獣の塔
休憩用の街に出てからすぐに、宿屋へ行き何故か持っている1000BPの内300BPを使用して契約する。
コレでここに来たらフリーで自分の部屋に出入りできてログアウトができる。
次に街の外へ向かいつつ、ジョブクリスタルとスキルクリスタルを使用する。
ジョブクリスタルはその名のとおりにジョブが手に入る。現状、なれるのは戦士、魔法使い、野伏、遊び人だ。色々と見たが武器が制限されるらしいから全部使えるがバフが少ない遊び人にする。
スキルクリスタルも色々と取れるが、スキル❲行離回避❳を取る。効果は直前に攻撃した相手から離れる動きをすると、初動に0.5秒の無敵時間が発生するというものだ。最強でしょ。0.5秒とか全部避けられるわ。
これら2つはコレからも使えるそうで、アイテムBOXの大事なもの欄に入ったまま消えない。
用は終わったので街の外へ出る。
出た瞬間、両方の視界の端からPKと思われる奴らが飛び出てきたので、バックステップをして位置を変えてから右から来たやつの脇腹を、右のハイキックで蹴ってから左足で腹を蹴る。
「ゥウオェェ!」
えづいた。
きたねぇ。男がえづくな。
えづいた方はそのまま地面に蹲ったので放置する。
左から来たやつは一瞬で相方が倒れたので戸惑っているようだ。
PKのくせに情けないな。この程度で止まるなよ。殺すなら死ぬまで殺すために止まるなや。
下手なやつだと内心罵りつつ、少し跳ねてから地面を蹴り左のやつに近付き鳩尾を殴り、頭を下げさせその頭を両手で掴んで勢い良く地面に降ろしつつ、そこに左膝を入れる。顔面膝蹴りを3回ほど行ってから持ち方を変えて、体を振り回す。
「えーーんしーんりょくーー。フッハハハハハハ!!!」
5回ほどで最高速へ達した左のやつを20回ほど回してから、体制を変えて右のやつに振り落とす。
「サーン,ニー,イーチ!!うぉらっ!!!」
左のやつはサバ折りになり、右のやつは頭が潰れてポリゴンになり消えて行った。
「ハァ。無料だからかね。PKが雑魚だな。クイブレのゲームやってるやつだったら今の俺の動きは簡単に対処してるんだけどなぁ。」
PKの質に文句を言いつつ、目の前に見える二本の塔を目指す。
着いて出てきたウィンドウには、左は魔獣の塔、右は獣の塔と出てきた。
名前的に左は上級者、右は初心者用かな。結局両方やるし右から行くか。
右へ入る。
中は地面がサバンナのような黄ばんだ短い丈の草原が広がっていた。
目の前にはうさぎがいる。中型犬サイズだ。
うさぎはこちらを確認すると真っ直ぐ突進してくる。
それに合わせて蹴りを頭に入れる。
「ピギィ!」
1メートル程飛び離れたうさぎは情けなく鳴き地面に落ちた。
そこへ走っていき、両耳を束ねて持ち、肩を使って回す。
グルグルと回るうさぎは諦めたのか気絶したのか力なく回っている。地面にうさぎをおろして、HPバーが消えるまで踏みつける。7回ほどだろうか。踏みつけたところでポリゴンになり消えていった。
《1階Clear》
《報酬の10BPが与えられます》
しけてるな。扉が開いたので先に進む。
2階には狼がいた。毛がちょっと硬そうな狼だ。
先ずは、扉が閉まりきる前に狼に近づき下から頭を蹴る。次に2回拳で殴り、横に移動して腹を蹴る。
そこで扉が閉まりきり、狼にダメージと衝撃が入る。
いきなりのモノに戸惑っている狼は体制を立て直さずに頭をキョロキョロと動かしているので、そこに殴りを一発入れる。前に動いた頭へ更にドロップキックで追撃する。
コレで9割。
あとはテキトウに殴る蹴るをボディに入れて勝ち。
狼はポリゴンになり消えて行った。
やっぱり弱いな。速攻しないほうがいいかもな。でも時間掛けるとダルいしなぁ。
一回と同じウィンドウが出てから扉が開く。
3階、カンガルーが出た。筋肉が遠目でもわかるくらい太い。見た目は強そうだな。見た目は。
扉が閉まったのでカンガルーに近づく。カンガルーもこちらに高速で寄ってくる。
カンガルー系の敵の倒し方。
1,攻撃を誘発させる。
2、後ろに回る。
3,殺す。
以上。
近づくのを途中でやめてぼっ立ち常態になる。
それに対してカンガルーは飛び蹴りを放ってくる。
初心者用だからだな。攻撃が直線的だ。
それを横に避けて、後ろに回る。何故後ろに回ったか。実はカンガルーは後ろに行けないんだ。全部まっすぐしか行けない。方向転換をして正面へまっすぐ。それがカンガルーの移動方法だ。なのでカンガルーが方向転換するのに合わせて殴りながら自分も移動する。コレだけでHPは削り切れるからカンガルー系は雑魚。
それから30秒ほどでHPを削りきった。
前の階と同じウィンドウがでてから扉が開いた。
4階は二本角が生えた赤と黒の体毛の狼だ。名前はデビルウルフという。マンマだな。
