オマケ
~~おまけ1~~
「はい、どうも~。渚でーす!」
「ウキキキッ!」
パンパンッと打ち鳴らされる毛深い腕。
「こちらルンちゃんでーす!」
「ウキウキッ!」
人の言葉を喋れないので、渚が代弁する。もはや一人芝居だ。
「二人合わせて、ディディー&ディクって何危なっかしいネタをぶっこんできてるんですか!? 危うく、法務部に訴えられるところでしたよ!?」
「ウキキー?」
何もない空間に指で文字を書き、ちゃんとしたコンビ名を尋ねてくる。
「はい、そうですね……。二人合わせてシーモンキーですよ~。アルテミアっていうプランクトンのことですね」
「ウキッ」
首を左右に振って、呆れたように溜息をついた。
ネタ以前に、相方を馬鹿にしてはいないだろうか。
「伝わらないネタはやめておけって? では、仕方ないので本題に移りましょうか。いくら本編で絡みが少なかったからって、こんなコーナーまで用意して漫才させることないんですけどね。作者は馬鹿ですか」
「ウーキー」
渚の愚痴など聞いていないのか、凄く残念そうにしながら決め顔をする。器用な表情筋をしている。
「絡むならイケメンなゴリラのシャバーニ君が良かった? そう、ルンちゃんはメンクイなのねって、え? ルンちゃんはオスだよね? うん……まぁ、ゴリラに負けるのは悔しいけどとりあえず私と漫才やっちゃいましょう」
「ウキーウキー」
気を取り直して、ルンちゃんが渚の背中を叩いてくれる。
「うんうん、なんとか本編の方では無事に戻れたよね。そちらも大丈夫そうで何より」
「ウキキッ!」
渚を指差し、手を交差させたら、飛ぶ生物の真似をして、また交差。最後はクルクルパーときた。
そこのところ、予定とちょっとジェスチャーが違う。
「え? 私の、精神が、入れ替わる最中に、ハエと混じり合って……ってなんでそんなニッチな作品を知ってるの!? 異世界の住人で、魔物だよね、ルンちゃんッ?」
「ウキッ! ウキッ!」
満面の嘲笑を浮かべながら、どこからともなくココロを取り出してくる。
「えーと、それで混じり合うことでココロになる、ね。なるかボケッ! 確かに合成生物かもしれないし、精神だから『心』には違いないけど!」
「キキッ?」
首をかしげて可愛い顔しても、後で渚にお仕置きされることだろう。
「そうだよ、ならないよ。そもそも、ハエとの合成生物になった精神なんてどう表現しろって言うの……。どうやってハエ人間と心温まるハートフルストーリーをやれって言うの……」
「ウッキッ! ウキキキッ!」
ココロの次は土鍋をどこからともなく取り出してきた。
「あぁ、温まると言えばそろそろ鍋の季節だね。水炊きでもポン酢と美味しくいただけるし、寄せ鍋も良い。味噌やキムチに、変わりダネとしてはカレーやピザなんてものもある。大勢と食べるとさらに美味しいよね」
「ウーキーウッ」
「え、キノコが大量に採れたからお裾分け? わぁ、嬉しいな! って、まさか毒キノコとかじゃないよね?」
「ウキーッ!」
「ごめん、ごめん! 流石にそれはないよね。それで、どんなキノコ? シイタケかな? 舞茸とかシメジ、それともエノキ? まさかのマツタケッ?」
「ウキッ!」
「わぁ、キノコ怪人マタンゴだぁ! って、だからなんでそんなニッチな映画を知ってるの! こんなもんお裾分けすんなッ! もう止めさせてもらうわ!」
『ウキンッ!/ありがとうございました!』
~~おまけ2~~
「どうも、渚です!」
「どうも、ランです!」
『二人合わせて狼海娘々(ランハイニャンニャン)です!』
「やぁ、私にまでおまけをいただけるなんて嬉しい限りです!」
「作者の怠惰ですし? こんなことしてる暇があるなら次の話を書いて欲しいですね」
「それは、まぁ……。さておき、本編でも半年せずに二十歳ということですが、成人式には出るご予定で?」
「成人式と言うと、晴着を持ち出して――」
「そうそう、振り袖とか着ましてね」
「――肩パットにマスク被って、ヒャッハーとか言いながらバイクを乗り回す輩が出る集まりですよね」
「どんな世紀末ですか!? 多少なりとも羽目を外す人は出てきますけど、それでもそれはありませんって!」
「いやいや、汚物は消毒だー! って火炎瓶とか持ち出す人もいますよ、絶対? 危なっかしくて行けたもんじゃありません」
「止めてください! 世の中の未成年が信じちゃうじゃないですか!」
「むぅ……。とりあえず、一地域の伝統としては集まってくるかも、とだけ注意しておきましょう」
「一地域でもありませんって! 全く……。それでも、多少なりとも柄の悪い人が出てきてしまうのは仕方のないことかもしれませんね」
「そうそう、しつこくナンパされたりですね。私なんてしょっちゅうですよ」
「渚様が、ナンパされる……?」
「何です、その反応ッ?」
「あー、いえ、何でもありませんよッ」
「ですから、まぁ、そういう性質の悪いナンパをどう撃退するかって練習をしておくのも悪くはないんじゃないかと」
「成人式に出ないのに、ですか? それに、撃退はさすがにやりすぎでは?」
「出なくてもです! 対処、では温過ぎるんです、あーいう輩は!」
「まぁ、とりあえずあんまり暴力的なのはなしで行きましょう。日本は法治国家なわけですからね。では、私がナンパ役をしますので、渚様が上手く対処してください」
「いつでもどうぞ」
「よぉ、ねーちゃん一人? これから、俺とお茶でもしない?」
「そういうの結構です。ポチッと」
「うわぁッ、ボッシュートです! って、成人式の会場に落とし穴用のスイッチなんてありません!」
「イタッ! ハリセンとか準備良いですね……。でも、あるでしょ? こういう輩対策に、いたるところに準備してありますよ」
「芸人の集まりですか……まったく。ヒトシ君以外に他に誰を落とすつもりなんですか。次、ちゃんとやってくださいッ」
「オッケー」
「おうおう、ねーちゃん、今から俺と遊びに行かない?」
「バ○ルーラ!」
「ウワーッ! ル○ーダの店にただいまーって、いやいや、なんでバシ○ーラなんですか!? 穏便な方法かもしれませんけど、そんな魔法は存在しませんからねッ? ファンタジーやメルヘンの世界じゃあるまいに……」
「え? いや、どっちもファンタジーだよね? あれ……?」
「はいはい、次こそはちゃんと現実的な方法でお願いしますよ」
「お、オッケー。これならいけるって確信がある」
「げへへ、ねーちゃん、俺と良いことしようぜぇ」
「や、やめてください! ピィーッ!」
「チッ、防犯用の笛かよ!」
「ヒャッハー! 新鮮なナンパ野郎だぁ! もう、我慢できねぇッ!」
「だからどこの世紀末だ! 別の意味で危険な絵面だよ! いい加減にしろ!」
「ありがとうございました」
以上でクロスオーバー編1が終了となります。
まだまだ気まぐれにクロスオーバーなどするやもしれませんが、御容赦ください。
無頼 チャイ様著作の『動物園ならぬ魔物園の経営は大変だ!!』は以下のリンクよりどうぞ。
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拙作『最強系モンスター達と一緒にスパイする』はこちらより。
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