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とある暗闇での出来事

 ぴしゃ、ぴしゃと歩くたびに足元で跳ねる水の音が反響している。


 辺りに光はなく、一寸先も見えない暗闇の中で真っ白な仮面がぼんやりと浮かび、迷いなく進んでいた。ある地点で立ち止まり、仮面の男は壁に触れると吸い込まれるように石壁の中へと体を滑り込ませる。後には何の痕跡もない、ただの石壁が続く通路のみが残された。


 壁を通り抜けた先は正方形の広い空間。先の通路と違って周囲の状況がわかる程度には明るいが、光を放っているのは左右の壁一面に張り巡らされた蠢く肉塊であり、埋もれるようにして耳の長い人間が数十人、顔だけを出していた。


 それらの人々は意識がないのか瞳を固く閉じ、浅い呼吸を繰り返している。


 男はそれらの人々を横目に、正面の壁へと歩み寄る。何もないまっさらな壁は周囲の異様さと比較しても明らかに浮いていた。壁を見上げながら、男はおもむろに右腕を上げると掌が刃のように変形し、肉塊の中にいた若い女性へと伸びて行った。


 女性の首元に刃が突き刺さり、血液を吸い取り始める。そうして左腕から血液を滲ませると、壁に魔法陣を描き出す。


 二メートル程度の転移魔法陣。それを描き切ると同時に血液は尽き、女性の身体は完全に干からびた。仮面を取り、男は顔を覆うほどの大きな虹色の目玉で魔法陣を見据える。


「――××――××――――××」


 呪文を唱えると、魔法陣の中心から裂けるようにして空間が左右に割れ、真っ暗な穴が開く。その奥からは無数の虹色の目玉がこちらを見つめ返していた。


「残る素材はあと一つ。さあ、同胞たちよ。最後の仕上げだ」


 男の言葉に応えるように、穴のから三体の化け物が這い出して来る。四体目が外へ出ようとしたところで、唐突に穴は閉じてしまう。


「ふむ、一人分ではこの程度しか持たないか。まあいい、焦ることはない」


 男は壁に背を向けて歩き出す。付き従うようにして化け物たちがそれに続く。


「我らが神をこの地へ招くため、祝福を受けながら純白を保つ者――エルフの子供を獲りに行こう」

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