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自殺大陸  作者: ししゃもふれでりっく
第一章~パンがなければドラゴンを食べればいいじゃない~
23/87

第23話 暗闇を照らす松明

23。



 降る雪を被りながら道なき道を行く。思い出しながら、恐怖体験を思い出しながらあぁでもないこうでもないと道を行く。幾度か間違えながらその場に辿りついたのは陽が天上で登った頃だろうか。雲に隠れたそれを見上げれば、陰りの向こうにそれが見える。

 この辺りはまだ誰も訪れていないようで、地面には新雪が降り積もり、足跡一つなかった。いいや、これは雪というよりも霜だろうか。そんな些細な違いを脳内で議論しながら、いやに静かだな、と感じていた。


「……生物が見当たらない。全部断崖に空いた穴の中?そんなわけないか」


 指先で断崖に開いた巨大な穴、元より洞穴の一部であり、この雪原との接続点。あの巨体が周囲のどこを見渡しても見えない以上、あの奥にドラゴンゾンビがいるであろうことは自明だった。もっとも自明とはいえ流石にドラゴンの巣を突くモノ好きはいないようで、その付近には調査団の人影は見えなかった。人々が思い思いに調査しているのを横目に見ながら私は先輩の後ろを行く。


「落下した直後は?」


「流石にあの状況では……」


 森がそのまま落ちたのだ。そこに住んでいた生物は少なからず共に落下してきている。ゆえに、全く生命が無いわけがない。だが、今この場で生物の気配は感じられなかった。蟲の羽音も鳥の鳴き声も動物の歩く音も。まるで森が寝静まったかの如く。


「全てドラゴンに張り付いた?」


「アモリイカとかもですか?あれは確か草食だったような」


「良く知ってる。であれば何が考えられる?」


「…………草食が肉食になる……そんな馬鹿な」


「普段食べられた物が食べられなくなる……そうか、なるほど」


 なるほどなるほどと一人納得気に頷く先輩を見ていると、自分自身への苛立ちが湧いてくるから酷い話だ。何に気付いたのだろう。先輩は何を結論としたのだろう。良く考えろ。思考だけが私にできることなのだから。

 普段食べる事のできるものが強制的に変化させられる。そんな魔法のような所業、それはまるで呪いのような……そこではたと気付いた。

 それだ。それに違いない。


「アルピナ様の……呪い」


「そう。それ。曰く、ドラゴンを食した物はその呪いに体を蝕まれる。現状姫様達だけがそうなっているから特殊な例だとは思っていたけど、あり得る。いや、理由としてそれが一番妥当か。……プチドラゴンでは発生しないという事はある意味あれはドラゴンではないという事?いや、まぁそれは良いわ」


 そんな先輩の呟きに、そういえば、とふいに思う。

 アルピナ様の姉様であるゲルトルード様、この呪いも発症はドラゴンを食べた事だろう。症状は違うけれど、ドラゴンを食べれば治るのだろうか?それともアルピナ様のように別の何か、で代用可能なのだろうか?試せない事だから分からないが、機会があればリオンさんの食事をアルピナ様からゲルトルード様に与えてみるのも良いのではなかろうか?とそう思った。きっとアルピナ様は漸く物を食べられるという喜びに呪いとリオンさんの食事に関して分析はされていないだろうから今度お会いした時にでも話をしてみよう。

 そうであれば喜ばれるだろうなぁと考えながら話の続きを聞く。御蔭で一部聞き逃したのは致し方ない。うん。仕方がない。


「……ドラゴンゾンビと言われたぐらいだから腐敗していたのだろう?腐敗した肉が雪の上に落ち、それを口にしたモノは呪われてもおかしくない。あるいは腐敗した肉が落下した所にいたら、その匂いを嗅ぎ続けたら?どれも呪われてもおかしくは無い。それらが軒並みドラゴンの肉を求めて這い寄り、いなくなった」


