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ものの5分

【前編日間8位!BIG感謝です】人間に拾われてものの5分で激旨メシに懐柔された僕のその後の話 後編~ものの5分シリーズ スピンオフ~

作者: すずき 虎々

数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。

先週投稿した前編がランキングで12位を獲得することが出来ました。

これも偏に応援してくださる皆さまのおかげです、心から感謝しております。

この短編作品は、私の処女作である【異世界に転生したらものの5分で最強種にエンカウントした俺のその後の話】のスピンオフ作品となっております。

この前後編だけでははたしてこのモコちゃんが何なのかの言及すらされておりませんが、本編の方を読んでいただければ、より一層楽しんでもらえると思います。

読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

 人間に拾われてものの5分で激旨メシに懐柔された僕のその後の話

 ~異世界に転生してものの5分で最強種にエンカウントした俺のその後の話スピンオフ~


 後編


 僕が玄関で待つことにしてから、少ししたら、玄関の扉があく音がした。

 いつもと同じようにガチャガチャ、カチャ、キュー、バタンという音がしたけど、なんだか音に力がないというか、元気がないというか、いつもと同じはずなのに、ちょっと気の抜けた音に聞こえる。


 玄関から部屋に入ってきたのは、おかしゃんだった。

 おかしゃんは、リビングに入るなり、ガクッと膝から崩れ落ちる様に床に座り込んだ。

 あまりにも元気がないので、僕は心配になって、おかしゃんに近づき、おかしゃんの顔を下から覗き込んでみると、おかしゃんの両目から大量の涙が零れ落ちていた。

 僕はおかしゃんの涙が止まらないと、きっと大変なことになると思ったので、涙を止めてあげようと、一生懸命におかしゃんの目の下辺りをペロペロと舐めて上げたが、いくら舐めてあげても、おかしゃんの目から溢れる涙が止まることはなかった。

 すると、おかしゃんは、震える声で言った。


「モコちゃん、お父さん死んじゃったんだって。お父さんもう帰ってこないんだって。モコちゃんともう遊んであげられないんだってぇ……。 あぁ~~~~~~ん どうしてぇ~~~~~~~~~~……………。」


 おかしゃんの涙は止まらない、おかしゃんはきっと困っているのだと思う。

 僕はおかしゃんに元気になってほしいけど、僕はおかしゃんを元気に出来るのかな……。


 おかしゃんは、しばらくの間、僕をぎゅっと抱きしめたまま泣いていた。

 僕もおかしゃんに元気になってほしいから、そのまま黙って抱きしめられたままでいてあげようと思ったけど、ちょっと苦しいのが我慢できなくて、おかしゃんから脱出してしまった。

 すると、おかしゃんは、はっとした顔をして、僕を見ると、すっと立ち上がった。


「ゴメンね、モコちゃんにはわからないのにね、ゴメン、ゴメン。お腹空いたよね、今()()()()準備するからね、ゴメンね……。」


 と言って、キッチンの方に歩いて行った。


 まぁ、正直お腹は空いていたし、おかしゃんが泣き止んでくれたので良かった。

 僕がご飯を食べている間、おかしゃんはベッドルームに行った。


「モコちゃんおかしゃん少し休むね、ゴメンね。」


 と言っていた、僕はむしゃむしゃとご飯を食べながら、おかしゃんがベッドルームに向かう後ろ姿を見ていたけど、あんなおかしゃんの後ろ姿は、元気の無さが滲み出ていて、見たことのない後ろ姿だった。


 それからしばらくの間、家には僕とおかしゃんしかいなかったが、数日後、おとしゃんが帰ってきた。

 でも、おとしゃんは大きな箱に入ったまま出てこようとしない、ずっと寝ているように見えるけど、なんだか様子がおかしい。

 部屋の中はなんだかずっと変な煙の臭いがするし、その煙のせいでおとしゃんの匂いがわからない。

 あと、普段はない“お花”が飾ってあって、僕がそっちの方に行こうとすると、おかしゃんがダメといって抱っこされてしまう。

 僕はおとしゃんの所で眠りたいから、おとしゃんを入れている木の箱を爪でカリカリとひっかいてみた。

 おあしゃんは、最初はダメと言って、僕を木の箱から離そうとした。

 でも「お父さんも喜ぶわね。」と言って、僕が木の箱をカリカリするのを止めなくなった。

 でも僕は箱をカリカリしたいんじゃなくて、おとしゃんと一緒に眠りたかったんだけどね。


 それから数日の間は、僕にとっては恐怖の毎日だった。

 毎日のように、知らない人が出たり入ったりを繰り返していて、僕はずっとおとしゃんが入っている木の箱に近づくことが出来なかった。

 でも、ある時、入ってきた知らない人から、おとしゃんの匂いがしたような気がしたので、ベッドルームから出て、その人の匂いを確認しに行ったら、その人はおとしゃんではなかったけど、とても似た匂いがして、僕が近づいて匂いを嗅いでいると、優しい手つきで僕の頭を撫でてくれた。


