チュートリアル塔
戦闘狂による戦闘狂の為のFVRゲーム。
約3年前から告知をされていたが遂に発売された。しかもなんと驚き!!基本無料のスキン課金制での発売だ。
そのゲームの名は『TOWER of ENDLESS War』。
このゲームは鬼畜ゲーを作ることで有名なアメリカのゲーム会社、CutieFriend通称CFと近接対人ゲーと言ったらこの会社スイスのゲーム会社、QuickBrainそしてキャラデザは世界topしかし内容はクソゲーしかないことで有名な日本のゲーム会社、夢桜の3社が共同制作している。
内容だが、名の通りプレイヤーは塔に登り階層毎に現れる敵をブチ殺していき、天辺まで登るという単純な内容だ。しかし、面白い事にプレイヤー毎、パーティ毎にクリアタイム表示があり、世界で何番目に速く攻略できたかなどが表示されるそうだ。
廃人が製造されそうだねぇ?
さて、説明はこのくらいにして本編へ行こうか。
◇
名前はいつもどおりに犬DOG。
このゲームは公平を期す為に髪型と色、目の色と性別しか変えられないのでデフォの黒黒短髪でok。
では、チュートリアルヘレッツゴー。
視界が変わる。
全部黒の空間から壁と床が苔生した石レンガへ変わる。正面に棍棒を持ち茶色い腰布だけを巻いた醜悪な子供がいる。ソイツの上部には一本の緑色のバーと共に名前が表示されている。ゴブリンだ。
システムウィンドウが、正面に現れる。
《やあ、いらっしゃい。頭のおかしいバトルジャンキー》
否定はしない。
《君にはこれからここでのマナーとその他色々を学んでもらうよ》
座学か?早く戦いたいんだが。
《先ずはマナーから。ここにあるマナーは1つだけ、ルールを守って視界に映る奴は皆殺せ》
ルールというのは利用規約だろうな。最高のマナーだ。
《次にその他色々を説明するよ。》
《君の視界には緑色のバーが1本左上に表示されているはずだね。それが君の体力。それが無くなったら塔から追い出されて休憩用の街に帰されるよ。気を付けてね》
《次に装備についてだよ。装備だけど休憩用の街で塔を登った階数や相手を殺した数によって報酬が貰えるからそれを使って休憩用の街で購入してね。今いる場所では何もあげないから自分で調達してね》
CFが共同にいるくせに言ってくれるなんて優しいな。
《後は必要になったら説明するよ》
《じゃあ改めてバトルジャンキー。終わりなき戦へようこそ。修羅となる君へ同情を。》
最後のシステムウィンドウが表示され、それを消すと今まで動かなかったゴブリンがいきなりこちらへ向かって走ってきた。
「ギャァッ!!!ギャッギャッギャ!!!」
おっほ。いきなりかよ。最高。
このゲームをやるにあたって必要なこと。
1つ目、FVRの動きには慣れておけ。
2つ目、ここは電子空間。現実っぽいが現実じゃない。そこを理解しろ。
最後に、己は武器だと思え。
以上。
俺はゴブリンに向かって走り、振り上げている棍棒を持つ腕を掴み、遠心力を使ってゴブリンを振り回したあと、地面に叩きつけた。
「ギャッ!?」
ゴブリンは驚きの表情作り衝撃で漏れたような声を出す。
そこに間髪入れずに右足で腹を踏みつける。
「ギュゥエッ!」
ゴブリンがえづき混じりの短い悲鳴を上げるが無視をして更に3回踏みつけてから、思い切り脇腹を蹴り上げる。勿論爪先で刺すように。
「ぎ、ぎゅぇ……」
ゴブリンが弱々しく鳴く。
ゴブリンが手から棍棒を放したので、拾う為にゴブリンの股間に蹴りを入れて悶絶させる。
「ギィィ!!!?!ギャァァァ!!!?!」
痛みは分かる。やられたことがあるから。
両手を股間に当てたゴブリン尻目に棍棒を拾う。
俺の体では少し小さい。しかし、ゴブリンを殺す為なら十分だ。
棍棒を右手に握りしめてゴブリンに近づく。
足でゴブリンをうつ伏せに這い蹲らせてから背中に乗る。両足で腕を踏み付けてから、フリーになった頭に向かって棍棒を何度も振り下ろす。
ゲームの為、音はマシだが中々良い感じのグロさがある。
6回ほど殴った所だろうか。形の悪いじゃがいものようにボコボコになり赤い液体が漏れ出て、片目が飛び出ているゴブリンの頭が完成したと思った瞬間。ゴブリンが赤いポリゴンとなり霧散した。
どうやら体力がなくなったようだ。
システムウィンドウが現れた。
《チュートリアル塔 1階CLEAR!》
《扉が開きます》
それが表示されると、部屋の奥の壁が左右に開いた。
よし。次に行こう。次は何が出るのかね?
