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H.E.R.O.  作者: しいたけのこ
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弔花 ♯終

「……そうか」


 ベッドに横たわったままのゴライアスが、無感情に呟いた。いや、無感情に見えるだけで、胸中にはさまざまな感情が渦巻いている事だろう。だが、彼がそれを表に出す事はなかった。


「悪かったな、疑って。ありがとよ」


 ゴライアスは小さな声で礼を言った。それきり黙り込み、何も言わなくなった。





「アラタだったか」


 依頼主だったボルスは残念そうに呟いた。隣のボディガード、チルゥも、目を伏せている。


「……何にせよ、辛い役目を押し付けて悪かったな。報酬だ、受け取れ」


 現金が入ったカードを渡しながら、ボルスは溜息を吐く。依頼が解決したとはいえ、部下が死んだのだ。手放しで喜べるハズもない状況だった。





「……分かった」


 ミネーは、アラタが使っていた携帯を受け取りながら頷いた。この携帯からやり取りのデータを復元すれば、大きな手掛かりになるだろう。


「まあ、お前もお疲れさん。貸しが出来たな、困ったらいつでもGUFを頼ると良い。ミネーの関係者だって言えば通るぞ、ははは」


 彼女は豪快に笑っていたが、やがて笑みを顔から消し、ぽんぽんと肩を叩いた。


「……本当に、お疲れさん」





 その日は、雨が降っていた。



 アラタの葬式は、とても少ない人数で行われた。身寄りもなく、おのれを偽って生きてきた男には、繋がりが少ないのだ。


 花を供える番になったショウが、立ち上がった。その前に花を供え終えていたゴライアスは、ショウとは目を合わせず、自分の席に座る。


 ショウは棺の前まで歩いて行き、花を置いた。その時、彼は棺の隣に置いてある弔花を見た。沢山の花が、命を謳歌するかの如く咲き誇っている。


 

 自分もこんな風に死ねるだろうか。ショウは、不意に懐の拳銃の重みが増したように感じ、苦笑いした。そしてまた、無表情になった。


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