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望まれた転生。帰る世界はありません。  作者: レイザーライト
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現状整理と

ミノカ視点です。

与えられた部屋で現状を整理することにした。

 正直この世界に来た瞬間のことはあまり覚えていない。前の世界の延長戦としか考えられなかったから目の前の敵を殺した。無我夢中で殺していく中一人の少女の言葉が聞こえた。

 その言葉は僕の心の奥まで届きそこからこの世界での記憶がはっきりした。少女の名前はシー。金髪碧眼のエルフさんだ。


 シーは僕が動けるようになるまで待つと村まで案内してくれた。

 エルフの村はいつしか創作物で見たような村だった。家が何軒も付いた大木がいくつも生えておりその巨大な根の隙間にも家がある。木と一体化した家まである。


 村に着くと村長らしき長い髭のエルフや弓を持った若いエルフ達がいた。皆エルフ特有の長い耳をしている。んー…歓迎ムードじゃないね。

 でも、シーが前に出て何やら説明すると皆もう一度僕を凝視し、武器を下ろす。

 それどころか笑顔で肩を叩いてきたり腕を組んできたり、挙げ句に部屋まで与えられてしまった。

 そして、回復薬であっという間に傷を治されご飯まで御馳走に。


 何これ?VIP待遇?怖い。裏ありそうで。

 因みにシーは一緒の部屋に入ろうとした所を他のエルフに連行された。

 引きずられながら「私のミノカ」とか「少しだけ!少しだけだから」とか「妹にする」とか叫んでいる。

 何これ?怖い。裏どころか表が見当たんない。


 そうだ。話が逸れたけど現状整理の続きをしなければ。

 鏡がなく気づくのが遅れたがどうやら転生前とは姿が違うらしい。

 高校生だったのが今じゃ良くて小学校高学年の頃の見た目に。目の色だって黒から赤に。そして髪も長くなっている。てか全体的に女っぽくなってる気がする。

  シーが「超絶美少女!千年に一人!」とかいってたが気にしないでおこう。ていうかそんなキャラでしたっけ?


 あとはスキルか。なんの説明も受けてないが何故だかどういうスキルかが解る。目立つのが二つ。

 一つは身体能力向上。これは名の通り。実にシンプル。


 そしてもう一つ。魔力回路操作だ。これは魔力の動きを操る能力だ。例を上げると打たれた魔法攻撃を自分に当たらないように軌道を曲げたりとか。

 ただ自分の周りや意識して予め回路を作ったところしか発動できないらしい。まあ、工夫次第と言うところ。


 しかし、魔力はたくさん有るっぽいのに魔法は簡単な物しか使えない。大魔法チートが出来ないのは実に残念だ。


 さて、この世界についてだがこの──「ただいまぁ!!!!!」──oh…


 扉を蹴り破るような勢いで入ってきたのはシーだ。その後ろを先程の村長っぽいひと入ってくる。

「おかえり」笑みを浮かべて返す。


「天使の笑顔だね妹ちゃん!」

 苦笑いなんだが…

 てか苦しい苦しいギブギブ。


「これ!転生者様がもう一度転生してしまうぞ!」

「あ、すみません!村長さん」

 洒落になんないよ…村長さん。



「あの。色々ありがとう御座います。」

「いやいや。気にしないで下され。この村の近くに転生したんじゃ。これも何か縁じゃよ。それにシーを…孫を助けてもらったしの。」

 僕が頭を下げると村長は優しそうな笑みを浮かべながら大天使様のようなことを言ってくれる

「そ…村長さん」

「それにな、シーの妹じゃろ?」





 ん?


「シーの妹ということはわしの孫じゃな。いやあ、この歳でもう一人孫ができるとはのう。可愛いのぅ…おじいちゃんと呼んでみ!おじいちゃんと!じいじでも良いんじゃよ」


 HAHAHA…やっぱ血繋がってるわ







「それで本題じゃが…」髭を撫でながら村長は切り出す


 あっ、本題あったんだ。


「お主が倒した盗賊な…多分あれはただの盗賊じゃないかもしれないんじゃ…森の出口付近。極めて村に近い場所にいた時点でな…」


 そうだ。人間が用意に来れないからエルフにとっては安全と言われている森。それが破られかけている…

 おそらく…


「うむ…おそらく盗賊の中に妙なのが紛れているやもしれん。」考えてることが通じたのか、村長は肯定するように頷きながら続けた。


「あの森には魔法がかけられていて進めない筈なんじゃ。盗賊何ぞに破れる術者はいない。恐らくどっかの国が関わっておる」

 村長は目を伏せる


「じゃから力を貸して欲しいんじゃ…転生者殿。」

 長老の細い目がハッキリと開かれ僕を捉える。


 想像はできた。つまりは用心棒として敵を始末して欲しいと言うわけだ。


 シーに目を向けると唇を噛みうつ向いている。水滴がポタリと顔をつたってたれている。

 優しい人だ。二人とも。だから僕は答える。


「いいよ。殺すのは慣れています」

 

 不意に抱き寄せられる。

 懐かしい匂い。村長だ。「すまんのう」と何度も呟き抱き締めながら頭を撫でてくる。やっぱり。優しい人。



 そんなときだった。


「敵襲!敵襲だ!」

 外から叫ぶような声が聞こえたのは。


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