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ドSヴォーカルとM奴隷 番外編2

作者: 丸ぼうろ

舞い降りてきた幸せ


うげつ

『なんか調子悪い…なんだろう、食欲もないし…胃薬飲んだけど効いてないみたい…やっぱり私事務所の仕事なんて荷が重くてストレスかかってんのかな…悠が心配する前に病院に行こう』

Dead Linkの事務所に勤めてもう8年になる。江戸はDead Linkのマネージャーではあるが、役職にもついているし新人Bandも担当するようになり、殆んどのことはうげつが担当することになっていた。Dead Linkはその間いろいろなことがあったが人気は健在だ、悠たちメンバーはもう30をとっくに越えて、それなりの風格がついてきている。うげつのほうがフォローされている感じだ。自分の健康管理ができなくて悠たちに迷惑をかけるのはどうしても避けたかった。

オフの日に消化器内科を訪れた。問診と血液検査と尿検査を受け、結果が出た後医師から総合病院の産婦人科への紹介状を渡された。妊娠の可能性があると言われ戸惑いを隠せなかったが、指摘されれば最終月経がいつかも忘れていたくらい遅れていた。

そのまま総合病院に向かう。女医の丁寧な問診と診察の後きり出した。

うげつ

「あの、私不妊症じゃないかって前に言われてて、自分でもそうだと思ってたんですけど…」

女医

「それは疑いがあるってことだったんじゃないですか?基礎体温は測ったことありますか?」

うげつ

「…いいえ…妊娠しないなら測る必要ないと思ってて…」

そしていくつかやり取りの後、エコーの部屋に移る。

女医

「んー……見えますか?ちょっとわかりづらいと思うけど、胎嚢っていうのがあってそこに赤ちゃんたちがいます」

うげつ

「赤ちゃんたち?…双子なんですか?」

女医

「ん…とね、三つ子ちゃんですね。お話だと排卵誘発剤も使ってないから自然妊娠でね、自然妊娠で三つ子ちゃんはとっても確率が低いんですよ。おめでとうございます。あとは…胎盤が一つですね…一卵性になりますね…」

うげつ

「三つ子って…無事に産めるんでしょうか。どうしよう…ちゃんと育たなかったら…」

女医

「胎盤が一つなので3人で栄養を分け合うことになるんですよ、そうすると小さくなっちゃう子がいますから入院することになるでしょう、高木さんもかなり身体に負荷がかかりますので早めに入院することになると思いますけど、安心して、私たちでサポートしていきますから」

体調不良は悪阻だということで、妊娠届と助産師からの説明を受けて悠のいるマンションへ帰る。母子手帳をもらわないといけないが、その前に悠に報告しておきたかった。

悠の喜び方は驚くほどだった。ずっと前、子供が欲しいと言いながらもうげつの精神的な負担になるならもういいと言った悠を思い出して、やはり悠は子供が欲しくてたまらなかったのだと実感し、ようやく悠の子供を宿した嬉しさがこみあげてくる。


事務所

「んで、身体に負担かけたくないからもう休ませることに決めた、俺江戸と相談しながらマネージャーもやるからよろしく」

良(Bass)

「デビュー前は俺がやってたじゃん、俺がやるからお前は父親になる勉強でもしたら?一気に3人の子持ちになるんだぜ、それにうげつちゃん気になってマネージャーの仕事なんかできないだろ」

高廣(Drum)

「それにしてもなんか感慨深いなぁ…俺たちはもう子供何人もいるのにお前んとこ自然に任せるとか言って突然三つ子妊娠したなんてさ。しかも一卵性だろ?男の子だったら悠みたいなのが3人かぁ…性格がお前みたいな俺様じゃなきゃいいけど」

「まだわかんねぇよ…無事3人育つかわかんねぇし、検索したら母親も結構あぶねぇみたいだからな…そういえば性別聞いてねぇな…どっちでもいい、産まれてきてくれれば。それより姉貴だよ、もう大混乱してさ、会社から遠くなんのに俺んちに近いでかいマンション買って引っ越して家事手伝うとか言い出してよ、マジ止めてくれって感じ、家事は全滅のくせに。…ま、俺もパニクッて連絡したから。一人でマンションにおいとくのが怖いって母さんに連絡したら早速来てくれるっていうから安心した、母子手帳も手続きしに行ってくれるっていうから任せてる」

明(Guiter)

「なんかようやくうげつちゃんのところもお前が父さん・母さんて呼ぶの許してくれたんだな、俺も嬉しいよ」

「だな…ずっと無視状態だったけど、うげつの携帯から連絡したから出てくれてさ、自然に母さんって呼んじゃったけどすぐ行くって言われてマジで安心した。もう俺にとっての親はうげつの親だし。実家に帰したかったけど今の病院が遠くなるのも不安だから…とにかく不安でさ、らしくねぇけど」

高廣

「わかるよ、3人目でも俺すっげ嫁さん心配でさ、鬱陶しがられるほど電話したりメールしたもんな、安定期になったら落ち着いたけど陣痛きたらやっぱ産まれてくるまで心配したよ」

「陣痛か…早めに入院になるって言われてっからどうなるか…(目を閉じる)最悪子供がダメでもうげつが無事ならいいと思ってる…」

「ホントらしくないよ、今ホントに医療進んでるからさ、3人無事に産まれてくるって!悪いほうに考えてたらうげつちゃんまで不安になっちゃうよ、支えてあげなきゃ。きっとうげつちゃんの方が不安だと思うよ」

「あぁ、そうだな…あいつ脆いんだよ結構。俺がしっかりしないとな」

悠の脳裏にうげつとの8年間がよぎる。出会ってすぐに強引に処女を奪い、一緒に住むよう強要し殆んど毎日のように身体を貪り、二人で理性を無くすまで過ごした爛れた時間…親になればもうそんな時間はもてなくなる。いや、これまでが歪んでいたのだ。トラウマを抱えた二人の8年は支配と服従の時間だった。もう考えてもいなかった子供が生まれる。親になれば対等の関係になる。歪な愛情表現はなくなるだろう、子供を育て父と母として新しい生活を育み、そして子供たちが巣立ったら二人で本当の愛情を持って暮らしていくだろう。

『その頃には俺もおっさん、うげつもおばさん通り越しちまう歳だけどな』

姉と二人きりだった子供のころ、Dead Linkの成功だけを考えていた頃、姉と再会した頃、うげつと会った頃…これからは子供のいる生活が加わる…漠然と欲しいと思っていた時とは違う、何ヶ月か後には現実となる生活。

『庭付きの家でも買うか…3人産まれたら今のとこじゃ狭すぎる』


帰った悠は3冊の母子手帳を握り締めて’母さん’に怒られてしまった。手帳だけでもう子供を抱いている気分だ。悪阻で元気のないうげつだが笑顔で迎えてくれる。悠は幸せをかみしめていた。





8年後ようやく子供を授かった悠とうげつの話です。短編で書いている「ドSヴォーカルとM奴隷」の番外編です。

投稿して日が浅いのですが6,11,12もアクセス数が急に伸びて、1も毎日たくさんアクセスがあるので記念に2人の未来の話を書いてみました。よろしかったら本編ものぞいてみてくださいませ。

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