「先輩の想像力は逞しいですね」


 という私の言葉に苦虫を噛み潰して飲み込んでしまったかのような表情をしていた。

どうやら先輩と呼ばれるのが気持ち悪いらしい。が、私は気にしない。


「想像というより仮定であり想定。心構えって奴。それに縛られる必要はないけれども」


「なるほど」


 頷き、確かに、と思う。罠に関する講義を受けた時のことを思い出す。どんなものがあるかを知っておくだけで大した違いだ。それと同じことだ。


「とりあえずカルミー……行くよ」


「はい。松明役は任せて下さい」


 よろしく、と短く言われ準備をする。準備をしようと頭陀袋を開ければ妖精さんが暇そうに舟を漕いでいた。うつら、うつらと。頭陀袋を開けた所為だろう、目を覚まし、こちらの視線に気付くと恥ずかしそうに顔を隠す。それが可愛らしくてつい、笑みを零す。


「……きもい」


 横から軽やかな罵倒を浴びながら準備を続ける。

 そして、洞穴へ。……いや、既にここがもはや洞穴の一部だという事を思えば、陽光の無い所へ移るといった方が正確か。しまらない。

 人が一人少し余裕を持って通れるぐらいのその穴。先に先輩が立ち、後ろから私が照らす形で先を行く。まだ暫くは、というかある程度までは陽の光が届くため明かりもいらないかと思ったが、まだ見ぬ何かを見つけるためなのだ。まだ見ていない場所を見る事ができるように明かりを付けるのは当然だった。

 洞穴内のひんやりとした空気は陽光が少ないから、だろう。外よりも更に低い気温に身震いする。対象的に、その辺り慣れたものと言った感じなのが先輩だった。淡々と、気温も尖った場所や危なそうな場所も気にせず平然と進んでいた。それこそ松明の火など不要とばかりに。


「先輩、ちょっと早くないですか?」


「この愚図。豚のようにきびきび歩きなね!」


 言ってそのまま先へ行く。慌ててそれを追いかけながら、周りを見回す。ここは、あの日走り抜けた場所だ。早歩きで右を、左を向きながら手には松明を持ちながら歩く。歩むたびに揺れる松明から感じる暖かさが頼もしいとさえ思う。あの時は何もなかったのだから。


「音……水の音?」


 ふいに響くのは確かあの時も聞こえた水の音。岩盤の隙間から滴り落ちる水の音だろうか。周りを見渡してもその姿は見つからない。先輩も気になったようで足を止めている。


「向こう側に空洞でもあるのか?……壊せるものは持ってきていないし今は捨て置くしかないか」


 先輩の台詞を聞きながらこの奥か?と岩壁に手を触れる。ぞっとする程冷たいごつごつとした岩肌。これが洞穴か、と感慨深げに浸っていれば我関せずと先を行く先輩の姿。全く、何のための松明役だというのか。ため息を吐き、後を追う。

 このきびきびとした必要な事以外に何もしないという行いこそが先輩をリヒテンシュタインの奴隷序列一位としたのだろうか。洞穴に入るまでに全ての考察を終えて発生する事象全てを想定し、事を行う。目的すらも想定内とし感慨を湧かない何かへと変化させることはどこか非人間的ではあった。気付けば喋り口調も幾分中性的な淡々としたものに代わってきている。……その合理的な所が良いのだろう。この場で生き残るためには。

 後に付き従い、狭くなったり少し余裕が出たりを繰り返す通路を行く。先に行く者がいること、誰かと一緒にいられること、その事に安堵をおぼえて気抜く事はしないけれど、確かに安心する。