扉が閉まったので相手に近づく。デビルウルフの口の端から炎が漏れ出はじめた。
コレはブレスか火球か。とりあえずは横に回りながら近づこう。
デビルウルフを中心に円を描くように、移動しつつ徐々に近づいていく。デビルウルフが炎を出してから5秒後。2m程の長さの細い炎ブレスを吐き出した。
ブレスか。詠唱が長くて細めだけど射程は長い。まぁ、避けやすいな。
そう思った矢先にデビルウルフはブレスを吐きながら円を描くように頭を動かし始めた。
「ほぅ。良いね。コレは魔獣の塔では取り巻きで害悪やってると見た。」
初心者用には丁度いい難易度の強敵に対して少しヨロコビつつ近づく速度を上げる。
吐き始めてから8秒ほどたち、ブレスが止まりデビルウルフもやりきったかのように動きを緩めた。
ほい。来た。一気におとしきるぜぇ。
近づく動きを直線に変えて速度を上げる。
射程圏内に入ったデビルウルフに一発右ストレートを入れてから、腹を蹴る。
「キャンッ」
情けない声を上げたデビルウルフに対してさらに追撃を加える。先ず横顔に左ナックル。次に横腹に右手で抉るように下から殴る。そのままの勢いで右肘を落としてから、前足を後ろから右足で蹴る。
そこで丁度また動き始めた。デビルウルフは1度前へ移動してからこちらへ向き直り飛び掛かってきた。
ソレを左腕を盾に受ける。
痛い。
左腕が噛まれた。しかし頭を近づけられたのでそこに右腕で離れるまで殴る。
5回ほど殴ったところでデビルウルフは離れたが、少しふらついている。
脳が揺れたかぁ?
拳でスタン効果出せるなら結構戦略が広がるぞ?
そんなことを考えつつ、頭に2回蹴りを入れてから、トドメに踵落としを脳天に落とした。
それでデビルウルフはポリゴンになり消えて行った。
ウィンドウがでた。しかしいつもどおりのもとに加えて一つ違うものが出た。
《悪魔狼のコートを手に入れました》
扉が開いたので進みつつ手に入れたものを見てみる。
悪魔狼のコート
狼の耳がついたフード付きのコート。
オシャレ装備の1つ。
装備可能:胴
スキンのようだ。報酬なのかドロップアイテムなのかは分からないが戻ったら着てみよう。
5階、例のボスアナウンスが出た。ボスは二本の角が生えて顔に悪魔メイクをしたような毛柄の青いウサギだ。名前は兎田空間。読み方はトダアクマ。ちょっと込んでるのはなんだ?まぁいいか。
扉が閉まったので近づく。
トダアクマの体から何か煌めくものが舞い始めた。
なんか危険そうだな。一変様子を見よう。
トダアクマから5m程の距離を保ち、少しずつ移動して警戒をする。
5秒後
煌めきがトダアクマを中心に右方向へ回転しながら円状の枠を描きはじめた。
お?爆発か?スリップダメージか?いや、CFだしなぁ。召喚か拘束か。とりあえずは出るか。
小走りで煌めきの円から出ていく。
その瞬間にHPが高速で減り始めた。
「うぉっと!!結界系かいな!」
急いで円の中へ戻りHPを確認する。
2割。たった1秒程度外に出ただけで2割削れた。コレはCFが仕事しはじめてきたな。パーティ組んでる奴らはキツそうだな。コイツ。
ネタが1つ割れたので攻撃を始める。直線的に走りトダアクマへ近づく。
途中、トダアクマがぷぅぷぅと鳴いた後に黒い塊を放ってきたので避けてから胴を蹴る。
「ピュッ!」
少し鳴き、横転したところへ追撃として踏みつけを3回行う。
コレで1割。
トダアクマが体制を直す前に蹴れるだけ蹴っておく。
「ピギ…」
蹴りが一回腹部へと深く入った。小さく鳴いたトダアクマはまた横転した。
床に叩きつけるか。
横転しているトダアクマの両耳を揃えて掴んでから、ハンマー投げのように回り始める。
一度、回転中に黒い塊を放ったが回転している為かあらぬ方向へ飛んでいった。
20回転程したところで、軸をずらして縦回転へと変えて上半身ごと大きく回してからジャンプをして、落ちる勢いを追加して地面に叩きつける。
「キューー!!」
トダアクマが甲高い声を上げて悶える。
残り4割。
少しはなれてから助走をつけて、サッカーボールのように蹴る。トダアクマは地面を擦りながら少しズレた。
残り3割。
動く様子がないのでストンピングをする。地団駄を踏むように膝を高く上げて勢い良くトダアクマへ振り落とす。それを5回ほど行ったところでトダアクマはポリゴンになり消えて行った。
《塔CLEAR》
《セーフタウンへ転送します》
《報酬として悪魔兎の毛皮とトダアクマの銅像を贈ります》
ボスだからネームドモンスターだったのかね?デビルウルフと似たものが手に入った。多分、デビルラビットはいそう。
アイテムを部屋で確認してから魔獣の塔に行くか。
休憩用の街へ転送された。