森勝玄一郎
まだ小説を書くことは慣れていないので、暖かい目で見て頂けると幸いです。
自分と向き合うことが出来なかった侍たちは腹を切る前に必ずこの茶会にやって来る。
その侍たちは様々な事情を抱えている。
その事情を聞いてやるのがこの私、池尻仁左衛門だ。
今まで茶会を開いてきたが、茶会の中で様々な経験をしてきた。
中には、泣き出すもの、逆上して襲いかかってくるもの、などがいた。
そしてまた今日、茶会の訪問者がやってきた。
「よろしく頼む」
「こちらこそ」
このものの名は森勝玄一郎。最近罪を犯してこの茶会にやってきた。さて、このものはどのような事情を抱えているのだろうか。
「では、これまでの人生でやり残してきたことなどはなんでしょうか?」
「私が人生でやり残してきたことか...」
「しいてあげるとするなら、親の死に立ち会うことができなかったことだ」
茶をたてながら質問する。
「親とは仲が良かったのでしょうか?」
玄一郎は顔を少ししかめながら答えた。
「いや、逆に仲が悪かった」
「絶縁もされていた」
「どうしてですか?」
顔をうつ向けて答えた。
「以前から家を継ぐことで揉めていたからだ」
「なるほど、ではここらで茶を飲みましょうか」
そう言って私は玄一郎に茶を渡した。