 その様子を見ていたおかしゃんが、口元を抑えて、また泣き出してしまった。

 どうやら僕はおかしゃんを困らせてしまったようだ……。


 数日後、家の中から木の箱が運び出されて、代わりに小さい木の箱が家の中に運び込まれた。

 その小さい木の箱が運び込まれた日、おかしゃんの髪の毛が突然真っ白になった。

 おかしゃんは真っ白になった自分の頭を見て、最初はガクッと膝を折って項垂れていたけど、すぐに立ち上がって髪の毛を後ろに束ね、家の中を片付け始めた。


 おかしゃんは家中を片付けて、みるみるうちに家の中からおとしゃんの匂いがしなくなっていった。

 僕は、おとしゃんの匂いがしないのがなんだか寂しくて、おとしゃんがよく座っていたソファや、おとしゃんが寝ていたベッドの位置に行って、丸くなって眠ってみたけど、日に日におとしゃんを感じることが出来なくなっていった。


 おかしゃんは元気を取り戻すことも無く、毎日ふさぎ込んでいた。

 そういえば、おとしゃんがいなくなってから、おかしゃんがこの家から出ることがほとんどなくなっていた。

 僕のご飯は忘れずにくれるけど、おかしゃんがご飯を食べてるところを見なくなった。

 日に日にやつれて行くおかしゃんが心配になったので、僕は自分のご飯をおかしゃんに分けてあげることにした。

 僕は、ご飯を出してくれたおかしゃんに声をかけた。


「にゃぁ~お~~~!!」


 するとおかしゃんは僕の方を向いて言った。


「どうしたの?良いよ、モコちゃん大好きな()()()()だよ、食べないの?」


 僕はおかしゃんに、僕の決意を伝える為に再度声をかける。


「にゃっ」


 僕はそう言うと、僕のご飯が入ってるお皿を、前足でおかしゃんの方に差し出した。

 すると、おかしゃんはまた、口元を手で押さえて泣き出してしまった。

 僕はおかしゃんを困らせてしまったようで、どうして良いかわからずに、とりあえずおかしゃんのほっぺをペロペロと舐めてあげて、なんとか落ち着いてもらおうと思った。


「ごめんね、お母さん、ご飯食べれなかったからね、自分の()()()()を、お母さんに分けてくれようとしたのね。ありがとうね、モコちゃん優しいね。でも大丈夫だから、食べなさい。お母さんまで倒れたら、モコちゃん困るよね、ゴメンゴメン、しっかりしないとね。」


 おかしゃんはそう言うと、僕をご飯のお皿の前にそっと置いて、食べなさいと言って何度も何度も優しく撫でてくれた。


 しかし、それからも、おかしゃんが元気になることはなく、ご飯こそ一日に一回か二回は食べるようになったけど、おかしゃんの匂いは、どんどん良くない匂いに変わっていった。

 多分たまに出かけた後に持ち帰る、白い袋に入った変な匂いのする小玉を食べるようになってから、おかしゃんの匂いが変わっていったから、きっとアレをどうにかすれば、おかしゃんは元気になるはず。

 僕は小玉の入っている瓶の蓋を何とかして開けようとしたけど、僕には少し難しいようだった。

 そして、瓶を開けようとしているのが見つかると、おかしゃんに怒られるんだ。


「それはお母さんのお薬だから、遊んじゃダメよ。」


 おかしゃんは、僕が瓶を床に落としてコロコロ転がし、なんとか蓋を開けようとしているのを見て、どうやら遊んでいると思っているらしい……。

 無念だ……。


 おとしゃんがいなくなって、もう数か月は経ったのではないだろうか、日に日におかしゃんも弱っているように見える。

 最近では歩くたびに、身体をどこかにぶつけている。

 最近、おかしゃんは以前のように、毎日出かけることはなくなったけど、今日は出かけるらしい。

 でも、僕はなんだか嫌な予感がするので、おかしゃんをお外に出したくないんだけど、でも、おかしゃんは身支度をすませてもう玄関に向かっている。


「にゃぁ~~おぉ~~~!!!」


 僕はおかしゃんを引き留めようと、精いっぱいの声を出したけど、おかしゃんは「モコちゃんゴメンね、お留守番お願いね。」と言って、出て行ってしまった。


 落ち着かない、そわそわする。


 おかしゃんが出て行ってからどれくらい経ったんだろう。


 !


