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第23話 能力の秘密(後編)

胸の冷たさに耐えながら眠りについた夜――

文太は“呼ばれるように”真っ白な空間へと導かれる。


そこで語られるのは、

ヤスの能力の正体。

そして文太の胸を蝕む“影”の正体。


文明の裏で進んでいた不穏は、

すべて一本の線で繋がっていた。


ヤスの能力は、

文太の寿命を代償に発動していた。


文明の発展と、命の消耗。

その残酷な真実が明かされる第23話(後編)

胸の冷たさに耐えながら眠りについた夜――

俺は、夢を見た。


いや、夢というより……

“呼ばれた”と言った方が正しい。


✦真っ白な空間

気がつくと、俺は真っ白な空間に立っていた。


上下も左右もわからない。

地面があるのかすら怪しい。

ただ、白い世界が広がっている。


「……どこだ、ここは?」


声は吸い込まれるように消えた。


その時――

頭の中に声が響いた。


『藤沢 文太』


「っ……!」


俺は反射的に身構えた。


「誰だ! 姿を見せろ!」


白い空間に返事はない。

だが、声だけははっきりと聞こえる。


『私は、あなた達をこの世界に呼び寄せた者』


(……来た。

 ついに来やがったな、こういうやつ)


俺は深呼吸し、頭を下げた。


「……あの、殺されかけたところを助けていただき、ありがとうございます」


これは本心だ。

異世界だろうがなんだろうが、生きてるだけでありがたい。


だが――

声は淡々としていた。


『あなた方の能力について、説明が遅れました』


(お礼スルーかよ!!)


俺は心の中でツッコんだが、

声はそれすら拾ってきた。


『スルーではありません。必要な話を優先しているだけです』


「心読んでんじゃねぇよ!!」


『読んでいます』


「開き直りやがった!!」


✦ヤスの能力の正体

声は続けた。


『ヤスには、“物体転移”の能力を与えました』


「やっぱりな……」


『ただし、あの能力は万能ではありません。

 召喚できる物には“レベル”があり、

 ヤスの成長に応じて扱える範囲が広がります』


「なるほど……」


(まぁ、ゲームみたいなもんだな)


だが、声はさらに続けた。


『そして――

 ヤスが能力を使うためには、

 “あなたの力”が必要なのです』


「……は?」


俺は固まった。


「いやいやいやいや、なんで俺!?

 なんでヤスの能力に俺が関係してんだよ!?」


『あなたの“寿命”を代償としているからです』


「…………は?」


頭が真っ白になった。


『現在、あなたの寿命は――

 25年と3ヶ月分、消費されています』


「はああああああああああああああ!?!?」


白い空間に俺の叫びが響き渡った。


✦寿命のステータス

『使用した寿命は、ステータス画面で確認できます』


「いやいやいやいや!!

 そんな軽いノリで言うことじゃねぇだろ!!

 俺の寿命だぞ!? 命だぞ!?

 なんでヤスが物出すたびに俺が死に近づくんだよ!!」


『仕様です』


「仕様って言うなぁぁぁぁ!!」


声は淡々としている。


『あなたは“器”として選ばれました。

 ヤスの能力を安定して発動させるためには、

 あなたの寿命が最も適していたのです』


「適してたってなんだよ!!

 俺の寿命、便利アイテムみたいに使うな!!」


『あなたは生きています。

 それは十分に幸運なことです』


「開き直りやがったこの野郎!!」


✦声は去る

『話は以上です。

 この世界で、精一杯生きてください。

 さようなら』


「待て!!

 まだ聞きたいことが――」


ブツッ。


声は途切れた。


白い空間が崩れ、

俺の意識は闇に落ちていった。


✦目覚め

朝。


俺はベッドで目を覚ました。


「……夢、じゃねぇよな」


胸の奥が、

まるで氷の手で掴まれているように冷たい。


(……ステータス、開くか)


「ステータスオープン」


半透明の板が現れた。


そこには――

残り寿命:◯◯年

 使用寿命:25年3ヶ月 5日→ 25年3ヶ月 10日→ 25年3ヶ月15日……


「増えてるぅぅぅぅぅぅ!!」


俺は裸足で外へ飛び出した。


✦ヤス、悪魔の所業

「ヤスーーー!!」


「え? 組長?」


ヤスは子供達に囲まれ、

“お菓子”を出していた。


「やめろぉぉぉぉぉ!!

 俺の寿命が減るぅぅぅぅ!!」


「え!? なんでっすか!?」


俺はヤスに飛びつき、口を塞いだ。


「お前の能力、俺の寿命使ってんだよ!!」

「モガモガ……」


ジタバタしていたヤスが大人しくなった。

よし、わかってくれたか。

俺はヤスを解放した。


「?ちょっと何言ってるかわかんないっす?」

小首をかしげられた。


「いや、そのまんまの意味でって、だからお菓子を出すんじゃない!ストップ!本当にヤメて!」


「まだもらってない子がいるっすよ」


「一旦動くな!お菓子を出すな!話を聞け!」


「…どうしたんすか?」


「いいか……」

それからヤスに状況を説明したのだが理解させる為に三回同じ話をした。


その間にもお菓子をあげ続け、お陰様で寿命は減ったのだった。


✦能力封印

「ヤス……

 これからは俺の許可なしに能力を使うな。

 絶対だ。約束しろ」


ヤスは青ざめながら頷いた。


「……わかりましたよ。

 組長の命がかかってるなら……使いません」


(……よかった)


だが、胸の冷たさは消えない。


(……もう後戻りできねぇな)


俺は深呼吸した。


「これからは、能力じゃなく……

 みんなの力で発展していくぞ」


ミドジが頷く。


「組長、ついていきますのじゃ!」


ミドリが微笑む。


「組長、頑張りましょうね」


ヤスも拳を握る。


「組長、俺……努力します!」


(……ああ。

 俺達は、ここからだ)


だが――

胸の冷たさは、

まるで“寿命が削られている”ようだった。


そして俺はまだ知らなかった。


あの山の湧き水が、

 俺の寿命を“回復”させる唯一の手段だということを。

読んでくれてありがとう。

第23話は、文太の“寿命問題”がついに核心へ到達する回だった。


ヤスの能力の代償は文太の寿命。

黒い影はその象徴。

胸の冷たさは、命が削られている証。


文明の発展は嬉しい。

仲間の成長も誇らしい。

だがその裏で、文太は静かに死へ近づいていた。


この回は、

藤沢組の文明史における“最大の転換点”であり、

文太の思想が大きく変わるきっかけとなる。


次回、いよいよ最終回!

文太は“生きるための選択”を迫られる。

文明の未来と、自分の命。

その両方を守るために。

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