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第22話 能力の秘密(前編)

黒牙団との戦いが終わり、藤沢組は急速に“村”へと進化していた。

水路は広がり、畑は伸び、長屋は増え、移住者は絶えない。


文明は確かに前へ進んでいる。

だがその裏で――

文太の胸に走る“冷たい痛み”は、日に日に強くなっていた。


ヤスの能力、黒い影、胸の異変。

それらはまだバラバラの点にすぎない。

だが、確実に一本の線へと繋がり始めていた。


文明の光が強くなるほど、影も濃くなる。

その影が、文太の命を蝕んでいるとも知らずに。


不穏な気配が静かに迫る第22話(前編)

藤沢組の文明化が進むにつれ、

集落は日に日に大きくなっていった。


水路はさらに広がり、

畑は果てしなく伸び、

長屋は次々と建ち、

移住者は絶えない。


ミドジは建築班を率いて木材を運び、

ミドリは読み書き教室を開き、

ヤスは――


「組長! 見てくださいよ!

 子供達に“竹馬”作ってあげたっす!」


「お前……また能力使ってねぇだろうな?」


「使ってないっすよ! 竹は昨日切ったやつっす!」


(……本当にか?)


胸の奥が、またズキッと痛んだ。


(……くそ、またかよ)


痛みは一瞬だが、

冷たい感覚だけが残る。


ヤスが心配そうに覗き込む。


「組長、また顔色悪いっすよ?」


「お前のせいだよ……」


「えぇ!? 俺なんかしましたっけ!?」


(お前が強すぎるんだよ……)


✦胸の異変、悪化

その日の昼過ぎ。


俺――藤沢 文太は畑の見回りをしていた。


「組長、こっちの畝、昨日より伸びてますよ!」


「お、おう……」


(……視界が揺れる)


ミドリが駆け寄ってきた。


「組長!? また胸が……?」


「だ、大丈夫だよ……」


そう言った瞬間――

胸の奥が、鋭く締め付けられた。


「っ……!」


膝が崩れ、地面に手をつく。


ミドリが叫ぶ。


「組長ーーー!!」


ヤスも駆け寄ってくる。


「組長! 大丈夫っすか!?

 俺、なんかしました!? してないっすよね!?」


「お前は黙ってろ!!」


(……なんだよこれ。

 日に日に悪化してるじゃねぇか)


ミドジが言う。


「組長、やはり医者を……」


「医者なんていねぇよ!!」


(……なんだよこれ。

 戦いが終わったのに、全然治らねぇ)


胸の冷たさは、

まるで“何かが削られている”ようだった。


✦ヤスの能力に“影”が見える

夕方。


ヤスが子供達に囲まれていた。


「ヤス兄ちゃん! またお菓子出してー!」


「えー? どうしよっかなー?」


(……嫌な予感しかしねぇ)


俺は全力で走った。


「ヤス!! やめろ!!」


「え? 組長?」


「お前、今能力使おうとしただろ!!」


「いや、ちょっとだけ……」


「ちょっとでもダメだ!!」


ヤスは頬を膨らませる。


「組長、ケチっすね……」


「ケチじゃねぇよ!!

 お前の能力、なんか……

 “黒い影”が見えるんだよ!!」


「影……?」


ミドジが言う。


「組長、わしも見ましたのじゃ。

 ヤス殿の周りに……黒い靄のようなものが」


「やっぱりか!!」


ヤスは自分の手を見つめる。


「俺……なんか変なんすかね?」


「変だよ!!」


「えぇぇぇぇぇ!!?」


(……いや、能力の話だよ)


✦文太、限界が近づく

その夜。


俺――藤沢 文太は自分の家で横になっていた。


胸の奥が、

まるで氷の手で掴まれているように冷たい。


(……なんだよこれ。

 本当に……なんなんだよ)


目を閉じると、

暗闇の中に“白い光”が揺れている気がした。


(……なんだ?)


その光は、

まるで俺を呼んでいるようだった。


(……気のせいか?)


だが、胸の冷たさは増すばかり。


(……やべぇな。

 これ、本当にやべぇやつだろ)


ヤスの能力。

黒い影。

胸の冷たさ。

視界の揺れ。


全部が一本の線で繋がり始めていた。


(……まさか、とは思うけどよ)


その“まさか”が何なのか、

まだ言葉にはできなかった。


だが――

その夜、俺は夢を見た。


真っ白な空間。

何もない世界。

ただ、声だけが響く。


『藤沢 文太』


(……誰だ?)


その声は、

俺の“運命”を告げる声だった。

読んでくれてありがとう。

第22話は、文明の発展の裏で進む“異変”を描いた回だった。


藤沢組は順調に大きくなり、

ゴブリン達は成長し、

街は確かに前へ進んでいる。


だがその裏で、

文太の胸の冷たさは悪化し続け、

ヤスの能力には“黒い影”が見え始める。


この回は、

「文明の光と影」

「仲間の成長と文太の不安」

その対比を強く描くための重要な前編。


次回、ついに“真実”が明かされる。

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