする。たまに友達と喧嘩をし、その度に先生に仲介されて仲直り。先生や両親は彼を、所謂普通の、一般的、普遍的、そういう子だと思っていた。
それは幸福への切符ではあるが決して、不幸になる事はないだろうと両親は思っていた。成績は凡というより、むしろ優秀であったし、心許せる友人も何回か家に招待していた。
小学3年生になったころ、両親には懸念点が一つできた。
彼が友人と会話する際、彼はいつも周りの出す話題に同調しているだけだった。楽しくないという訳ではない。けらけらとよく笑うし、ユーモアのセンスもある。ただ、彼自身が何か新しい話題を出すことがなかったのだ。
だが、それだけなら、両親も担任も、自己主張が得意でない、ということで終わらせる。事実、小学2年生までの担任は通知表にそのように書いていた。彼の両親も特に相違はなかった。彼の両親は、あまり賢くなかった。勉強ができないというより、思考力がないのだ。なので小学三年生になり、担任に面談でそれを言われるまで全く気付かなかった。彼は自己主張がないのではなく、人に興味がないのだと。




