第3話 オーイェス!poop!!!
「それじゃあ、状況は教えたからあとは任せたぷー」
一方的に事情を押し付けた目の前の汚物は、穴へと消えていった。
一人取り残された俺は、ひとまず朝の習慣である排便を済ませることにした。どうやら、この三日間の便秘はあの妖精の影響らしく、驚くほどに快便であった。いつもと違う場所でのいつもと同じ感覚に、非現実的な状況で焦燥に昂った心がしばらく抱えた胃腸の不快さと共に少しずつ治まっていった。
「一旦トイレから出るか」そう思いケツを拭こうとしたその時いつもなら手を伸ばした先にある物がない
「紙がない」
そのことに気付いたがすでに遅い。もうケツの穴は茶色に汚染されている。ことままではパンツを履くことすらできない…
「仕方がない草で拭くか」足元に生えていた雑草を土が付かないようにむしり取りケツを拭いた。
「まずケツを洗おう」
そう決心しトイレから立ち上がったのであった。
そこで気づいた。
おや?パンツとズボンないんですけど?
まあいいだろうもはやそんな細かいことは気にしないとりあえず目に入った湖でお尻を洗った。
しかし、俺が湖だと思ったものは透き通った下痢便だった。
よく周りを見てみると湖に伸びている川、水たまりまで全て透き通った下痢便だった。
「ここはまさかこの時代の貯水のようなものだろうか」見上げると、少し黄昏た空が見えた。控えめに言ってほのかな薔薇の香りをまとわせながら川を辿って下痢の発生源を突き止める事にした。
上半身に着ているジャケットを腰に巻きつけて歩き始めた。
1時間ほど歩いてみると山の中腹ほどに煙が上がっていた。ほのかな文明の影を感じたこの世界にほんの少し安堵すると、少し足に力が戻った。
煙のあるところまでは元いた世界と変わらない世界だった。
煙に近づいて行くと街が見えた。
その街にはさっき耳から出て来たウンコの妖精と思わしきものがたくさんいた。
その時またしても耳から便意がきた。しかも両耳から。
プププッププ〜
「こんにちわプー。またしても呼ばれて飛び出たプー。街が見えたプーね。
あそこは、わっちらの都市ダーピー。下痢パーマの世界でいうトーキョーとかいう首都にあたるプー。まずはあそこに行ってみるといいプー。」
「....。」
「....ど...どうしたプー? 顔が険しいプーよ?」
「き....きさま.....どこのどいつだ‼︎‼︎
漏らしたと思ったじゃねーかこのたわけクソ野郎‼︎‼︎」
「pooはpooでプよー。忘れたでプか⁉︎さっきまでよき友として魔王を倒したりし」
「てねぇは糞‼︎何が呼ばれて出ただよ‼︎夢にしては出来が悪すぎるわ‼︎夢ならさっさと冷めてしまってくれよ‼︎」
怒号の勢いで今の気持ちをこの糞に叩きつけた。これが本来の自分であることを再認識しながら反応を確認した。
「......夢じゃないでプよ?これを見てみてプー。」
そう言って体から抜き取るように取り出した水晶のような黒ずんだ玉には、俺の通っている大学の授業がとうに始まっていた。」
ついに授業の出席を逃してしまった……。
絶句と共に沸き上がる煮えた感情が頭のなかを支配する。
勝手に人を巻き込んだ自称妖精を名乗る汚物は、未だその口元らしき部位の端を吊り上げて、宝物を見つけたかのようにこちらを見て笑う。それが今の俺にはケタケタと嗤い人を嘲る悪魔のようにしか見えなかった。
「君は選ばれた人だぷー、君にはオラたちの世界を救う力があるぷー。申し訳ないけどもとの世界には戻れないぷー。今は選ばれた事実を誇りに思うんだぷー」
怒髪が天を衝いた。
この悪魔を、俺は許さない。
己の爪が掌に食い込むほどに固く握りしめた手指を眼前き宙を舞う妖精に真っ直ぐ投げ出した。
だが……、
「そんな拳は、オラには効かないぷー」