第13話 藤沢組、初めての商売は大成功?
商人になった文太達。
さっさと売って、さっさと帰りたい、それだけを願う文太。
やっと商売開始の第13話。
ギルドでの“指名手配宣告寸前事件”をなんとか乗り越え、
俺――藤沢文太は、ギルドを出た瞬間に深いため息をついた。
「……胃が痛ぇ……」
ヤスがニコニコしながら肩を叩いてくる。
「組長、商人登録できたじゃないっすか! 大成功っすよ!」
「お前のせいで半分死にかけたんだよ……」
ミドジが胸を張る。
「組長、これで堂々と商売ができますぞ!」
(いや、堂々とできるかはお前ら次第なんだよ……)
ミドリが心配そうに言う。
「組長、無理しないでくださいね……?」
(……癒しだな、この子)
✦市場へ向かう藤沢組
「よし、まずは市場で売ってみるか」
俺は気合を入れた。
ヤスが荷物を背負い直す。
「文明の利器セット、準備万端っす!」
ミドジが木箱を持ち上げる。
「ノコギリ、鉋、釘、ハンマー……全部揃っておりますのじゃ!」
(……これ全部ヤスが出したんだよな。マジでチートだわ)
市場に着くと、
露店の店主達が俺達を見てざわついた。
「ゴブリンだ……」
「なんで人間と一緒に……?」
「進化型か……?」
(……慣れたけど、やっぱり視線が痛ぇ)
ヤスが元気よく叫んだ。
「さぁ組長! 売りましょう!」
「お、おう……」
俺達は露店の一角を借り、
木箱をドンと置いた。
✦文明の利器、初お披露目
「さぁ、見てってくれ!」
俺はノコギリを掲げた。
「切れ味抜群! 耐久性バツグン!
どんな木でもスパッと切れるぞ!」
ヤスが横で補足する。
「街のノコギリの十倍は切れます!」
(言いすぎだろ……)
最初は誰も寄ってこなかった。
だが――
「……ちょっと見せてくれ」
一人の木こり風の男が近づいてきた。
男はノコギリを手に取り、
試しに近くの木材を切ってみた。
スパッ。
「……は?」
男の目が見開かれた。
「な、なんだこの切れ味……!?
こんなノコギリ、見たことねぇ……!」
(お、来たか?)
男は俺を見た。
「これ、いくらだ?」
(値段……どうする?)
ヤスが即答した。
「銀貨五枚っす!」
「高ぇよ!!」
(街の相場、銀貨三枚だぞ!?)
だが――
木こりは即答した。
「買った!!」
「買うのかよ!!?」
(いや、ありがたいけど……!)
木こりは銀貨を置き、ノコギリを抱えて走っていった。
「すげぇ……すげぇもん見つけたぞぉぉ!!」
その声が市場に響き渡った。
✦客、殺到
「おい、今の見たか?」
「なんだあのノコギリ……?」
「進化型ゴブリンが作ったのか……?」
ざわざわ……ざわざわ……
そして――
「俺にも見せろ!」
「私も欲しい!」
「その鉋、触っていいか!?」
客が殺到した。
(やべぇ……なんかすげぇことになってきた……)
ヤスがニヤリと笑う。
「組長、商売繁盛っすね!」
「お前……マジで天才かもしれねぇな……」
ミドジが胸を張る。
「組長、売り切れ必至なのですじゃ!」
ミドリが嬉しそうに言う。
「組長、すごいです!」
(……悪くねぇな、この感じ)
✦そして、事件は起きる
売れに売れまくり、
文明の利器セットはほぼ完売した。
「組長、今日の売上……銀貨百二十枚っす!」
「ひゃ、百二十……!?」
(やべぇ……こんなに稼いだの初めてだ……)
俺が震えていると――
「おい、そこのお前ら!」
怒鳴り声が響いた。
振り向くと、
鎧を着た男達が数名、こちらへ歩いてくる。
胸には――
冒険者ギルドの紋章。
(……嫌な予感しかしねぇ)
ヤスが小声で言う。
「組長……あれ、ギルドの取り締まり部隊っすよ……」
「なんで来るんだよ!!」
ミドジが構える。
「組長、戦いますか?」
「戦わねぇよ!!」
取り締まり部隊のリーダーらしき男が言った。
「藤沢文太だな?」
「は、はい……」
男は銀貨の山を見て、
次に俺達を見た。
そして――
「……お前ら、ギルドマスターが呼んでる」
「え?」
男は続けた。
「“話がある”そうだ」
(……絶対ろくな話じゃねぇ!!)
こうして――
藤沢組は再びギルドへ呼び出されることになった。
俺の胃痛は、限界に近づいていた。
読んでくれてありがとう。
第13話は、藤沢組大成功の巻……とはすんなりいかずに怪しい雲行き。
どうなる次回。




