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ー10ー

 短くない沈黙がその場に降りました。



 ……やった。

 やって、しまった。

 呆然と私を見返すシャルロット様を前に、だんだん頭が冷えてきました。


 あああああああああああああああ。


 あれほど、否定してはいけないと言われていたのに。

 いきなり。

 全開で。

 思いっきり自我を主張してしまった……!!


 何も知らないシャルロット様が、第二王子殿下に対して偏見を持ってしまうのはある意味仕方のないことです。それはそれとして一旦受け止め、折をみて少しずつ誤解を解いてさしあげれば良かった。


 百歩譲ってそれは違うと指摘するにせよ、言い方というものがあるではありませんか……!


 それをいきなり、蛇口をひねったように自論を展開したりなどして。あまつさえシャルロット様に考えたり、口を挟ませる余地すら与えず全否定するだなんて。

 これだから友人関係を育んでこれなかった人間は。空気が読めないうえに人を傷つけるクズです。第二王子殿下より最低かもしれません。落ち込みすぎて、今すぐ部屋に閉じこもりたくなりました。


「……なんてことなの」

「あのですね、今のは言葉のあやというか」

「アデリー、貴方って……貴方って……」


 私の剣幕がよほど恐ろしかったのか、シャルロット様の瞳がうるうると涙でにじみます。ああ、私はなんということを……。


「貴方って……なんって最高なのかしら!!」

「はい? わっ、シャルロット様!?」


 シャルロット様が軽やかに椅子から飛び降りたかと思うと、ふわりと暖かいものが飛び込んできました。あっ、いい匂い。


「ちょっとつつけば愚痴や陰口ばかりの凡人とは違うわ! やっぱり私の見立てに間違いはなかったわね!」


 そう言って彼女はギュッと私に抱きついています。こんな至近距離で他人がいたことのない私は、大量のはてなマークとともにすっかり混乱してしまいました。


「ごめんなさいね、アデリー! 貴方の気持ちも知らず、勝手なことを言って悪かったわ。もうあんなこと口にしないから、私を許して下さる?」

「その、あたってる……いえ、もう少し離れて下さいませ」

「シャルロット様だなんて、他人行儀は無しよ」


 ぷくっと頬を膨らませる姿までお可愛らしいなんて、反則すぎやしませんか?


「ねっ、私の事はシャルって呼んでちょうだい」

「シャ……シャル様?」

「アデリー! 私、貴方が大好きよ!」


 すっかり嫌われることを覚悟していたのに、シャルロット様はご機嫌です。

 ……というか、さっきからなんというか……。お友達にやってはいけないことを大連発したというのに、なんだかこれじゃあまるで。


 なんだか、すごく懐かれているような気がしてならないのですが???



お読みいただきありがとうございます。

感想の返信ですが、連載に集中するためしばらくの間返信を控えさせていただきます。すぐのお返事は出来ませんが、一言一言が本当に嬉しいです。執筆の原動力となっており、大変感謝しています。

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