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お元気ですか―私の日常と取り留めもない事―

「ティアリーシェ様、半月後のイベントですが、警備を増員致しましたので訂正印を頂けませんでしょうか?」

「……はい、どうぞ。後で警備のお昼をお願いしてる『ベーカリーロトロト』の発注書も直して持ってきて下さいね。」


◇◆◇


今日も空が青い、弟の転職フラグはべし折れたようだがそれで全てが終わる訳でもないので頑張って生きてくしかない。まだ、主人公の言動による鬱展開の可能性が残ってるんだし。自分ちに直接被害が出なくても、ご近所さんで死傷者が多数出る騒ぎになったら此方も大変だろうし、そんな騒ぎのフラグは回避出来るならした方がいいんだが私の死亡率が跳ね上がる方法が多いのが難点だ。解決法を知らないイベントも存在するし、ゲームと現実じゃ違いも生じるだろう。

私が唯一クリア出来た個別エンドの相手がレグラント、現弟だったのでテロリストフラグをべし折る為だけに力を注いでた。ヘタレのモブだから最低限自分の安全は確保したかった。


さて、私は今領地の観光事業に携わっている。5年程前から観光組合の特別顧問に就任してしまったのだ。特産品である小麦を使った料理フェアを定期開催したり、ツアーの企画実施などが観光組合の仕事だ。

一応発起人である私が地域の力になれるならやろうじゃないか、と家業の手伝いの合間にお手伝いさせてもらってる。公爵令嬢がやらなくても、といわれても仕方ないと思っていたが父母は「社交も疎かにしないなら」と意外とすんなりOKを出してきた。嫁入り先を探せということですね、畜生。

結婚はガチで面倒くさいのでいっそ家を出て弟にいい嫁さんをもらってもらう方向でいくべきだろうか?弟が結婚出来なかった時に備えて養子縁組みの準備とかもしないといけないな…。

私は主に事務と視察という名の現場見学をしている。今一番仕事らしい仕事は書類に判子を押しては捌き、押しては捌きのエンドレスだ…笑いたきゃ笑え。正直、私が顧問やってもあまり意味が無い気がするのでとっとと嫁ぎ先見つけるのが無難だろうな…面倒くさいけど。

でも、同年代の男が寄ってこないってのはどういうことなの?ある程度年の離れた方や既婚者の男性は普通に接して下さるものの見合い話の「み」の字も振ってもらえない…こっちから振ってもスルーされる。

ご婦人の方は「是非遊びにいらして」とか「お泊まり会しませんか?」とか言って下さる方もいるが見合い話になると男性陣と同じような対応だ。何かしでかしてしまったんだろうか?

考えても落ち込むだけなので書類済ませて家で日課に勤しもう。


◇◆◇


私は家の裏庭にある大きな木の下にいる。丈夫な縄で木材等を幾つもぶら下げたトレーニング用の的の用意も出来た。ボクシングのトレーニング用パンチングボールと要領は同じで木刀で打てば振り子のように戻ってくる的を打ち続ける。

ヒュッ ガッ!! ヒュッ ガッ!! ガッ!! ガッ!! ヒュッ ガッ!! ガッ!! ガッ!! ガッ!! ガッ!!

(何も考えるな、全自動木刀振り機になるんだ、私!……………)


ふーっ、的にしてたのが壊れてしまったので休憩しよう、あれ?

「お父様、何か御用ですか?」

物陰から此方を窺っていたらしき父は驚いたらしくやや慌てながら近づいて来た。

「母さんがお茶の時間なのにお前が居ないと探していたからな、それでもしかしたらと思ったのだが…」

「まあ、そうでしたか。余りお待たせしてはお母様が待ちくたびれてしまいますね、すぐ伺いますわ。」

「リーシェ…先程木刀で鉄の塊を破壊していた様に見えたんだが…」

「あらあら、お父様ふふふ。」

「はははは、そう、だよな。」

1人で納得されてますが見たまんまですお父様。

一応RPGゲームの世界な所為か100の上限までレベル上げが出来るようになっている。弟がグレてテロリストに転職した場合に備え、記憶が戻った頃からレベル上げの為、鍛錬に勤しんできた。何故か一向に腹筋は割れず油断すると腹に肉がつくのが最大の悩みだ。

基本的に威力の低い武器で対象をチクチクつついて経験値稼ぐのだが、レベルが高くなるにつれ、レベル上げに必要な経験値が多くなるのでさっきみたいにひたすら回数をこなして経験値を稼ぐ必要がある。レベルを上げとかないと弟がグレた時〆れないし、最終的にラスボスも半殺しに出来るくらいにならないと安心出来ない。私の平穏な人生の為にも、必要な活動なのだ。


「あら、お稽古をしてたのね。」

あ、お母様だ。

「探していただいたそうで…お手数をお掛けしました、お母様。」

「此方こそお邪魔しちゃったみたいね、先生に教えていただいてもう10年以上になるのかしら?毎日精が出るわね。」

「先生に教えていただいたことを無駄にしないよう精進致します。」先生は、お隣の領を治めているフィナン侯爵家の先代の細君にあたる方で武術を習っている。因みに二十歳近い孫がいらっしゃるおばあちゃんだが、軍の顧問として現役バリバリの女傑だ。先生の孫がゲームの攻略対象なのだが、先生が強い上にキャラが濃いので結構苦労しているようだ。

「今度、フィナン領に伺う事があったら宜しくお伝えしてね。それではそろそろお茶にしましょうか?」

「はい、お母様。お父様も参りましょう?」

「う、む。…そういえばレグラントはどうしている?」

「お父様からの課題が終わったそうで、朝から観光組合のショーの打ち合わせに出かけてますよ。」

「…あのクルトンの精か?」

「はい、クルトンです。」

その後、3人でお茶をしたけどお父様が少し落ち込んでたようだった。グレてテロリストかはっちゃけクルトン、どっちがマシだろうと少し考えてみた。…私はクルトン一択だな、ドンマイお父様。


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