表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/24

第20話 能力の影

黒牙団との戦いからしばらくが経ち、

藤沢組は再び平穏を取り戻しつつあった。


街は復興し、移住者は増え、

文明はさらに加速していく。


だが――

その裏で、文太の胸に走る“あの痛み”は

日に日に強くなっていた。


戦いの疲労か、

能力の影響か、

それとも別の何かか。


さらに、藤沢組の噂を聞きつけて、

“新たな来訪者”が現れる。


友好か、敵意か、商売か、偵察か。

藤沢組は再び“外の世界”と向き合うことになる。


文明の発展と、文太の異変。

そして新たな波乱の幕開けとなる第20話。

黒牙団との戦いから数日が経った。


集落は、以前よりも活気づいていた。

水路は広がり、長屋は増え、畑はどんどん拡張されている。


ミドジは建築班を率いて木材を運び、

ミドリは読み書き教室を開き、

ヤスは――


「組長! 見てくださいよ!

 子供達に“紙飛行機”作ってあげたっす!」


「お前……また能力使ってねぇだろうな?」


「使ってないっすよ! 紙は昨日作ったやつっす!」


(……本当にか?)


胸の奥が、またズキッと痛んだ。


(……くそ、またかよ)


痛みは一瞬だが、

冷たい感覚だけが残る。


ヤスが心配そうに覗き込む。


「組長、また顔色悪いっすよ?」


「お前のせいだよ……」


「えぇ!? 俺なんかしましたっけ!?」


(お前が強すぎるんだよ……)


✦文太、異変を隠す

ミドリが駆け寄ってきた。


「組長、また胸が痛むんですか?」


「だ、大丈夫だよ……」


「大丈夫じゃない顔してます!」


(……バレてる)


ミドジもやってきた。


「組長、無理は禁物なのですじゃ。

 倒れられては困りますぞ」


「お前ら……俺をなんだと思ってんだよ」


「虚弱体質の組長です」


「言い方ァ!!」


ヤスが真剣な顔で言う。


「組長……本当に医者呼んだ方が……」


「医者なんていねぇよ!!」


(……なんだよこれ。

 戦いが終わったのに、全然治らねぇ)


胸の冷たさは、

まるで“何かが削られている”ようだった。


✦ヤスの能力、再び暴走しかける

その日の夕方。


ヤスが子供ゴブリン達に囲まれていた。


「ヤス兄ちゃん! またお菓子出してー!」


「えー? どうしよっかなー?」


(……嫌な予感しかしねぇ)


俺は全力で走った。


「ヤス!! やめろ!!」


「え? 組長?」


「お前、今能力使おうとしただろ!!」


「いや、ちょっとだけ……」


「ちょっとでもダメだ!!」


ヤスは頬を膨らませる。


「組長、ケチっすね……」


「ケチじゃねぇよ!!

 お前の能力、なんか……こう……

 “嫌な影”があるんだよ!!」


「影……?」


ミドジが口を挟む。


「組長、昨日の戦いの時……

 ヤス殿の周りに黒い靄のようなものが見えた気がしますのじゃ」


「えっ!? ミドジも見たのか!?」


「はい。気のせいかもしれませぬが……」


(……やっぱり俺だけじゃなかった)


ヤスは自分の手を見つめる。


「俺……なんか変なんすかね?」


「変だよ!!」


「えぇぇぇぇぇ!!?」


(……いや、能力の話だよ)


✦文太、決意を固める

俺は深呼吸した。


「ヤス……

 これからは、俺の許可なしに能力を使うな」


「えぇ!? なんでっすか!」


「なんでって……

 お前の能力、なんか……

 “代償”がある気がするんだよ」


「代償……?」


ミドジが頷く。


「確かに、あの力……

 ただでは済まぬ気がしますのじゃ」


ミドリが不安そうに言う。


「組長……怖いです……」


俺はミドリの頭を撫でた。


「大丈夫だ。

 俺達は能力に頼らずにやっていく。

 みんなで力を合わせて、文明を作るんだ」


ヤスが拳を握る。


「組長……わかりました。

 俺、能力使わずに頑張ります!」


「おう。

 お前の力は能力だけじゃねぇ。

 お前は……普通に強いんだよ」


「へへっ!」


(……こいつ、素で強いからな)


胸の冷たさは、

まるで“何かが削られている”ようだった。


だが――

この時の俺はまだ知らなかった。


その“削られている何か”が、

俺の寿命だということを。

読んでくれてありがとう。

第20話は、黒牙団編の余波が落ち着き、

藤沢組が再び“文明の加速期”に入る回だった。


文明が発展すれば、

当然それを見つける者も増える。

今回の来訪者は、その象徴。


そして同時に、

文太の胸の痛み――

後に明かされる“寿命の代償”が

いよいよ無視できないレベルに近づいていく。


ここから物語は、

文明の発展と文太の異変が同時に進行する

“第二章の核心”へ突入する。


次回は、藤沢組の未来を左右する

“重大な情報”が明かされる回。

文太の胃痛は悪化するけど、

街は確実に前へ進む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