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《生きてるって素晴らしい》

『コレで良いの?』


〈はい。次は体に腕を突っ込み臓器を全て取り出して下さい。〉


俺は現在、サポーターの指示を受けながらストーンボアを解体している。石を使いながら皮を剥ぎ、お腹を切り裂いた。そして切り裂いたお腹の中に腕を入れる。


『うえ!気持ち悪い!』


体に腕を突っ込み臓器を取り出す。ヌメヌメしていて気持ち悪い!今の俺はストーンボアの血で全身血だらけだ。


〈我慢して下さい。それでは食べる分だけ肉を切り取って下さい〉


我慢して骨ごと肉を一部切り取る。周りに魔物がいないことを確認しながらオアシスに戻る。


今の俺は全身血だらけ!さすがに今の姿のまま食べる気にはならない。


俺は大きな葉を皿代わりに肉を置き、生えている木の枝を軽く削ってコップの様にして飲み水を確保してからオアシスの中に飛び込む!


「気持ちいい!」


水が血を洗い流し、体の熱を冷ます!さすがに他の人が飲む場所じゃ出来ないけど、幸い飲みに来るのは魔物だけだ。


「ふう!」


水から上がり体に付いた水滴を軽く振り落とす。


「さて、飯にするか」


だが、どうやって食べればいいんだ?焼きたいところだけど火を起こせるか分かんない。


『なあ、生で食べても大丈夫か?』


〈一応大丈夫です。ですが本来は焼いた方が良いでしょう〉


うーん。とりあえず火を起こせるか試してみるか!


俺はオアシスの周りに落ちている木の葉や枯れ木を集めてみる。


「確か以前テレビで火の起こし方を観たな」


俺はテレビでやっていた方法を何とか思いだして、木を擦ってみる!


「無理だ!」


流石に、素人が適当にやっても出来るわけがない!


「しょうがない。我慢して生のまま食べるか」


さすがに、そろそろお腹も限界だ!生のまま肉に食いついてみる!


「!?」


意外とイケる!お腹が空いてるからかもしれないけど甘みがあって美味しい。


とにかくがむしゃらに肉にかぶりついた俺は一気に食べきる。


「ああ、旨かった!」


生きてるって実感が沸いてくる。こんな世界に来ても食べるって行為は地球と変わらない!


ああ、生きてるって素晴らしいな!


〈⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅〉


何か、呆れられた気がする?気のせいだな!


お腹も膨れたし先に進んでいく。そろそろ休める場所を探すか。






この世界に来てから半年がたった。


俺は生きるため魔物を殺しながら先に進んでいく。


殺した魔物にそのままかぶりついて残りは他の魔物の餌になる。


そんな日々を過ごしてきた俺は今じゃ単なる野生児だ。


誰も居ない場所じゃ誰でもそうなる。


「人に会いたい!誰でもいいから出てきてくれ!」


このまま、あと半年も誰にも会えないなんて頭がおかしくなりそうだ!


