《砂漠の旅》
アルティアと話してから三日。
俺はとにかく言われた方向に向かって歩き続けていた。
『こっちが東で良いんだよな?』
〈肯定です。街まで約一年程となります〉
サポーターが俺の質問に簡潔に答えてくれる。
誰もいない砂漠でサポーターとはいえ話ができるのは嬉しいんだけど、もう少し話し方をどうにかなんないかな。
『なあ、もう少し話し方をどうにかできない?』
〈理解不能。説明求めます〉
『いや、今みたいな機械的な話し方じゃなくて人間みたいに滑らかに話せないかなって?』
〈要望を承認。実行可能か検索します。検索中です…〉
そう言って黙りこんでしまったサポーター。大丈夫かな?
〈実行可能。人間の話し方を学習。最適な話し方を検索…完了。実行しますか?〉
『あ、ああ』
〈実行。改めて宜しくお願いします、マスター!この話し方よろしいですか?〉
『だ、大丈夫!それにしても声も急に変わったな?』
そう。今まで機械的で中性的な声だったのが明るい女性の声に変わった。出来る女性って感じだ。
〈マスターが男性なので女性の声にしました。男性の声がよろしければ変更しますか?〉
『いや、良い。今のままで!』
砂漠でたった一人なのに男と話し続けるのは何か嫌だ!
『なあ、お前ってアルティアが作ったんだよな?』
〈いいえ。正確には創造神アルティアは私を世界樹の記憶から引っ張ってきて、マスターのサポーターとして付けただけです〉
俺が疑問を尋ねると新しい事実が出てきた。世界
樹だって!?ファンタジーの定番じゃないか!
ふう。落ち着いた。さて、気になる事が増えたな。
『 世界樹から引っ張ってきたってどういう事?』
〈世界樹とは、あらゆる世界に繋がって存在する管理装置です。マスターの要望に答える為に創造神アルティアはこの世界に存在する世界樹の一部をコピーし意思を持たせサポーターとして付けました。それが私になります。〉
『管理装置?』
〈はい。世界樹とは創世神が全ての世界を作った際に世界の崩壊を防ぐ為と世界の全てを記録する為に作られました。そして、創世神は世界樹と繋がり世界の管理を行ったのです〉
『全ての世界を創世神が作った?あれ?でも、アルティアは私達がこの世界を管理しているって言ってなかった?それに地球にも神はいるんだろ?』
〈現在はそうです。元々、神は創世神のみでした。ですが、ある時創世神がそれぞれの世界に神々を作り世界樹との繋がりを切って姿を消してしまったのです。その後、残された神の一部が世界を管理する事にしました。〉
『なるほどね。でも、何で創造神は姿を消したんだ?』
〈不明です。世界樹にも繋がりが断たれた為、記録はありません。残された神達も知らないでしょう〉
何でだろ?死んだとか?う~ん。わからん!
『ところで、地球にも世界樹ってあったの?』
〈あります。ですが、地球の世界樹は現在は地球の神によって姿は見えなくなっています。〉
『何で?』
〈かつて、地球に住む人間達が争っていた際に世界樹を傷つける可能性があり隠したそうです〉
マジか。見てみたかった。
『因みにこの世界の世界樹は何処にあんの?』
〈エルフ達が住む大陸に存在しております!〉
エルフいるんだ?会ってみたいな。
『よし、じゃあ今度はこの世界について教えくれ。常識とか』
〈はい。まず、この世界には五つの種族が存在しております。人族、魔人族、獣人族、エルフ族、小人族です。それらは五つの大陸に別れており、そこから更に国が複数に別れています!〉
『めんどくさいな。何で同じ種族で国を分けてるんだよ!』
〈仕方ありません。人間は思想が違うと争うものです。地球でも同様ですよね?〉
まあ、確かに。個人でも国でも争いは起きてるからな、地球でも。
〈続けますね?それぞれの種族は仲の良い種族もいれば対立している種族もあります。特に、人族と魔人族の仲は最悪ですね。他にも仲の悪い種族もありますが、常に争っているのはこの二種族だけですね。〉
『獣人族は?アルティアは獣人族は差別されてるって言ってたけど。』
〈獣人族はほとんどの種族から動物の様に扱われていますね。ただ、一部ですが差別のしない人間もおります。それと獣人族は奴隷にされる者も多く、あまり自分達の大陸からは出てきません。唯一、エルフ族だけは他の種族を差別しませんので獣人族も一部ですが普通に生活しております。〉
よし、獣人族とエルフ族は仲良くしよう!他の種族は敵対するなら容赦はしない!
『質問、この世界の神様の扱いってどんな感じ?信じられているの?』
〈はい。この世界には複数の教会があり、それぞれ自分の信じる神に祈りを捧げております。特に五柱の神達は昔に姿を見せた事があるため、アルティミアの神として多くの人に信じられています。他にも竜神など人間が神と呼ぶ存在も多く、この世界では神を信じない者はいません。〉
『アルティアって凄い奴なんだな』
〈ですから、信者の前で神を馬鹿にするような事を言うと面倒な事になるので気を付けて下さい〉
はい、気を付けます。
〈それから、国にも王族を頂点として貴族達がおりますので目をつけられないよう注意した方が良いでしょう。〉
『目をつけられたら?』
〈逃げることをオススメします!〉
なるほど。まあ、揉める必要はないからな。
『あ、ところで今いる場所は何処の大陸なの?』
〈ここは人族が住む大陸の一番端に位置する砂漠です〉
マジか?よりにもよって人族が住む大陸かよ!?俺には最悪の場所じゃないか!
嘆いても仕方がないし、まずは街に着くこと。それから姫華姉さんを探し出す。とにかく情報を集めないと!