棍棒を右手に握りしめて扉の奥にある階段を登っていった。
2階には金属鎧を着たゴブリンが金属の剣を持っていた。名前はゴブリンナイト。醜悪な顔は変らない。
部屋に入り切ると、背後の扉が閉まり、ゴブリンが襲い掛かってきた。
1階の奴よりは遅い。
棍棒を盾代わりに使おう。
コチラからも近づき、振り下ろして来た剣を棍棒で防ぐ。やはりナマクラのようだ。剣が棍棒にハマった。
直ぐに棍棒を手放して、タックルをキメる。
そのまま左手で顎を抑えて首を露わにしてから、右手で頭と首の付根を締める。コツは下顎の骨の内側に指を入れるようにしながら、首を摘むイメージでやるといい。
コレをすると当然、放すために剣をこちらに振るってくるため、ソレを受けつつ、左肘を胸骨柄と首の間にある凹みへ打ち付けてからそのまま体重を掛ける。
右手を首から離して、ゴブリンが剣を持つ左腕を抑える。そのまま体制を変えて腹の上に座りマウントを取りつつ、左足で右足を踏みつけて抑える。
次に両手でゴブリンから剣を奪って棍棒をゴブリンの頭に打ち付けることで叩き斬る。
最後に左肘で打った場所と同位置に、剣の先を突き刺してから何度も捻る。
「ぎゃ…」
痰か唾か血かよくわからない液体をゴポゴポと鳴らしながら力無く鳴いたゴブリンナイトはポリゴンとなって霧散した。
まぁ、チュートリアル塔だもんな。こんなもんか。
次に行こう。
1階と同様のシステムウィンドウが出てから扉が開き、今度は剣を片手に階段を登っていった。
3階にはゴブリン1体とTHE魔法使いなゴブリンが1体いた。名前はゴブリンメイジ。ナイトと同様に醜悪な顔は変らない。
複数対戦か。ゴブリンを盾にしてメイジを刺し殺すか。
扉が閉まり切る前に、走り出してゴブリンの棍棒を持つ腕を斬る。一度では斬りきれなかったので、地面に倒してから腕にハマった剣をもう一度次は地面に叩きつけて振り下ろした。棍棒を持つ腕は斬れたが、ゴブリンが丁度動き出した。
「ギイィヤァァァ!!?!」
ゴブリンは気づかぬうちに腕を斬られた事により、痛みと同様で汚く叫んだ。
それを無視して片手で、残った方の腕を掴んで引き摺りながらメイジに向かう。
ゴブリンメイジは持つ木の杖をこちらに向けてぎゃギャギャと鳴いてから、火の玉を飛ばしてきた。
それをゴブリンを投げる事で防ぎ、ゴブリンを目隠しにメイジの左横に飛び出した。
そのままの勢いで剣をメイジの胸に薙ぐ。
上手く当たったが、少し食い込むだけで殆ど打撃と変わらなかったが効果はかなりあるようだ。
「グッギャァ!!」
痛みで鳴いたメイジは杖を持ちながら胸を抑えた。
そこに背後からドロップキックをカマして、地面に倒してから背中に剣を突き刺す。やはり肋骨はあるようで引っ掛かる為に何度も別の場所を突き刺す。
7回ほど突き刺した所でゴブリンメイジはポリゴンになって霧散した。
「あとはアイツだけだ」
火の玉を食らって腹が焦げたゴブリンが力無く倒れている。そこに剣を叩きつけた。
その結果ゴブリンは霧散した。
やはり、システムウィンドウは同じだった。
扉が開いたので進む。
《最上階です》
《強敵が出現します》
《がんばってください》
事前注意とはCFがいるのに珍しい。
部屋に入ると、そこにはゴブリンの3倍は背が高く、ガタイも横綱よりもいい巨大なゴブリンがいた。
名前はボブゴブリン。醜悪な顔はより恐ろしくなっている。なにせあごひげが生えているのだ。怖いねぇ。
ああいうデカいのは先に動いて先に足を潰すのが定石である。
扉が閉まりきる前に走り出して、剣をアキレス腱に突き刺す。しかし何度動かしても切れない。
「かってぇよ!!てかナマクラ過ぎだろ!!」
思わず文句が出るが気にせずに行こう。
足を潰すことは諦める。剣を抜き、目標を首に変える。
しかし届かないので、体制を崩させることにする。
扉が閉まりきり、ホブゴブリンが叫ぶ。
こちらを見てから掴もうと腕を近づけてきた。
それを避けると何度もホブゴブリンは腕を振るってきた。全部を避けてから、両腕をふりおろす動作を誘発する動きをする。
剣で何回か腹を斬りつけてから、少し距離を取る。
ホブゴブリンが近づいてくるので少し煽る様に腕を動かす。
更に加速してきたホブゴブリンに対して剣の腹を向けて腰を深く落とす。
それを見たホブゴブリンは右腕で吹き飛ばすように、腰を使って振り出してきた。ソレをギリギリまで惹きつけてからしゃがんで避けて、そのしゃがみをバネに大きくジャンプをして首元まで跳び、剣を思い切り突き刺す。
「グオオオー!!!」
刺さったが先だけだ。しかし弱点判定のようでホブゴブリンの上部にある体力バーは残り4割を指している。
やはりチュートリアル。ぬるい。
剣をホブゴブリンが遠くへ飛ばした為、素手での戦闘へ移行する。素手での戦闘は大量バーがあるゲームの場合は小さい方が有利になる。
姿勢を低くしつつホブゴブリンの懐に潜る。股間をアッパーで殴ってから体制を整えて、左脛を思い切り蹴る。
「うぉらっ!!」
「グガァッ!!!」
股間と脛、両方の痛みでホブゴブリンがしゃがんだ。
チャンス。
股間と脛を抑えているホブゴブリンの頭に腰を使った右ストレートを1回入れてから、2回頭に膝蹴りを繰り出す。
コレで残り0.5割。
最後に両手を交差させて1つの拳を作り、ホブゴブリンの頭へ振り降ろした。
「グォ!?」
流石に体重を掛けた拳は効いたようで、最後に短く鳴いてからポリゴンになって霧散した。
《塔CLEAR》
《セーフタウンへ転送します》
《報酬としてジョブクリスタルとスキルクリスタルを贈ります》
あぁ、ホブゴブリンは良かった。だが、物足りない。速く次の塔を登りたい。
そう思いながら休憩用の街『セーフタウン』へ転送された。