「確かに何もない」


 ふいに先輩が呟いた。


「この何もなさは洞穴ではあり得ない。そもそもここは地上に接続していた部分なのか?それとも元々地下か?どっちだカルミー」


「地下では?」


「冷静に改めて考えてみたんだがな、カルミー?……森の中つか、雪原に入口があった時点でプチドラゴンが出てきた場所なんじゃないの?」


「…………あー」


 言われ、納得する。

 何故、言われるまで分からなかったのだろう。

 落下した時に転がり落ちて洞穴の中にいた所為だろうか?その後出て行った先は開けた場所だった。そう、開けた場所で雪原だったのだ。地面がそのまま落下していたのならば、元々地下だった場所への穴が空いていない限り、そんな穴に落ちる事はない。元々地下だったというのならば、断崖の部分に入口があるはずだが、ここはそうではない。衝撃で穴が空いたのならば周りに亀裂なども出来ているだろう。そのどちらでもない。ならば……落ちる前から、最初からこの穴はあったと考えるべきだ。


「抜けてるな、カルミー。私も同罪だが。と言う事は……プチドラゴンの幼生がこの奥に存在する可能性は高くなったし、加えて……プチドラゴンの大軍に遭遇する可能性もでてきたわけだ」


「加えてそれらが潰れ、この道が閉ざされている可能性も出てきましたね」


「その通り。状況からするにそちらの可能性の方が高い。まぁそれにしても何もなさすぎる……」


 それが気にかかる、と先輩は言う。洞穴処女な私からすればそれに何の意味も思い浮かばないが、洞穴慣れしている淫売な先輩には何か思う所があるのだろう。いつか私もその感覚が得られるのだろうか。


「……行くよ」


 告げ、歩き出す。

 それに釣られて私も歩き出そうとした時、突然、頭陀袋の中から妖精さんが飛び出してきて、私の肩に止まる。

 人前で出て来て良いのだろうか?と首を傾げればそれに合わせて妖精さんが傾く。するすると肩の上を滑って私の首と衝突。そんな阿呆な事をしていれば気配を察すのは自殺志願者として当然なのだろう、先輩が振り向き、怪訝な表情をする。

 私の肩の上、ぶつかった頭を手で抑える妖精さんを指さして、


「カルミー……そいつは?」


と。


「お世話になっている依頼主の御店の店員さんです」


「……そうか、店員さんか」


 話は終わり、と振り返り先輩が先を行く。


「え、そこは何か他の突っ込みとかは無いんですか……?」


「いや、何かその袋の中にいるのは分かっていたし、別に。……漸く姿を見せたんだな、ぐらいしか……うん。それくらいしかないぞ?」


 どこか歯切れが悪い言い方だった。


「いや……うん。そうだな。……いいえ、そうね。どこの店員さんなのかくらいは聞いておくわ。折角だからね!折角だからね!?……他意は無いわよ?無いんだからね?」


 とても、とてもありそうだった。顔をこちらに向けない辺りが特に。


「キプロスでしたっけ妖精さん?」


 妖精さんに問いかければうんうんと首を縦に頷かれる。良く自分でも覚えていた、と自画自賛したい所である。


「……その子、言葉が分かるの?」


 松明の炎に照らされて頬が若干赤みを増したのかもしれない先輩が、近づいてきて妖精さんに……いや、私へ声を掛けたつもりなのだろうが、返答として妖精さんが先輩に対して頷いた。


「か……んっ。私が洞穴で見たことのある妖精は人の言葉なんて理解してなかったわね……初お目見えね。ちなみに、名はあるの?」


 無かったら私が付けますみたいな表情は止めて欲しいと思う。淡々としていた言葉尻も何処か優しげになっている。何だろう、この人、可愛いものが好きなんだろうか。……ともあれ、そんな事おくびにも出さず、