そんな風に考えながら今日も頑張って東へと進んでいく。


『街に着くまで後どのくらいだ?』


〈まだ、半年近くはかかります。頑張ってくださいマスター。〉


そう俺を応援するサポーターにも今じゃ何も思わない。


姿が見えない相手じゃ俺の気持ちを癒す事は出来やしない。


そんな事を考えていると前方の景色が変わってきた。


『あれは森か?』


そう。俺の目には遠くに大きな木が沢山見えている


〈はい、あの森は、[迷いの森(ロスト⋅フォレスト)]、街の手前まで広がっている広大な森です。後、数日で森の中に入ります。〉


迷いの森(ロスト⋅フォレスト)?』


〈はい。広い森の中、頻繁に発生する霧で迷って出れなくなる者も多く魔物に襲われて多くの冒険者が死んでいます〉


つまり、そんな森を半年もかけて抜けなきゃいけないってことか。


俺は気落ちしながらも森に向かって歩き出してから五日後、洞窟の前に居た。


森に入る手前、南の方に洞窟があるのに気が付いた俺は洞窟に向かったのだが、そこで初めて人を見つけた。


しかし、話をする事は出来ない。何故なら俺が見つけたのは動くことの無い、ただ人の形をしている骨だけだからだ。


「とはいえ、この世界に人間がいるのは間違いないみたいだ。」


さすがに半年も人に会わないでいると、この世界には本当は人なんて居ないかもしれないと考えてしまう事もあった。


「お、剣が落ちてる!」


俺は洞窟に落ちていた剣を拾い鑑定を行う。


{ミスリルの剣。ランクB。強度は強く、魔力の伝導率は高い。}


「ミスリル!地球のファンタジー小説なら必ず出てくる架空の鉱石だな!」


ふむ。結構いい武器を手に入れたんじゃないか?木の槍も壊れてきているし。


『なあ、ミスリルで出来た武器って結構使えるよな?』


〈はい。アルティミアでは、ミスリルはエルフのみに伝わる方法で武器や防具などに加工される鉱石で価値も高く性能は他の武器よりも上です。手に入れようと思っても簡単には無理です〉


『魔力の伝導率ってのは?』


〈魔法を使う際は、何か媒体となるものが必要となります。武器以外にも、杖や指輪などがありますが魔法を唱える際の魔力が全て魔法に変化する訳ではありません。媒体の伝導率により同じ魔法でも必要な魔力が違う為、効率良く魔法を使う為には伝導率の高い媒体が必要となります。伝導率が高ければ少ない魔力で魔法が使えます〉


なるほどね。でも、これで剣と魔法のうち、片方は使えるようになるって事だよな!テンション上がるわ~。


『それじゃあランクって何?拾ったのはBランクらしいけど。』


〈この世界では作られた物には出来栄え表すランクが自動で付いております。ランクはE、D、C、B、A、Sとあり、Sランクとなると伝説扱いになっています〉


Bランクってそこそこ良い物なんだな。


〈同様に魔物にもレベル以外にランクが付いておりますよ。こちらはギルドが独自に決めたものですが〉


サポーターに言われて、ストーンボアを鑑定した時の事を思い出す。確かにDランクって出てた覚えがある。他にも殺した魔物にも付いていたな。生きるのに夢中で気にしてなかった。


『魔物のランクはどうやって決めてるんだ?』


〈レベルや強さによって違いますが、ランクはFからSまであり、基本はレベルで決まります。ですが、レベルが低くても脅威になる場合はランクが上がります。ギルドでは討伐依頼もありますが受ける事が出来るのは自分のランクまでです〉


やっぱり、ギルドに登録してみたいな。ランクを上げてみたい!


「でも、獣人だとほとんど上がらないらしいしな~」


どうにかなんないかな?魔法があるなら何でも出来そうだけど。


俺はサポーターと話ながら登録するか考えたりしていた。


その間も洞窟に他に使えそうな物がないか探していると、奥に指輪が落ちていた。とりあえず、鑑定!


{治癒の指輪。ランクB。指輪を嵌めている限り装備した者は怪我が少しずつ治る}


これ、かなり良い物だよな?


『なあ、治癒の指輪ってのを拾ったんだけど?』


〈治癒の指輪は、指輪に治癒魔法の効果を付与した物で怪我をすると大気中の魔力を使って自動で発動します〉


『すごいな!指輪を嵌めてれば怪我しても死なないってことか?』


〈いえ、流石に回復が追いつかないような傷だと意味はありません〉


そこまで甘くなかったか。けど治癒の指輪は使える。とりあえず指に嵌めておこう。


「それにしても、剣や指輪ってコイツの持ち物って事だよな?」


俺は骸骨を眺める。何者かは分からないけど相当腕の立つ者だったんだろうな。


「まあ、お前のお陰で俺も少しは安全に闘えるようになったよ。ありがとな!」


俺は、骸骨にお礼を言い洞窟を出ていく。


すると洞窟を出た俺の目に飛び込んできたのは巨大な魔物の姿だった。


目の前の光景が信じられない俺は何度も目を擦ってみる。見間違いじゃなさそうだ。


「あ、あれって」


俺の目に飛び込んできたのは、ファンタジーにおける死の象徴。


「ド、ドラゴン?」


森の前に居すわり周りをキョロキョロと見渡すドラゴン。


その姿に思わず尻餅をついてしまった俺は無意識に鑑定を行っていた。


古代竜(エンシェントドラゴン)。レベル百。ランクS}


鑑定が行われた瞬間ドラゴンがこちらを向き、その大きな紅い瞳が俺を捉えていた。


「あ、死んだなコレ」


俺が出来たのは呟く事だけだった。

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