第12話 藤沢文太、ギルドで指名手配される?
足取り重くギルドへとやってきた文太一行。
ゴブリンを引き連れ不審者でしか無いのに、そんな気持ちで中に入りたくない気持ちでいっぱいの文太。
どうなることやらってことで第12話です。
冒険者ギルド――
それは、街の中心にそびえる巨大な建物だった。
石造りの壁。
大きな木製の扉。
そして、入口には冒険者達がたむろしている。
「組長、ここがギルドっすよ!」
ヤスが胸を張る。
「……なんか、怖ぇな」
(ヤクザ事務所より威圧感あるんだけど……)
ミドジが周囲を警戒しながら言う。
「組長、ここには強者が多いのですじゃ。
くれぐれも慎重に……」
「お前らが一番慎重になれよ……?」
ムキムキゴブリン三名が、
“護衛”という名目で俺の後ろに並んでいる。
(いや、これ普通に怖いだろ……)
リナが振り返る。
「ついてきて。ギルドマスターが話を聞きたいってさ」
「ギルドマスター……?」
(なんか偉い人出てきたぞ……嫌な予感しかしねぇ)
✦ギルド内部はカオスだった
扉を開けると――
中は酒場のような賑やかさだった。
冒険者達が酒を飲み、
依頼書が貼られた掲示板があり、
受付嬢達が忙しそうに走り回っている。
「おい、ゴブリンだぞ……」
「なんで人間と一緒に……?」
「進化型か……?」
ざわざわと視線が集まる。
(……胃が痛ぇ)
ヤスは気にせず手を振る。
「どうもー! 通りまーす!」
「軽いな!!」
ミドジが胸を張る。
「組長、堂々と歩くのですじゃ!」
「お前らが一番堂々としてんだよ!!」
✦ギルドマスター登場
リナに案内され、
奥の部屋へ通される。
そこには――
白髪混じりの大男が座っていた。
肩幅が広く、
腕は丸太のように太い。
「……ギルドマスターか?」
男は低い声で言った。
「お前が藤沢文太か」
「は、はい……」
(怖ぇぇぇ……!)
ギルドマスターは、
机の上に置かれた“ノコギリ”を手に取った。
「これ……お前が作ったのか?」
「い、いや……作ったのはヤスで……」
ヤスが胸を張る。
「俺っす!」
ギルドマスターはノコギリをじっと見つめた。
「……とんでもねぇ代物だな。
街の鍛冶屋でも、ここまでの切れ味は出せねぇ」
(やっぱりすげぇんだな、ヤス……)
ギルドマスターは俺を見た。
「お前達……何者だ?」
(来た……! 一番聞かれたくない質問……!)
ヤスが元気よく答えた。
「藤沢組っす!」
「言うなバカ!!」
ギルドマスターの目が細くなる。
「……組?」
(終わった……!)
ミドジが胸を張る。
「はい! 組長は文太様なのですじゃ!」
「言うなって言ってんだろ!!」
ギルドマスターは腕を組んだ。
「……なるほど。
街でゴブリンを率いて歩く理由がわかった」
(わかってねぇよ!!)
ギルドマスターは続けた。
「藤沢文太……
お前、どこかの国の“裏組織の頭”か?」
「違うわ!!」
(ヤクザだからそうなのかもしれないが、健全で明るく仲間の為に、そして義理人情に生きる男、それが俺なのに、なんか悪そうな言い方して!!)
リナが慌てて口を挟む。
「マスター! 違いますよ!
この人達、ただの商売人です!」
「商売人……?」
ギルドマスターは俺達を見た。
「……本当に、ただの商売人か?」
(……どう答えればいいんだよこれ)
ヤスが胸を張る。
「もちろんっす!
俺達、文明の利器を売りに来たんすよ!」
「文明の……利器……?」
ギルドマスターはノコギリを見た。
「……確かに、これは文明だな」
(お? なんかいい感じじゃねぇか?)
ギルドマスターは立ち上がった。
「よし、藤沢文太。
お前達を“商人登録”してやる」
「え?」
「ただし――」
ギルドマスターは俺の目を見た。
「街で問題を起こしたら、即刻“指名手配”だ」
「ひぃぃぃ!!」
(やっぱり地獄じゃねぇか!!)
ヤスが笑う。
「大丈夫っすよ組長! 俺達、平和主義っすから!」
「お前が一番問題起こすんだよ!!」
こうして――
藤沢組は正式に“商人”として街で活動できるようになった。
だが、文太の胃痛は悪化する一方だった。
読んでくれてありがとう。
第12話は、商売しに来た文太達が晴れて商人として認められることになった。条件付きだが……
胃を痛めつつ頑張る文太、次回、どうなる?