「依頼主さん曰く、ウェヌスさんだとのことです。私は言いづらいので妖精さん、です」


と。その言葉にうんうんと頷く妖精さん。彼女にとってはきっとどちらでも変わらない事なのだろう。人の付けた名前も妖精さんという呼び方も。


「ウェヌス……珍しい名前を付けるのね。その依頼主ってのは神話好きなの?」


「神話?ってあの教会の関連ですか?村にいたときに教会の方に色々教えて頂いた事は頂きましたが……神話は……あぁ、人の神様がどうとかですか?」


 と妖精さんと一緒に首を傾げれば、今度は先輩が頷いた。


「いや、同じといえば同じだし違うといえば違うというか…………いや、私もまともに覚えているわけじゃないし、長くなるだろうから今度機会があったらね」


 余計な事いったか?とそんな表情をする。それもどこか優しげだった。が、それも一時だった。ここは洞穴。気を抜いて生きていける所ではない。次の瞬間には張り詰めたような表情になっているから凄いと思う。今の私には難しい話だ。そんなに即座に感情を切り替えたりできない。精々、神話ってなんだろうねぇ?と妖精さんと首を傾げながら先輩の後を続くのがやっとだった。

 そこかどれくらい歩いただろうか。松明の明かりだけを頼りに進み、進んでいけば恐らく私が転がってきていた辺りまで。


「穴に落ちて、転がったにしても変な所まで落ちてきたと思います」


 冷静に考えてこの距離落ちてきて軽傷で済んだというのは運が良いと思う。


「運も実力の内」


 先輩のその言葉に苦笑し、さらに進もうとして先輩が足を止める。


「跡がある……」


「私のですか?」


「いや、これはプチドラゴンの手の跡……か?」


 私が倒れていた直ぐそばにその跡がある。その言葉に実際に目を向けてみれば確かにあの気持ち悪い生命体の手の跡がある。それを見るに、自然、背筋に寒気が走る。


「けれど、ここで途絶えているというのが解せない。降って湧いたようにここから足跡が残っているなんてありえない」


 であれば、何が考えられるのだろうか?奥から歩いてきたプチドラゴンがこの場で消えた?あり得ない。どこの物語だ。消えたプチドラゴンなんて三流舞台劇も良い所だ。


「そうか。これは別の穴か……カルミー。修正する。この場は確かに雪原と繋がっていた洞穴ではあったが、プチドラゴンが出てきたのはまた別の場所だ」


「探せばまた別の穴があるかもしれないという事ですか。確かに、足跡がここ以降にしかないというのなら、そう考えるべきですね」


「空でも飛んだのなら話は別だがな……」


 絶句する。


「と、飛ぶんですかあれ?」


「いや知らん。が、そんなのがいてもおかしくはない。腐った生命体が生きたまま動いているんだぞ?それの亜種が空ぐらい飛んでも罰は当たらん」


「また、そんな想像で……」


「心構えだ」


 いけしゃあしゃあと、とは思うものの先達がそう言うのだ。それが先輩を救ってきたのだと思えば、馬鹿馬鹿しくても認めざるを得ない。

 だが……そう。人間からすれば血が燃えるという馬鹿馬鹿しい類の存在であるエルフというのもいるし、荒唐無稽な魔法なんていうのもこの世界にはあるのだ。加えて妖精さんのように、人の言葉を理解する妖精もいる。そう考えると、確かに空を飛ぶドラゴンがいてもおかしくない。

 正直な所を言えば、あの気持ち悪い生命体が空を飛んで襲いかかってくる姿を想像したくない。想像だけで吐き気がこみ上げてくる。


「ま。とりあえず進むか」


 湧き上がってくる胃酸を胃の中に追いやりながら、そしてまた進む。進む。進む。どこまでも続くかのように……。

 陽光による明かりはもはや、ない。松明が無くなれば完全な暗闇だ。もっともその松明の効果といってもたかが知れている。私と先輩を包めるか包めないかぐらいのものだ。

 こうしていると、奴隷になった最初の日を思い出す。松明が消えた瞬間に化け物が襲ってきた事を。

 思えば遠い所まで来たものだ、なんてまだそんなに日にちも経っていないのに思ってしまう。産まれてから十数年、その中で奴隷になってからの時間など僅かなものだ。けれど、それが凄く濃密で、長く過ごしてきたように思ってしまう。奴隷という身なれど、これからもそういう濃密な時間というものを大事にしたいと、そう思う。


