第2話 耳からきたる便意
「下痢パーマ……。お前を転生させるぷー」
妖精はそう言った。
それと同時に、突如として俺のいたトイレは閃光に包まれた。
眩い光に視界を奪われた俺は身を守るために咄嗟に丸出しの臀部をしまおうとずり下げたズボンに手をかけようとしたが、それも叶わない。次に失ったのは触覚。足底からの受けていた床の感覚、臀部から受けていた暖かい便座の感覚が消え、全身がふわりと宙に浮いたような気分になる。同時にいつものトイレの芳香剤の臭いもしなくなった。
残った聴覚に、先程の妖精の声を聞いた。
「下痢パーマ!世界を救うのだ!!」
その言葉を残響に、俺は全ての感覚を失った。
「ん?ここは?」
目を開けると、周りは木の壁で囲まれ所々隙間があいており、下を見ると穴があいていた。そこからはできれば見たくないあの茶色のブツが顔を覗かせていた。またそこからはなんとも言えない茶色が似合う臭いがしていた…
「まさかここはトイレか!」
現代で見慣れたあの白い白磁の便器がなかったので今まで気付かなかった。
ひとまず今いる場所を確認できたことで心に余裕ができたその瞬間…
便意が襲ってきた。
案の定それは肛門からではなく耳から。
そしてまた奴は現れた。
「よくこっちの世界に来たぷー。君は全人類が生み出しているウンコの10分の1を排出している選ばれし戦士だぷー。このうんこの世界でも君ほどウンコを出している者はいないぷー。一体どうしたらそんなに出るぷー?」
何を言っているんだこいつは。そもそもよく来たじゃなくてお前が連れて来たんだろうが。そんなことを思っていると奴は
「まあそんなことはどうでもいいぷー。
君はウンコの才能があるぷー。その才能を生かして君はこの世界のアイドルになるぷー」
アイドル?何を言っているんだ。
ウンコの才能?腸に入ってくる自律神経の賜物を才能と言っているのかこのpoo太郎は?
そもそもなぜこんな全身モザイクの入ってるような体の物体と会話しているのだろうか?
そうだこれは夢だ!そうに違いない。
まあ夢ならこんな事に付き合ってやるのも一興か。まずは現状把握、これはRPGゲーをやり込んだ人間ならわかる事だ。
「なぁ、pooここは一体どこなんだ?
やけに人気がないし、文明も日本ですらないようなんだけど」そう言うと奴は後ろめたそうにこちらに口を開き始めた。
「実はpooはこの世界のダーピー族の王族なんだぷー。2ヶ月前、ダーピー族の司祭。pooの叔母にあたるpanty司祭がある占いを出したぷー。
内容は秘密事項だぷー。でもこれだけは言えるぷー。今ダーピー族は存続の危機なんだぷー。」
pooは小さなクソまみれの手を握りしめて汁を目らしき何かに溜めてこちらに訴えている。
おっとそれは汁ではなく下痢便だった。まじでやばい時に出る水状の下痢だ。
「それじゃあ、状況は教えたからあとは任せたぷー」
一方的に事情を押し付けた目の前の汚物は、穴へと消えていった。
一人取り残された俺は、ひとまず朝の習慣である排便を済ませることにした。どうやら、この三日間の便秘はあの妖精の影響らしく、驚くほどに快便であった。いつもと違う場所でのいつもと同じ感覚に、非現実的な状況で焦燥に昂った心がしばらく抱えた胃腸の不快さと共に少しずつ治まっていった。
「一旦トイレから出るか」そう思いケツを拭こうとしたその時いつもなら手を伸ばした先にある物がない
「紙がない」