「にゃ~~~!!!」


「にゃっにゃっ!」


「にゃ~~~~~~~~~~~~~~!!!」


 どうしよう、おかしゃんに何かあったような気がする、どうしよう、どうしよう。


 僕はどうしたらいいかわからなくて、部屋の中をグルグルと回り続けた。

 僕がどうしていいかわからずに、家の中をグルグル回っていると、玄関から物音がした。

 ガチャガチャ、カチッ、ギギー、バッタン。

 この鍵開けの音は、おかしゃんじゃない!?

 僕は慌ててベッドルームに隠れた。


 ドアの影からこっそり覗いていると、リビングの扉が開いて、知らない人がおかしゃんを抱えて中に入ってきた。


 知らない人は、おかしゃんをソファに座らせると、おかしゃんに薬はどこかと尋ねている。

 この人は、おかしゃんを助けてくれようとしているんだと思う。

 この人からはおかしゃんを心底心配している匂いがする。

 もしここにおとしゃんがいたなら、きっと同じ匂いがしたはずだ。


 あっ!わかった!!!


 この人は、おとしゃんとは顔も違うし、声も、背格好も、性別すら違うし、何より匂いが全然違うけど、でも、この人の何かが、おとしゃんと重なる。

 おとしゃんは変身したんだ!

 変身するのに時間がかかったから、今までいなかったんだ。

 なるほどね、そうきたか、人間って猫と違って変身するんだね。

 それなら安心、おとしゃんが帰ってきたんだ!


 僕はおとしゃんの足元にすり寄って、まったく僕の匂いがしなくなっているおとしゃんの足に、たっぷりと僕の匂いをしみこませてやった。


 すると、おとしゃんは少しだけ慌てていたようで。


「モコちゃんゴメンちょっと待ってて。」と言った。


 この言い方、間違いない、おとしゃんだ!


 この後、おとしゃんは、こっそり変身して来たのが、おかしゃんにバレて、謝っていた。

 おとしゃんは、おかしゃんに怒られると思ったのか、おとしゃんの目からは涙がボロボロと零れていた。

 仕方ないから、僕はおとしゃんを慰めてあげることにした。

 おとしゃんのほっぺをペロペロと舐めてあげて、ソファに腰かけたおとしゃんの膝の上に乗って、毛繕いをしてやった。


 それからしばらくの間、おとしゃんとおかしゃんは、以前のように、二人でソファに座って、楽しそうに話をしていた。

 僕はその間ずっと、久しぶりのおとしゃんの膝の上に乗って、ゴロゴロと喉を鳴らしていたら、おとしゃんも僕をずっと撫でてくれたんだ。

 途中、僕はお腹が空いたから、おとしゃんの膝から降りて、お腹が減ったと言ったら、久しぶりにおとしゃんがご飯をくれたんだ。


 また、おとしゃんとおかしゃんと僕の三人での生活が始まるのかと思ったら、おとしゃんは、どこかに行ってしまうようだ。

 おかしゃんとおとしゃんが話してる途中で、突然おとしゃんが光り出したかと思ったら、なんか僕よりも一回りくらい大きいヤツが現れて、そいつと一緒におとしゃんは出かけるような事を言っていた。

 ちなみに僕はその僕より一まわり大きいヤツが現れた時の音にびっくりして、飛び上がってしまった……。


 おとしゃんが帰る時、おとしゃんは僕に頼みごとをしていったんだ。


「モコちゃん、これからもお母さんのこと、お願いね。いつかモコちゃんとお母さんが、お父さんの所に来る日を待っているから、また会える日が来るからね。だから、お願いね。」


 僕はまたいつか、おとしゃんに会えるみたいだ。

 おかしゃんも、以前のように元気になったみたいで、とてもニコニコしている。


 僕が困っていた時、おとしゃんは僕を助けてくれた。


 そして今、おかしゃんが困っていたら、またおとしゃんが現れて、おかしゃんを助けてくれた。




 僕のおとしゃんは、きっとヒーローなんだ。

 だって、僕とおかしゃんを助けてくれたから。

 そして、またいつかきっと、僕たちが困ったときに助けに来てくれるはずさ。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

感謝の言葉しかありません。

よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

このお話が面白いと思っていただけたなら、評価やコメントなどいただけるとありがたいです。

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