「そういえば、カルミーはあれ喰ったんだって?」


 突然だった。松明の明かりが届いているのか?と言いたくなるぐらい先に行った先輩が足を止め、私が追い付くのを待って態々そんな事を聞いてくる。からかい気味というか苦笑気味というか、そんな笑いを含んだ物言いだった。


「あぁ、はい。食べてしまいましたね……ディアナ様には呆然とされ、メイドマスターには散々言われましたが……」


「捕獲してきたのはあの性悪メイドだろうからなぁ……まぁ、そんなの事は良いんだけれど、美味いの?あの軟体動物」


「美味しかったですよ?そういえば、最近おいしいもの食べてませんでしたねぇ……」


 エリザの事を気にし過ぎるあまり、気が乗らなかったのだ。特においしいゲテモノを食べるのは。正常な時でも何故これが美味しいのだ?と滅入ってしまうのにあの状態で食べたらさらに滅入っていた事だろう。

 ……そんな風に戯れた感じで考えられるのもこの白髪の先輩の御蔭なのだろうか……。今後、リオンさんの御店を紹介するのも良いなとそう思った。妖精さんの事も気にいっているみたいだし。


「まぁ、つまり何が言いたいかというとね、カルミー」


 くっくと喉を鳴らしながら先輩が口を開く。


「あれも食えるものなら是非喰ってほしいってこと」


「あれって……?」


 先輩が指さし、それに従い先輩の横を通り、さらに前に進む。そうすれば松明の明かりに照らされた、少し開けた空間が視界に映る。

 だが、全貌は見えない、だからとばかりにさらに一歩前へ進めば炎によって映し出された空間が更に広がる。天井の高さは、そこそこあるようで松明だけでは照らしきれなかった。広さに関してはどれぐらいだろうか。牢屋よりは広いように思う。ともあれ、それだけ……ではない。現実逃避したくなるが、それだけではなかった。


「…………先輩?」


「なんだね、後輩。声が震えているぞ?」


「に、逃げましょう」


「もう遅い。とっくに見つかっている」


 確かに遅い。全くもって遅い。まだましだと思えるのはそれがドラゴンの類ではなかったことだろうか。だからといってそれが救いになるかといえばそうとは思えない。


「カルミー。あれも是非食べてみて頂戴。意外にもまろやかなんじゃないかと思うわ」


「お断りしますっ!」


 たまの優しい言葉がそれか、と吐き捨てる。

 足の数はあれと似たようなものだった。違ったのは節がついているか、毛が付いているか光沢を放っているか……。いいや、もっと決定的に違う場所がある。それがついている体だ。いや、それについている体、だ。


「ははっ。カルミー意外に余裕があるなぁ。流石、洞穴処女のくせにプチドラゴンとドラゴンゾンビなんて色物にばっかり遭遇しているだけあるわ。今回もさらに色物だわ。本当、運が良いねぇ、カルミーは」


「せ、先輩こそ、さすが洞穴慣れしちゃった淫乱女なだけありますねっ」


「言うじゃないかカルミー。ならさっさとアレにぶち込まれて膜散らしてきなねっ」


 そう言って、背中を押された。

 足で。


「ちょっ!?」


「なぁに、大丈夫。大丈夫。まぁ、そんなに?……そんなに強くは無かったと思う。大丈夫、処女にはちょうど良い相手だわ」


「あの人間大の蜘蛛っていうか人間くっついてる感じの蜘蛛のどこが弱いってんですか!?」


 弱いとはいってねぇよ、そんなはすっぱな感じの呟きが聞こえたが最後、私はその広間へと蹴り込まれたのだった。なんて、優しい人なんだろうね、本当に!



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