あゆみ先生
僕は卓也。
高校3年生。
僕のおちんちんは
勃起した。
ただ、
あゆみ先生に挨拶して、
雑談してるだけなんだけれど。
そうなんだ、
そう、僕は
あゆみ先生が
好きなんだ。
僕は決めた。
あゆみ先生にエッチ
してもらうんだ。
しかし、
解ってる。
うそだ。
無理だ。
駄目なんだ。
無駄なんだ。
そんなこと
妄想だけなんだ。
しかし、
駄目もとで、
怒られること、嫌われること、
それを覚悟で
僕は
高校の卒業式の数日前に告白した。
『童貞を卒業させて下さい』って。
撃沈だった。
優しいあゆみ先生が、僕を睨んで怒った。
『童貞を卒業させて下さい』なんて、
本当に失礼ね、
気持ちが悪いわ。
と言われて、
僕は
マジ
へこんだ。
あ
ゆ
み
先
生
こ
ん
な
に
も
好
き
な
の
に
もうすぐ卒業なのに、まったく口をきいてくれもしない。
視線もそらされる。
僕は決めた。
こんな感じのまま、
卒業なんて、
出来ない。
だから、謝罪の手紙を書いた。
僕の真剣な気持ちも込めた。
本気なんです!
って。
とにかく、伝えたい気持ちの全てを書いた。
先生はまだ怒っていて、受け取るのを拒否した。
でも、僕は土下座までして謝り、また、お願いした。
解った。
読むわよ。
でも、
また、
イヤらしい内容だったりしたら……
いいわね、
覚悟してよ!
と
あゆみ先生は言って
手紙を受け取った。
翌日。
あゆみ先生と逢ったとき、
はずかしそうに照れていた。
なんか、そんな気がした。
けれども、何の返事もくれなかった。
玉砕したか、
と
思った。
でも、
良かった。
気持ちを伝えられて。
そして卒業式の日。
自分の名前が呼ばれる。
この時、
涙が込みあげてきた。
もう、
あゆみ先生とは
二度と逢えなくなるかもしれないのだから。
壇上に立ち、あゆみ先生から卒業証書を受け取った瞬間に、
僕の涙は、
せきを切ったように
溢れた。
ヒック
ヒック
泣きじゃくった。
貰い泣きした生徒もいたかもしれない。
すると、
あゆみ先生は、
僕の頭を撫でて、
小さな声でこう言った。
ごめんなさいね、
あなたを誤解してたみたいね。
まさか、
本気で、先生の事を思っていてくれたのね。変態扱いしてごめんね。
あんなこと、
毎年
云われるのよね。
あたしはね、
売春婦じゃないの。
教師なの。
だから、
あなたも、
あたしをイヤらしい目で見ている、その辺のワルガキと同じだと思ったのよ。
ねぇ、卓也さん。
今日、卒業証書を教室に忘れて帰りなさい。いいね、解った?
先生はそう言った。
僕はゆっくり、
うなずいた。
『仰げば尊し』
を、
みんなで泣きながら
歌った。
そして卒業式は終わった。
僕は一度教室に戻ると、
わざと卒業証書を教室に忘れて帰った。
あゆみ先生に言われた通りにしたけれど、
どういう事だろうか?
しかし、
それは、
今夜解った。
あゆみ先生が
僕の家に訪ねて来たのだ。
忘れ物の卒業証書を持って。
これは、これは、先生、わざわざすいませんでした。
とうちゃん、かあちゃんがかしこまっていた。
それでは、
と先生が
帰ろうとした時に
僕に目配せした。
あ、
とうちゃん!
このへん暗いから、
先生を駅まで送るね。
と僕。
えらいぞ。卓也。
先生を駅までちゃんとおくって行きなさい。あと、ついでに、いつもの店で、ビール2本頼む。
あ、わかったよ。
つーことで、
僕はあゆみ先生を駅までおくりながら、
ダラダラとお喋りしていた。
駅前に来たとき、
あゆみ先生の足が止まった。
卓也さん、ありがとう。ここまででいいわ。
あ、う、うん。
卓也さん、
ありがとう。
あの手紙、大切にするわね。
う、うん。
なんだか照れ臭い。
卓也さん。
残念だけど、
やっぱり、私は教師であり、あなたは生徒なのよ。
だから、
あなたの童貞を卒業させてあげる事はできないの、わかるでしょ。
そのへんのアダルト雑誌やビデオみたいにはならないものよ。
うん、解ってる。
先生、ごめんね。
先生をイヤらしい目で見ていた僕を許してください。
解ってる。
許しているわ、もう。
卓也さん、
もう遅いから先生帰るね。
うん、
あゆみ先生、
さようなら。
さようなら卓也さん。
チュッ!
あ!
先生の顔が近付いたかとおもうと、
先生のくちびるが、
僕のくちびると重なった。
あ……
あゆみ先生に…
キスされた。
さようなら卓也さん!
あゆみ先生は駅に向かって走って行った。
僕の頭は湯だっているみたいだった。
興奮していた。
なんか、
凄く、
嬉しかった!
先生の
フワッとした髪の毛。
温かくて柔らかかったくちびる。
高級な香水の香り。
僕はあゆみ先生が、本当に好きだった。
嬉しくて涙がでた。
涙が止まらなかった。
もう二度と逢えないとおもうと、胸が引き裂かれそうだった。
あゆみ先生のお陰で、
イジメがなくなった。
あゆみ先生のお陰で、
留年しなくてすんだ。
あゆみ先生のお陰で、
自殺をふみとどまった。
あゆみ先生のお陰で、
学校が好きになった。
僕はしばらく、じっと立ちすくんでいた。
あゆみ先生の、
甘い残り香の中にずっと抱かれていたかった。
あゆみ先生、
I
Love
You.
おしまい。
エッチな短編にならずに、恋のエピソードになってしまった理由は、恐らく筆者の片想いの先生があゆみ先生という、短編の中の先生と同じ名前だったからかもしれません。